第219話 道中会話
兵士の道案内で、隆元の元へ向かう。
「結構歩くな……」
「あれから、結構移動とかしたんじゃないかな……?」
「多少はな。お主らが不在の間、色々とあったんだよ」
「色々と……ねぇ」
悠月は苦笑いしながら言う。
「僕たちも、大変だったんだからね!」
松井は対抗するかのようにして言う。
「ほう? 聞かせてもらおうじゃねえの?」
兵はにやりと笑いながら言った。
悠月は松井の言葉に苦笑いしながら、様子を見ていた。
「悠月が難事件になりそうなものを解決したり、隆景がケガをしたり……」
「色々すっ飛ばしすぎじゃね?」
悠月は頬をかきながら言った。
「そう?」
松井はキョトンとしながら言う。
「まず、船頭の男が殺害されたところからだろ、普通」
「ああ……、そこから話すべきだったのか……!」
「そうじゃなきゃ、俺だって難事件にも遭遇してないだろうが!」
悠月のツッコミに、兵士も思わず吹き出す。
「ぷふっ……! そんなことしてたのか! けど、隆元様もずっと待ってたんだぜ」
「え?」
「手紙はまだか、手紙はまだか、って毎日のように言ってたからな……」
「……そんなに、待たせてたんだね」
松井は申し訳なさそうに目を伏せた。
「ま、遠方に手紙を渡すんだ、仕方ないだろう?」
兵士は明るい声で言う。
「それに、アンタらもアンタらで、難事件? とやらに遭遇したんだろ? 良い面構えになったな」
兵士の声に、松井は戸惑いが隠せない。
「それってどういう……?」
「一皮むけたな、って意味だよ」
悠月は少し照れたように頬が高揚しつつも答えた。
「ハハ、悠月、顔赤いよ」
「う……、うるせえ!」
「照れてる!」
「ばっ……! ばっかじゃねーの!? 照れてねーよ!」
悠月はそう言ってそっぽを向いた。
「ハハ! そう怒んないでよ」
松井は明るく悠月に絡む。
その様子を、兵士はニヤニヤと笑みを浮かべながら見守った。
「そろそろのはずだ。隆元様―!」
兵は声を張り上げた。
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