第6話 面接だよ、パパ事件


 僕の親父、キャベツはとある企業の社員でした。

 どこまでが本当で、どこまで偉い階級なのか、全然わかりませんが、多分、中途半端な幹部クラスです。


 ある日、僕の妻が転職の話をしている時。

 まだ付き合っていた関係でしたので、彼女だった妻が帰ると……。


「なあ幸太郎、嫁ちゃん。今度、面接受けるのか?」

「うん、そうだよ。なんで?」

「お父さん、面接官やってたからなぁ。女の子だから難しいと思うぞ」

「は?」


 僕はちょっと言っている意味がわからないと、困惑しました。


「お父さん、こう見えて、会社じゃ上の方でな。よく面接を任せられてたんだが、どんなに優秀で真面目でやる気がある子でも、女の子なら絶対落としてたな」

「ええ……」


 とても幹部クラスの人間が発言するセリフじゃないと、僕はびっくりしました。

 納得のいかない僕は、親父に聞きます。


「どうしてさ? 女の子でもちゃんと働けるじゃん」

 しかし、キャベツは冷たい顔で、こう言い切りました。

「どうしてって……お前、わかってないなぁ。女の子は恋愛するだろ? んで、結婚だ。そしたら、絶対妊娠するだろ。こればっかりは避けられないからな。お父さん、女子大生が『私、やる気あります! 仕事一本で生きます!』とか言ってきても、平気で落としたよ。会社のためにならんからな」

「えぇ……」


 戦前ってレベルじゃないぐらいの女性差別、女性蔑視で、僕は「こんな無慈悲な人に食わしてもらえたのか」と思うと、恐怖を覚えました。


 自分は、3人も子供を奥さんに妊娠させてるくせに。


 ああ、理不尽……。

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