平安京 ~乳母のお仕事~ (声劇・フリー台本)
舞台:平安時代
貴族の館の姫の部屋
あらすじ;貴族の姫に求婚する公達をいかに捕獲するかというお話し。
登場人物
貴族の姫:
感嘆語しかないので感情ゆたかに。
公達・藤原
勢いがあって怖いもの知らずなタイプ。
乳母・藤原
今の年齢なら40歳過ぎくらいな感じ。
女房・源
以下本文
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音: 鳥のさえずり、遠くに水音
廊下をこちらに向かう軽い足音
衣擦れ
おひいさま。
姫「(嫌そうに)えぇ。」
徳子「わかりました。
なかったことにいたしましょう。」
徳子「あら、また二条藤原の
相変わらず素敵な
墨の色も文字も
おひいさま、ご覧にいれましょうか?」
姫「(嬉しそうに)えぇ。」
音:手紙を開く音
姫「(うっとりと)あぁ。」
徳子「そうですか。
そろそろお返事を差し上げてもいいかもしれないわね。
依子「はい。かしこまりました。」
音:遠くで騒がしい人の声
馬のいななき
庭の玉砂利を踏む勢いのある足音(まだ遠い)
徳子「
下は少しだけ開けておくのですよ。」
音:すだれをおろす音
重なるように衣擦れ
徳子「ささ、おひいさまは奥へ!
あ、裾の重ねとお
音:玉砂利を踏む音が部屋の前まで来る。
姫君。ご無礼の段、お許し下され。
待てども待てどもお返事がいただけないので、居ても立っても
姫「(夢見がちに)あぁ。」
依子「(うきうきと)あら、まあ!涼やかなお声。」
徳子「(御簾の内より声を張って)これはこれは、二条のお方。
今しがた
師通「口では伝えきれない思いを込めましたのに、なんとつれないことを申されるのか。」
依子「(こそこそと)受け答え、悪くありませんね。」
姫「(力強く)ええ。」
徳子「姫がお許しになりました。
師通「ありがたきこと。」
音:木の階段を三段上がる音
姫「(嬉しげに)あぁ!」
徳子「(小声で)あらホント、見目麗しいこと。
(声を張って)ご訪問は、乳母のわたくしを通して話を進めていただかないと。
ねぇ、
師通「(小声で)おお。
さぞかし愛らしい姫君に違いない。」
徳子「(独白)よし、エサにかかったわね。
(小声で)依子!
音 パタパタと扇で扇ぐ音
姫君「(切なそうに)あ、あぁ。」
師通「(ハッとして)今の声は姫君か?
おお、なんとかぐわしい香り。
はっ!これは噂の
これを作ることがお出来になるとは、なんと得難い姫君であろうか。
(前のめりな感じで)乳母殿!
無礼を承知でお願い申し上げる。
姫君のもとへ通うことをお許しいただいたい。」
徳子「(もったいぶって)まぁ、そんないきなり。
(後ろに向かって、小声で)
(外に向かって、もったいぶって)そうですね。まずはひと月、毎日お文をくださいませ。
それからですわね。」
依子「(外にむかって、少し偉そうに)
姫様が、これを
師通「なんと、あの
こ れをわたくしに?」
徳子「(婉然と)
師通「なんと嬉しいこと。
必ずや!」
音 玉砂利を踏んで足音が去っていく。
徳子「よしっ!捕まえたわね。」
依子「やりましたね!」
姫「(嬉しそうに)あぁ!」
音:風の音
鳥のさえずり
遠くに水の音
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