第17話 戻って来た吉田郡山城

「どうして……。こんなことになったの?」

「……わからない。けど、このままじゃいけないのは間違いない!」

「そうだけど……」

「そうだ、お守り! ……使えるかはわかんないけど、やるだけやってみる。少し貸してくれないか?」

「良いけど……」


悠月はくるみからお守りを預かった。

「元の歴史に戻してくれ! それが無理なら、元の時代に戻してくれ!」

「え!?」

くるみは思わず目を丸くする。


だが、お守りは強く青白い光を放ちだした。

「ど、どうなってるの!?」

「わからん……!」


気が付くと、二人は元の時代の吉田郡山城にいた。

「戻って来れた……!」

「本当に使えたのね、あのお守り」

「あ、ごめん。返すよ」

悠月はくるみにお守りを返した。


「ここの看板とかは、見る限り……」

「いいえ、やっぱり歴史が変わっているわ!」

「やっぱり、根本からってことか」

二人は頷く。

「吉田郡山城の戦いの前に飛ぶことができれば、もしかしたら……!」

「ああ、あり得るな! よし、やってみよう!」


二人はお守りを握る。

「吉田郡山城の戦いの前日に連れて行って!」

くるみはお守りに強く願った。


だが、なぜかお守りは作動しない。

「どうして……!?」

「少し、変わってしまった歴史を整理する必要がありそうだな」

「……そうね」


くるみは元気なく答えた。

早く歴史を正しいほうへ戻して欲しいと思っているのだろう。

「本当、くるみちゃんは歴史が大好きなんだな」

「ええ、とても。……悪い?」

「いや、俺も歴史が大好きだからさ。こんなことになるのは嫌だよ」

「早く、正史に戻ってほしいわ……」

「俺たちで力を合わせれば、きっとできるさ」

くるみは頷いた。

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