第19話

「レオ―、飽きたー他に何か面白い事無いー?」

「そんなん言われたかて思いつかへんわ」

「じゃぁお茶に付き合いなさいよ、もうちょっとしたら頼むから」

「へいへい了解」

 そう言うとレオパードは自室へと向かって行く時にひらりと何かが落ちた。

「レオ―何か落としたわよ……写真?かしら」

「おう、スマンな」

「この人誰?」

「ちょっとな探しとるねん、そいつを」

「ふーん、でもちょっと若いレオも可愛いじゃない、身長今より低そうだし」

「おちょくっとったら怒るでホンマ」

「そんなんじゃないってば~」

 自室から持って来たから古びた本を持って来て、アエネから写真を受け取り懐に仕舞うと、ソファに座って本を読む。籠に入った果物を食べつつアエネは、

「前から聞きたかったんだけど、それって何が書かれてるの?」

「教えたらへーん」

「レオってばケチよね」

「ケチでええわい」

 そんなレオパードを無視してアエネは席を立つと、自室へ向かいながら、

「もういいわ、お城に着ていく服選ぶから」

「見てやろか?」

「レオはセンス無さそうだから却下」

「さよかー」

 そう言って自室の扉を開くと、至る所に服が散乱していた。

「んーどうしようかしらね?」

 等と言いながらトランクから服を取り出してはリビングのソファに掛けていく。白のロングスカートや赤い上着、ピンクのブラウスやら他にも沢山の服を取り出しては部屋中に広げていく。

「こっちまで広げてくるなやー」

「分かってるわよ、これとこれかしら?うーん、こっちの方がいいかも、えー悩むぅ~」

「あー聞いとらんな……」

 そんな風にアエネが悩んでいると

「そういやお嬢、茶はええんか?」

「する!レオ頼んでおいて」

「へいへい」

 レオパードはソファから立ち上がると部屋の外へと向かった。そこでスートルームの近くに居たホテルスタッフに「午後の茶の用意を二人分頼む」と告げて部屋へと戻った。それから暫くすると午後のティーセットが二人分運ばれてきた。ダイニングに置いて貰いスタッフに礼を言うと、

「お嬢、茶来たで」

「はいはーい」

 そう言ってダイニングへとやって来たアエネは席に着くと香りの良い茶を飲み、焼き菓子を皿に取って頬張る。レオパードも同じように茶を飲むと焼き菓子を頬張る。

「はぁ~良い香り、お菓子も美味しいしいいわねぇ~」

「せやなー」

「ねぇ、レオ、聞いていい?さっきの写真の人ってどういう関係の人?」

「言いとうない」

「そんな事言わずに教えなさいよ」

「他の奴に言わへんか?」

「言わない、約束する!」

「ほんまかいな、信用できんわー」

「約束くらい守るわよ」

「せやなー少しくらいやったらええか……」

 そうしてレオは茶を飲むと、ぽつりぽつりと語り始めた。

「俺は孤児でな、生まれはどこか知らんのや、それを拾って育ててくれたんがあの人や。まぁ、親代わりやな」

「そう……なんだ」

「せや、あの人もアハルマンドでな、力の使い方を教えてもろたりしたんや」

「ふーん」

「聞いてきた癖に興味無さそうやないか」

「そ、そんな事無いわよ、ちょっと色々考えてたのよ」

「何をやねん」

「い、良いでしょ別に」

 そう言いながら焼き菓子を頬張るアエネに、レオパードは深くため息を吐くと茶を飲む。

 茶を終えると、アエネは先程の作業に戻った。

 そうしてアエネが服を選んでいる作業をしているとあっという間に時間は過ぎ、夕食の時間になった。ホテルスタッフが夕食の用意をしても良いかと尋ねて来たので頼むと、ダイニングの部屋に食事が運ばれてきた。

 二人ダイニングの席に着くと、豪華な料理を食べていく。レオパードのテーブルマナーも大分良くなりつつあるものの、完璧とは程遠いものなのでレオパードの食べ方を視界に入れない様にと努めて食事を進めていくアエネ。そうして食べ終わると、アエネは服選びに戻った。レオパードは自室へ戻り、ソファにだらりと座る。持って来た古ぼけた本を開くと、ぼんやりと読み進めるのだった。

 そうしていると寝るのに良い時間になり本をトランクの中に入れると、レオパードは部屋から出て部屋から一番近いバスルームへと向かった。そしてシャワーを浴びると着替えて部屋へ戻り、ベッドの中へ潜り込むとゆっくりと眠りの世界に落ちていった。

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