全国狛犬大会 ~吽像の悩み~(声劇、フリー台本)
あらすじ
久しぶりの全国大会で旧友にあった狛犬同士の会話
登場人物、すべて
狛犬①:石見地方の神社の狛犬(若く可愛い声の女性?)
狛犬②:備後地方の神社の狛犬(落ち着いたしゃべり方の女性?)
管狐: 稲荷の狛犬(狐)(ちょっと気取ったしゃべり方の女性?)
以下本文
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音:大規模な会食のざわめき(最後まで続く)
遠くにグラスの触れあう音
狛犬①「あ、
お久しぶりでぇす。」
狛犬②「おや、
おかわりなかった?
相変わらずキュートな
管狐「お二人さん、お久しぶり。
はい、お
狛犬①、②「まぁ、
狛犬②「お神酒、いただくわ。」
狛犬①「ありがとう。」
音:グラスが軽くぶつかる音
狛犬①「ていうか、稲荷の狐も狛犬くくりなの?」
管狐「まぁ、ザックリとね。
天満宮の牛さんも参加してるはずなんだけど。
ほら、彼らってゆっくりじゃない。
毎回、遅刻みたい。」
狛犬①「そういえば、会場でお見かけしたことない。
毎回遅れてるからなの?」
音:会場のざわめき
酒をこくんと飲む音
狛犬②「ねぇ、聞いて?
私たち狛犬ってさ、
でさ、
それがね!
うちの隣の神社の
ついこの前、昭和の修理で新しくなったんだけどさ。
なんと!獅子になってたの!」
狛犬①「えー?
じゃ、
管狐「ああ。昭和からこっち、よく聞くわよ。
『
狛犬①「やだ!ワタシ今度修理に出るんだけど、大丈夫かしら?」
狛犬②「なに?変身が流行りなわけ?」
管狐「なんかね、時代?」
狛犬②「うわー!やだわぁ!
獅子と犬だからいいのに。」
管狐「ま、10年もすれば見慣れるって。」
狛犬①「管狐さんはいいわよね。
お稲荷さんは狐じゃないとダメなんだもん。
ワタシ、獅子になったとして、うまくやっていけるかしら。」
狛犬②「あ、そこは大丈夫みたいよ。
サラサラ
耳なんか垂れちゃって獅子のわりに穏やかっぽい。
狛犬①「
耳も犬らしくピンとしていたいぃ!」
管狐「角ナシは増えたわよね。
見た目の可愛いらしさ?
そーいうのが求められてるってことじゃない?
関東の方では、平成になってリアル『
狛犬①「ワタシ、このままでも十分可愛いもん。」
狛犬②「(いなす感じで)そうね。ちょっと欠けた角はいい感じよ。
ところでさ。最近気になってるんだけど。
私たち最初は宮中の帝の足元とかさ、本殿の中の神様の足元にいたじゃない。」
狛犬①「そうそう!
それが、ふと気が付くと拝殿のすぐ外に立ってたわ。
それからだんだん外に出されて、ここ何百年かは鳥居のところよ。」
狛犬②「鳥居ならまだいいわ。
鳥居の外の参道に立ってる仲間もいるんだから。
神様の守護から門番までするのよ。」
狛犬①「それって、守護の範囲が広くなってるって事よね?
わー!無理ぃ。
どこまで守らせるの?」
狛犬②「そのうち、町全部を守れって言われたりしないわよねぇ?」
管狐「さすがにそこまでは…と、信じたいわよね。
ワタシ、稲荷様との
狛犬②「
ワタシ達狛犬は、取次はないわよねぇ。」
狛犬①「ないけど、町ごとは守れないよお。」
管狐「よねぇ。
次の『全国狛犬大会』までに意見を取りまとめておこうか。」
狛犬②「そうね。
さすがに今の頭数で町ごと守護はねぇ。」
狛犬①「次は三百年後か。
ワタシ、狛犬のままで参加したいな。」
狛犬②、管狐「(笑いを含ませて)楽しみにしているわ。」
狛犬①「...ありがとう。」
音:会場のざわめき
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