第47話

 飛行機から降りて、久々の我が家へに帰ってきた。僕はすぐにでも女性監督に電話をして学校進学の話を進めたいと勝手に思っていると、神妙な面持ちで茉莉姉さんと、そして久々に会う妹の梨々花が立っていた。


「どしたの?」

「ねぇ、りゅーくん。ほんとにそこでいいの?」

「お兄ちゃんまじでそこ行くつもり?」


 僕は二人が何を言っているのかすぐに分かってしまったが、疑問も同時に浮かぶ。どうして高校進学先を決めてしまおうとしているのかを知っているのかという点だ。


 考えられる可能性は盗聴、それか僕が居たエントランスにも居て後ろで盗み聞きしていたのか、そのどちらかだとは思うが、僕は真相を知りたくもない。


 だから二人に言った。


「これは僕の将来のためだから、ここに行かせて。寮制度とかあるみたいだし、寮暮らしにはなると思うんだけど」


 そう言うと二人は、先程までの表情とは打って変わってとても恐ろしい鬼のような顔に変わる。そして僕の肩を強く掴みながら言った。


「絶対だめ。許さない。私はりゅーくんと離れ離れなんて嫌だから」

「これは僕の進路のために!」

「梨々花も嫌だよ。お兄ちゃん」

「だからこれは二人の為じゃないんだって!」


 すると茉莉姉さんは少し考え込み、奥へと行ってしまった。梨々花はそれを追いかけるように茉莉姉さんの背中を擦りながら僕を睨みつけた。


 この姉妹が出来てから、不自由しかない。

 なんでこんなにも自由が少なくなってしまったのか、もう何も考えたくないほどに頭が疲れてしまい、僕は自室のベッドに倒れ込んだ。

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