第2話

−輝姫視点−

 染愛が倒れた。

 一応頭を確認したが、大した外傷は、、ほおの傷以外はない。


 俺のRuvidoは少し特殊らしい。

 『霊媒師』、幽霊とかそういう系統が見えて、払う事もできる。でも、皆んな弱くて、倒し甲斐がない。この子の後ろについていたやつも最下級のやつだった。でも、そいつはかなり長い間この子についていたのか、染愛は生気がかなり少なかった。それに耐えられなくなった染愛は俺の目の前で倒れた。

 恐らくこの子もRubidianなんだろう。力を使ったから、残りの生気を使い果たしてしまったのか、心の傷から生気が漏れ出していたのか。

 どちらにせよこいつは祓ったから生気も戻ってくるだろう。


 表情筋があまり動かないから平然としてるとかよく思われるが、内心はかなり感情の動きが激しい方だ。

 今も、保健室に運び込んでいた時も、その青白い肌が可哀想で、見てるだけで辛くなる。

 なんでこんなになるまで誰にも言わなかったんだ?

 誰かに助けを求めなかったのは何故か、それが気になって仕方がない。

 よく見ると傷だらけの身体がその辛さを物語っているような気がした。


 息苦しそうだ。


 大丈夫かな。


 自然と手が動いて染愛の痛々しい頬を撫でていた。

「、、、、ん、、」

起きた、と思い、急いで手を引っ込めた。

「んん、、、、」

寝てた。

 元気そうだな、、、。

 安心した俺は少し席を外した。


 また暫くして、「ゔぇ」という声と共に激しく咳き込む声が聞こえ、大丈夫かなと思いカーテンを開け覗いてみると、染愛が横向きになって水を飲んだのか、むせていた。

でも元気そうでよかった。

「あ、、、えっ?ほけんしつ、、?え?輝姫、くん?」

混乱しているらしくあたふたしている。

 すると染愛は深呼吸を2度して目をゆっくり閉じた。次の瞬間、染愛はさっきのようにいきなり明るくなり

「輝姫くん、どうしたの?あっ、私倒れてた?心配かけちゃってゴメンね?」

とにこにこして言っている。そこで気付いた。"これ"が彼女のRuvidoなのではないだろうか。持続して使っていたらまた倒れてしまう。

「っ待て。今はまだRuvidoは使うんじゃない。また倒れたいのか?」

ああ、やってしまった。どうにもキツく人に当たってしまう。

「、、、、へっ?な、、なんで私がRuvido、、、いや、私は一般市民、、、」

「違うだろ」

「う、、、、違、、」

ここまで言って諦めたのか静かに頷いた。

「どんな能力かは聞かないが、今の染愛は生気が無すぎる。持続して使えばまた倒れてしまうんだ」

自分なりに、最大限で優しく言う。すると染愛は

「せいき、、?まぁ、有難う、、あの、此処は何処ですか?私、、」

「此処は近くにあった学校の保健室だよ。いきなり倒れたんだから、慌てたもんだ」


 そう言うとなぜか染愛は体を震わせ今にも泣きそうな声で

「、、本当にごめ、、なさっ、、、。だから、、叩かないで、、、、っ」

ああ、辛かったんだろう。その顔を見るだけでこっちまで辛くなる。どうにかして救えないだろうか、、、。

 そう思っているとまた俺は染愛の青くなった頬を撫でて言った。

「そっか、辛かったんだな」

するとみるみるうちに染愛の目に涙が溜まり、嗚咽と共に溢れてきた。

「うぁ、、、、うううっ、、辛かっ、ひぐっ、たぁ、、、!」

同い年か、少しだけ年上かもしれないけど、まるで子供のように大声で泣いている染愛が俺に言った。

「たす、ぐすっ、、けて、、、」

「うん。助けてやるから、もう泣かないでいいよ。」

そう言って俺は染愛の頭を優しく撫でた。そして、ある事を聞いてみた。

「俺の事、どう思う?」

「へ、、、?、、あったかい、、、一緒に居て欲しくなる人、、」

 その言葉になぜかほっとする俺がいた。

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