第3話 デジャヴだ...
翌朝、七瀬のベッドで目を覚まし、まだ慣れない洗面所で顔を洗う…と思っていた。
しかし、俺が目覚めたのは俺の家のベッド。
でも、散らかっていた部屋は片付けられ、微かに消臭剤の匂いがする。
途端に顔が赤くなった。
自分の無防備な部屋を見られたのだ。
しかし、俺は開き直る。
高校生男子の部屋なんてこんなもんじゃないか。
それに、部屋が汚いんじゃない、俺が美しすぎるのだ。
…虚しい。
あっけなく終わった入れ替わり生活に少し驚いた俺だが、実家の安心感がそれを上回った。
断じてホームシックではない、断じて…
準備をして、家を出る。
慣れ親しんだ身体が心地よかった。(一日だけだけど)
そして俺は、自分の足で歩くということを楽しみながら学校へ向かった。
歩くだけで楽しいのは幼稚園以来かもしれない。
「うわっ」
急に背中に重力を感じた。
…デジャヴだ。
瑠璃なのか?
しかし、背後から聞こえてきたのは親友の大崎聖の声だった。
抱きついてくるのではなく背中を押す、男子のボディータッチは控えめだ。
「脅かさないでよ、大崎くん」
「大崎くん?」
しまった。昨日の七瀬のノリでやってしまった。
「た、たまにはね」
不自然すぎる言い訳だが、もう後戻りはできない!
「ふーん」
大崎は俺の目を見つめてくる。
俺はできるだけ目を逸らさないようにしながら問う。
「な、何かな大崎くん…」
頬の筋肉が強張っているのを感じるが、強行突破だ!!
「今日のお前、なんかキモいな」
あ、やっぱデジャヴだこれ…
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