第221話 隆元と再会
「隆元様ぁー!」
小柄な兵士は思い切って大声を上げる。
馬に乗っていた男はふとこちらへと視線を向ける。
「おお、そなたたちか。お役目ご苦労」
「恐れ多きお言葉でございまする」
二人の兵は、恭しく傅く。
「ああ、良い良い。もうすぐ門司港に着くであろう。門司港で船を捕まえるまで、お主らはゆっくり休んでおれ」
「ははっ! ありがとうございます」
隆元はその言葉に、上機嫌で頷いた。
「遅くなりました、隆元様」
「元就様からのお返事も持って参りました」
「うむ、お主らも大義であった」
悠月が隆元へと返事の手紙を渡す。
「うむ、拝見しよう……」
隆元は手紙を開ける。
「やはり、帰城を促す手紙であったか」
「ええ、元就様は隆元様を案じておられましたから」
松井が元就の様子を見て思ったことを告げる。
「ふむ……」
隆元は二人の顔を見た。
「なんだか、お主らも一皮むけた気がするな……」
「ハハ、色々ありまして」
悠月はそう苦笑いして言った。
「左様か」
隆元は上機嫌で返した。
「隆元様―!」
「うむ、いかがいたした?」
「船が見つかりましてございます」
隆元はその言葉に苦笑いした。
あの二人の兵には、船が見つかるまで休め、と言ってしまった手前である。
「そうか、それは大義であった」
隆元はそう穏やかに言った。
「上陸して一晩も経たぬうちからまた乗船……」
松井はげんなりとした声で言う。
「こればっかりは予想できなかったんだ、仕方ない」
悠月はせめてもの慰めを言った。
松井は小さくため息を吐くのであった。
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