久しぶりのガチャガチャスキルだわ!?

 本日2つ目です

――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 時間が書いてない以上いつ精霊様がやってくるのか不明だったので、取り合えずこの部屋で待つことになった。あれだと時間どころか何処に現れるのかも分からないんじゃないかと陛下に聞いてみたら、


「それなら心配ない。精霊様は契約の証であるこのティアラを目印に、もしくは契約者の子孫であり国王でもある余の所にやって来て下さるはずだ。こうして両方が揃っているのだから、まず間違いなくここで待っていれば良いだろう」


「ですがそれであれば、玉座の間とかで待っていた方がいいのでは?」


「……まあ精霊様もあまり大仰な出迎えは好まんかもしれんし。あそこだとどうしても下を見下ろすような配置になるからな」


 とのことだったのでこうして待機している感じだ。ちなみにこれまでの様子からティアラを巡る一件についてほとんど事情を知らなかったミラは、陛下や私が説明して理解してもらった。


「宝物庫に賊が侵入したのは知っていたけどそんな大切なものが盗まれていたなんて……」


 あたし達の話を聞いたミラは目を大きく見開き驚いていた。


「相手は誰にも気付かれることなく宝物庫まで侵入する手際、私ですら知らないティアラに関する情報……今回の相手は何者なんですか?」


「……正直なところ、詳細はほとんど掴めておらんのだ。何者が侵入したのか、この一件を主導しているのが何なのかすら分かっていないのが現状だ」


「王家の情報収集能力をもってしてもなにも掴めていないのですか!?」


 あたし達が聞いて良いのか悪いのか微妙なラインの会話が王族親子の間で繰り広げられている。バルドお父様もセレナお母様も似たような事を考えているのか目が合うと苦笑が返ってきた。

 それにしても、2人の会話に乗っかるようでちょっとあれだけど誰にも気付かれずに王城に侵入してティアラだけを盗み出して脱出するなんてことが可能なのかしら?仮にもここは王城、この国で最も警備の分厚い場所であるはずなのだ。


 にも拘らず、そんなあり得ないはずの事があり得てしまった。それが個人の実力によってなされているのだとしたらどれほどの実力が必要なのか。例えそれが分かったとしてもまだ疑問が残る、

 何故ティアラはあんな場所に放置されていたのか?誰にも見つかって欲しくなかったのならそのまま他国でもどこでも持ち去ってしまう手もあったように思える。敵にはそれが出来ない理由があったのか、それとも何かのアクシデントの結果があれだったのか。


 その辺りは犯人が捕まりさえすれば自ずと分かるところではあるのだろう。


 ……まあそこら辺はあたしが考えるようなところじゃないか。


 お姉様たちはともかくあたしは精霊様に神水を渡してしまえば用済み。もうこの件に関わるようなことも無いだろう。


 そんな事に思考を巡らせている間に陛下とミラの話もひと段落していた。


「今後も全力を挙げて調査は継続していくが、ひとまずは今日の事だ。もし精霊様に失礼があっては本当の意味で国の危機となり得る。本当ならば王城を上げての歓待をしなくちゃいけないのだろうが、精霊様にまつわる事はこの国では秘中の秘だ」


「そうですね。本当なら第三王女である私よりもお兄様やお姉様がこの場にいるべきなんでしょうけど皆お忙しい身ですからね。突然の訪問とあっては間に合わなくてもしょうがないですね」


「そういう事だ。今回はお前にも王族としてこの国に代表として精霊様に会ってもらう。何度も言うようだがくれぐれも失礼の無いように。まあ心配はしておらんがな」


「はいはい……それにしてもクレハがお父様とこそこそ話していたのはこれだったのね!そうならそうと最初から言ってくれれば良かったのに。それで大活躍したっていうクレハのスキルってどんなスキルなの?色々な魔道具?が貰えるなんて面白いスキルよね!」


 ああ、面倒くさそうな話題が回ってきた。


「そんな露骨に面倒くさそうな顔しないでくれない?」


 おっと顔に出てしまっていたようね。


「ごめんなさい。ちょっと面倒だなって思っただけだから気にしないで」


「貴女、どんどん遠慮が無くなってきたわね。最初は敬語を外すことすら躊躇っていたのが嘘みたいね」


「今日はもう色々あって疲れちゃったのよ。それに今日のメインって言ってもいいぐらいのイベントがこれからやって来るんだもの。少しは気を休めておかないと身が持たないわよ」


「ふふふ、気持ちは分かるわよ?王族なんて面倒な出来事が次から次にやって来るのが日常茶飯事なんだからっ休める時に休みたいって思うのはしょっちゅうよ。それに相手が王族と分かって猶そうやって寛げる人なんて中々いないからちょっと新鮮ね!」


「気に障ったのなら謝るわ」


「全然!むしろそう言う相手ってこれまでいなかったから言った通り新鮮なの!これからもその調子でよろしくお願いするわ!」


 ……これからも王族と付き合わなくちゃいけないよう事になるのはちょっと微妙ね。


「今、私との関係が継続するのは微妙とか考えたわね?」


「……あたしってそんなに顔に出やすいかしら?」


「そんなこと無いわよ。私にはちょっとがあるの。もし気になるならクレハのスキルを見せてくれれば教えてあげてもいいわよ?」


 ……気になる。知りたいか知りたくないかと聞かれれば間髪入れずに知りたいと答える自信はある。その対価が自分のスキルを見せるだけでいいんだったら悩むまでもない。ええ、そうよね。悩むまでもないわよね。


「構わないわよ。あたしのスキルを見せればいいんでしょう?でもちょっと場所が必要なスキルだから向こうの机でやりましょう」


 あたしは今座っている机ではなく、4人で囲むことが出来るサイズの机とソファが置かれている一角を指差した。そっちにあたしが移動するとその後ろをミラが付いて来て、その後ろに陛下が、そしてその後ろからお父様とお母様が付いてくる。結局全員で移動する羽目になってしまった。


 まずは準備の為にガチャガチャを出すためにスキルを発動させる。すると見慣れたステータス画面が目の前に出てきた。

――――――――――――――――――――

スキル:ガチャガチャ

使用可能ガチャガチャ

 ・魔石ガチャガチャ

 ・毎日1回無料ガチャガチャ

 ・【期間限定】ピックアップガチャガチャ(魔石)

――――――――――――――――――――

 今日はまだ一回も回していないから1回は無料で回すことが出来る。それ以上回したければ魔石が必要なんだけど……そうだった。この間街で買ってこようとしたんだけど結局アリシアの用を済ませるために後回しにしたんだ。それでそのまま買いに行く暇なんて無かったから調達が出来てない。

 まあ1回やれば満足するわよね?とりあえず毎日1回無料ガチャガチャを選択してガチャガチャが出てくる。机の上に出現すると同時に陛下とミラから軽く「おぉ」と驚きの声が上がった。


「これがガチャガチャの本体よ。この取っ手の部分を回す事で中からこの穴の部分にアイテムが出てくるわ」


「へ~!や、やって見てもいいかしら!」


「もちろん。その為に出したんだもの」


「じゃあ遠慮なく――!」


 ミラが取っ手を回すといつも通りの音と共にカプセルが落ちた音がした。取り出し口からミラが取り出したカプセルは……なんとだった。最近ではあたしでもなかなか見なくなっていた銀色のカプセルをたった1回で当然の様に出してしまうなんて。これも王族の為せる技なのかしら?

 そんな軽い嫉妬心を覚えつつもミラからカプセルを受け取って中身の確認をする。


 中にはいつも通りに紙が一枚と、それから楽器が1つ入っていた。楽器はそれなりの高級品であり、あたしも領地にやって来た吟遊詩人のリュートぐらいしか見たことがない。だから本でしか見た事が無いような知識になるけどこの楽器は恐らく――


「あら。ヴァイオリンじゃないの、これ?」


「やっぱりそう見えるわよね。ちなみにミラは本物のヴァイオリンは見たことがあるの?」」


「見たことがあるというか、王族の教養の一環として弾けるように練習してるわ」


 という事はそんなミラが言うのならこれはヴァイオリンで間違いないのだろう。ただこれは銀色のカプセルから出てきたアイテム。ただの楽器で終わるなんて事は無いはずだ。

 一緒に入っていた紙に書かれていたこのアイテム名を読み上げる。


「ええと『嵐を呼ぶ情熱のヴァイオリン』……?」


 名前からして凄く厄介なアイテムの予感がするけど、今更無かったことには出来ないわよね。取り合えずこのアイテムの詳細も見ておきましょうか。

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