第6話
僕を諭すようにあずみは恐ろしい目付きで言った。
「君に何があったのかは知らない。だけど君はずっとスポーツを続けていたのに、何故か底辺校に来ている。不思議だな。まぁそのおかげで私は君と会えたんだが」
「……何が目的だ」
「言っただろ。君をあの姉妹から助けてやるって」
「黙れ。お前なんかに助けられる筋合いは無い」
あずみから逃げようとコーラの缶をギュッと握りしめながら走ろうとした時だった。後ろからバチバチッと嫌な音が聴こえる。
「君の悪いところだ。最後まで話を聞かない。あ、これ? これはスタンガン。私結構夜に動くから護身的な意味で持ってるんだ」
「な、なんなんだよお前は!」
「私かい? 私はあずみ」
「名前じゃねぇよ!」
「じゃあ答えを変えるね。貴方のストーカーだよ」
ストーカーだと自白するあずみに絶句していた。普通隠すものだと思っていたからだ。余計にこいつから逃げなければならない。そう本能が叫んでいたがスタンガンを持つ女からどう逃げる。
「スタンガンを降ろしてくれないか」
「降ろしたら逃げるだろう?」
「……なら質問を変える。なぜ俺をストーキングしてる?」
「好きだから」
片手にスタンガンを持ち、ストーカーだと自白する女からの告白に思わず固まってしまった。脳が理解を拒んでいた。
すると、ふと見えたあずみの顔が曇っているように感じ後ろを振り向くと出刃包丁を持った茉莉姉さんがニヤッと笑いながら立っていた。
「遅いよ。心配じゃない」
「ま、茉莉姉さん……」
「あの女は誰?」
「く、クラスメイト」
「へー。クラスメイトねー。お嬢ちゃん早く帰んなきゃお家の人心配するよ?」
バチバチに互い睨み合っている修羅場。僕はそそくさと逃げようとタイミングを伺っていたが、茉莉姉さんは笑いながら言った。
「まぁ全部会話知ってるんだけどね」
「へぁっ?!」
「ふふっ。あずみちゃん? 貴方からこの子は奪わせない。私のモノなの」
「はああああ?!?! コイツの幸せ考えずに高校押し込んだクソアマが何言ってんだコラァ!!!」
「あら可愛げ無いこと」
「今は許してやるが、絶対殺しにきてやる!」
「待ってるわ。あずみちゃん」
僕は今何を見ているのだろうか。
現実? それとも非現実? 夢?
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