第3話
なお、心機一転とは
人ひとりで成せることなど
「朝から精が出ますね、坊ちゃん!」
「あぁ、貴様もな」
こちらへ声を掛けてきた庭師に向け、つい皇子と呼ばれていた頃の横柄な言葉を投げると、鳩が豆鉄砲を食ったような表情で固まってしまう。
すぐに年相応の発言ではなかったと気づき、頬を引き
ただ、彼も仕事があるため、俺から視線を外して香草茶にでも使うのか、商売道具の鋏片手に
その姿を
皆が最初から人外の領域に立つ強者だった訳でなく、何らの才に恵まれないまま努力だけで、ある種の完成形まで到達した人物も皆無ではない。
(…… 攻撃に晒される面積を減らすため、半身で切っ先を斜め下に構え、初動となる肩、上腕、前腕の筋肉を円滑に連動させて刹那の剣戟と成す)
基本的な術理を殊更に強く意識した上で、
されども一振りごとに内面へ意識を沈め、心象との差異を少しでも埋めようと腐心していたら、ふと脳裏を
(万物に宿るマナ、根源たる力の制御と転用……)
自覚の有無に
彼らの人生を “
「つまり、近接戦闘の達人はマナによる “
冷静に考えると、斬撃の余波で数十人を吹き飛ばすとか、目にもとまらぬ神速の動きなど、魔法が
物は試しという事で体内を循環するマナの流れに
これは魔術師並みのマナ保有量が必要なのかもしれないと、木剣を杖代わりに疲弊した身体を支えながら考察していれば、
「何だ、もう
「えっと、そうですけど……」
またしても年齢に応じた言動ではなかったらしく、口籠る彼女に愛想笑いを浮かべてから、そそくさと屋敷に戻る。
第二皇子時代も両親には敬語を使っていたので大丈夫だが、他にはいつもぞんざいな態度を取っていたので、無愛想な言葉
もはや昨日まで、どのように屋敷の家人達と話していたのか、しっかりと思い出せないほどだ。
仕方なく玄関先の階段室で立ち止まり、自身の性格を省みると口数の少ない子供だった気がする。この先が少し思いやられるなと、溜息してから食堂へ向かった。
------------------------------------------------------------------------------------------------
コミカライズ版『コボルト無双』マンガボックス様で連載開始となりました。
アプリをインストールしている皆様、読んでやってくださいヾ(。>﹏<。)ノ゙
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます