第156話 早朝軍議

元就は家臣たちを招集した。

「朝早くから……」

悠月は眠たそうに眼をこする。

松井も小さくあくびをしている。


「お主ら……、朝が苦手の様じゃな」

隆元は苦笑いして言った。


というのも。

二人は夜中まで今まで起きた記録をまとめていた。

お互いに付けていた日記や出来事を話しているうちに、気付いたら夜明け前だったのである。

つまりは、ほとんど寝ていなかったのだ。


「実はあまり寝付けなくて」

松井は苦笑いして言った。

「出陣の話でもないなら、今日は早めに掃除を終わらせて少し休もうか」

悠月は松井に提案する。

「賛成……、頑張らないとね」

「じゃが、父上の招集じゃからのう……」

隆元は苦笑いで言う。


そう、元就の招集ならば。

大抵は軍議か出陣のいずれかであることがほとんどだ。

しかもこの早朝からである。


「望み薄か……」

悠月はがっくりとする。

松井と隆元は悠月の様子に苦笑いした。


「とりあえず、行こうぞ」

隆元は二人の背を押した。

「はい……」

三人は元就の部屋の前に行く。


「父上、おはようございます。隆元ら参りました」

「うむ、入れ」

「失礼します」


隆元たちが入ると、そこには隆景と家臣の乃美がいただけである。

「おや?元春は……」

「まだじゃな」

「あやつは……」

隆元は苦笑いした。


それから少しして。

バタバタと走ってくる音がした。

「遅刻じゃ!」

大慌てで入って来たのは元春であった。

「元春、おはようさん」

「父上、兄上、隆景、みなすまんのう!」

「寝坊かの? 仕方ない奴じゃ」

元春は隆元の言葉に苦笑いした。

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