第3話
_染愛視点_
ん、、、あれ?もう朝?何日だっけ、、、
「えっ?!!学校あんじゃん!?!!」
そうだ、ここ家だ。誰が?そもそも出たんだっけ。って言うか、今日まだ日曜日か、、
それよりも頬の痣。治ってないよね、、、
そう思い鏡を見たら、あの大きな痣が治ってた。
「、、、、なんで、、?」
「ギリッギリセーフ?!!」
「ん〜、なんだ?全然セーフだよぉ」
月曜日、そう言ってわたしをむかえてくれたのは2人の親友のうちの1人、彗都(ケイト)だ。私の家のことを分かってくれている女子は彗都だけだ。
「あっ!なんだもう染愛たち来てたの?!」
この人は雪花(ユッケ)。女の子みたいな名前だけど、れっきとした男。
「あー、腹減ったな〜」
ついでに食いしん坊。
「も〜、いつも言ってんじゃん!」
「ははっ、しかたねぇじゃーん、俺いつも腹減ってるもん」
「なんでよ〜」
そう言って笑い合う2人を見ていると、すごく幸せになる。
「そういえば染愛〜」
いきなり彗都が私に話しかけたので一瞬椅子から落ちそうなほど驚いた。
「ん?ボク?」
「ふふ、ん"〜!!私にボクって言ってくれるのほんっっっとにかぁわいい〜!!」
そう言って彗都が頬擦りしてくる。
「え?ボクってまた言ってたの?自然に出ちゃうもんだから、、。というか、なに?」
「うん!あのさ、一昨日なんかあったかい?」
どきっとした。
でも何でだろ?全然どきっとする事なんて無かったのに。
「んぇっ?!いや、なんにもないよ?」
「ふーん?まぁ、君が言わないんなら良いけどさ、なんかあったらちゃんと言ってくれよ?」
「、、うん、有難う」
ニコッと笑う。
彗都も雪花も大好き。
私の唯一の理解者。
ずっとここに居たいな。
「あっ!危ない!!」
クラスメイトの声が聞こえた時にはすでにあと数cmのところにバスケットボールが迫っていた。
ぶつかる、と思った瞬間風を感じたと思ったら私の目の前でボールが浮いていた。
「あ、、雪花」
雪花はかなり弱いけど、Ruvido持ち。
たしか触ったものを5kgまでのものを浮かすことができる。
勿論ボールだって対象内。
「うひゃー、っぶねぇ!染愛大丈夫?」
「え、この一瞬でここまで来たの?」
そしてRuvido無しでもとにかく瞬発力が鬼レベル。
どうやったらそんなに速くなるのだろうか。
そんな事を思っているとがばっと私の頭を撫でたりなんなり。挙句にはおでこをくっつけてきた。この天然タラシが。
雪花はこういうところがあるからなのか、何でかモテる。
きっとみんな助けられたんだろう。
おでこをくっつけられて動揺しない女子なんて多分私だけだ。
チラッと横を見てみると、彗都が頬を膨らませて綺麗な黒から青のグラデーションの髪の毛を弄っている。彗都は不満な事があるとすぐに髪を弄り始める。
もー、雪花も早く気付いてやりなよ
「ちょ、近いんだけど?」
私はいつものように軽く払う。
「そもそもコレする必要性って何よ?」
「、、、、確かに」
素直に認めた雪花についつい私は吹き出してしまう。
「〜ッ、あーそうだ!今度遊びに行かない?4人で!」
_なんとか表情を隠そうとしているのか、彗都の顔が若干引きつっている。こんなんで隠せるわけもないのに。
4人。私と、彗都と、雪花。それと
「勿論、弟くん込み!」
そう、私の弟。信音(ノネ)。信音も強めRuvido持ち。私よりは弱いんだけどね。
信音は私と違ってRuvidoを隠せるような能力では無いから、Rubidian公式政府に存在がバレている。公式政府に認められたRubidianは、全寮制のRubidian専門学校に通わされる。父の元に弟がいなくて良かったと思った。信音は母が死ぬ前に専門学校に入れられたので、それ以降の父の事は知らない。
こうしてたまに会っているが、会う度に怪我が増える私を見て心配させている。転んだじゃ誤魔化せない怪我をしていたりする時は本当に困る。信音はただでさえ訓練で大変なのに心配をかけたらやってけなそうだから、隠さなければ。
信音も私を無原石だと思っている。
隠し通さなきゃ。
「なぁ、今日染愛調子悪いのか?」
唐突に雪花が聞く。
「へっ?!あ、ううん?そんな事ないよぉ!ボクなんか変だった?」
「ん〜、なんていうかテンション低い?っていうか、いや逆か。笑いが自然?」
図星。まだ生気?が回復してないから、Ruvidoを使えない。って、夢の中で誰かに言われた、、気がするんだけど、、、どうも一昨日から昨日にかけての記憶が曖昧だ。夢の中で初めて見た人なのに、その言葉にはハッキリとした"確信"が感じられた。確かに私、おかしいのかも。
使おっかな、、、そんな事を考えているといつの間にか朝のHRが始まる時間になっていた。
「はい、席ついて。今日は急遽転校生が来ることになりました。仲良くしてやって」
先生がそう言うと、ドアの奥から男の子が出てきた。
「自己紹介、宜しく」
先生が男の子に振る
「、、、、、、、、ども」
そんな愛想のない一言の挨拶だった。先生は諦めたのか、これ以上は自己紹介させようとしなかった。
「この子は、皆んなよりも1歳年下だが、断然この子の方が頭がいい。だからとりあえずこのクラスに呼んだんだ」
だからって何よ、、、、
「席は染愛さんの隣で頼む」
「え?あ、わかりましたぁ」
そう私が返事をしたと同時につかつかと隣の席にやってきて音も立てずにふわっと座った。
その子は綺麗な銀色の髪に整った顔立ちをしていて、澄んだ黒い瞳がとても綺麗に見えた。
「私、染愛。染めるの'そめ'に愛の'あ'だよ。宜しくっ!」
「俺は輝姫。輝くで'て'に姫で'じ'。変わってるでしょ」
「そんな事ないよぉ?輝姫くん、ね!改めて宜しくね」
そんな会話をしているとき、ザザッと頭にノイズがかかった気がした。
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