第223話 星空
船で一晩を過ごす隆元一行。
「本当、澄んだ空気の元では星空がきれいだなー」
「悠月は本当、船の上でも元気だよね……」
「むしろ、船の上だと気が高揚するのかひと際元気だぜ!」
「……あっそう」
松井は冷たく言う。
自分は船酔いできついんだぞ、と言いたげに。
「早く着かないかな……」
「スピード上げてもらうか? 船頭さんに頼んでさ」
「それはやめてくれ……」
松井は弱り切った声で言う。
「冗談だよ」
さすがに悠月も悪いと思って謝った。
「俺、戦国時代で一番好きかもしんない」
「え? 何が?」
「この星空さ」
紺碧色の空に、きらきらと星が輝いている。
これは、海でも山でも同じように見ることができたのである。
「海の方はさ、水面にも同じように映ってどっちが空かわかんなくなりそうなくらいきれいだしさ、山で見てもやっぱりきれいだし、戦さえなければずっとここにいてもいい気さえするんだよな……」
「色々不便だけどね……」
「令和の時代に慣れちゃってるとな」
悠月は少し声を落としつつも笑って言う。
「それは言えてるな……」
松井はそう言って苦笑いする。
「はー、話していたら眠くなってきた」
悠月はわざと松井の肩に頭を乗せる。
「え? このまま寝る気!?」
「たまには俺が肩を借りてもいいだろ? この前もさ」
「うう、もう、仕方ないな……」
「冗談だよ」
悠月は笑ってヘリに頭を預け直す。
「……別に良いんだけど」
「気分悪いんじゃなかったか?」
「少し慣れた気もする」
「そっか……」
まだ少し青白い顔をしつつも、松井は少し心にゆとりが持てるようだ。
「次にまた九州にって言われても大丈夫だろうな?」
「さすがに嫌だよ」
松井はそう言って苦笑いするのであった。
二人は知らぬ間に、そのまま眠り始めていた。
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