第4話
それから一月半ほど…… 丁度良い剣術の師が見つからず、魂だけの存在となっていた頃、“
「父様、その人は?」
「あぁ、お前に付けてやると言った指南役のサイアスだ」
「初めましてジェオ殿、宜しくお願い致します」
伸ばし放題の長髪をざっくばらんに
何やら、しれっと結構な金額を口にするので、思わず片頬が引き
(…… 領民が納めた血税を無駄にしないよう、しっかりと学ぶべきか)
そう自戒して握手を交わしたサイアス氏はやんわりと端整な顔で微笑むのだが、 一切の容赦や
熟練度を確かめると言って何度か木剣で打ち合った後、満足げに見ていた父が屋敷に戻った途端、あくどい感じで口端を歪ませる。
「良いな、あまり
「うぐぅうッ‼」
「相手の武器だけに意識を取られるなよ、組討ちは近接戦闘の華だぞ!」
楽しそうに
徒手空拳になった事で、ひとまずは
「ちょッ、おま……」
「ははっ、素手の敵に遠慮する馬鹿など
辛辣な言葉と共に迫る “面打ち” に対して後ろへ倒れ込み、極僅かな時間を稼ぎながら、身体に宿るマナの制御によって知覚と動体視力を高める。
その状態から、
さらに追撃を警戒して、地面をゴロゴロと派手に転がり、砂や庭草に塗れて起き上がったのだが、サイアス氏… もう、呼び捨てのサイアスでいいや。
彼はぴたりと動きを止め、興味深そうに小首を
「お前、身体強化系の技術を扱えるクチなのか?」
「歴戦の猛者は皆、自らのマナを駆使していると思い至ったからな」
「ふむ、最低限の心得はあるようだな、ならば遠慮なく鍛えてやろう!!」
「…… お手柔らかに頼む」
少し背筋に悪寒を感じたものの、どうやら
まだ本格的に痛めつけられておらず、ヘイトを溜め込んでいなかったので、この時はそんな
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