第37話
家を出てから1時間後のこと僕は坂上たちと約束した場所に着いていた。わかりやすい白色の大きいオブジェがある場所は待ち合わせに最適であり、すぐ集まれるだろうと考えていた。
僕が着いてから数分後に皆が揃って紙袋を持ちながら約束の場所に到着していた。すると坂上は紙袋を僕に強引に持たせながら言った。
「これ、大会行く時に持って行ってくれ」
「な、なにこれ」
「家帰ったら開けてくれな!」
僕は持ってきていたリュックに仕舞い、皆が行く場所について行った。ゲームセンター、服屋、本屋など巡りながら皆で受験どうするか、進路どうするかなど話しながら数時間遊び回ったあとだった。
「あれ、お兄ちゃん?」
「り、梨々花ちゃん」
「遊んでたの?」
「う、うん。じゃあね。気をつけて家帰るんだよ?」
梨々花とバッタリ出会ってしまった。梨々花もどうやら友達と遊んでいたようで、偶然にも同じルートを歩いていた。すると梨々花は僕の後ろにいた坂上以外の女の子二人を睨みつけながら言った。
「可愛い子居るんだね」
「え?」
「ふーん。あっそ。じゃあね」
梨々花からほんのりと怒った感じの匂いが感じる。何か癪に障ってしまったのか少し恐怖を感じつつも、皆が待っているため早めに戻ると坂上は言った。
「妹ちゃん?」
「そうだよ。まぁ血は繋がってないけどね」
「そっかー。俺も妹欲しかったんだよな〜」
「お兄ちゃん居るし、それじゃ不満なのか?」
「兄貴も良いけど、やっぱこう可愛い妹が欲しかったんだよ。親父たちに頼むかー?」
ニコニコと笑いながらトンデモ発言をする坂上を女子二人は嫌悪の目付きで見ながら声を合わせて言った。
「私たちが母親ならそんなこと言われるの無理!」
坂上は驚きながらも、いつものように冗談交じりの話をしながら場を盛り上げていた。坂上は凄いなと感じながらも、次の目的地であるカラオケに着く。
飲み物と晩御飯としてフライドポテトなどの食べ物を頼みながら皆で歌い合い、楽しい時間が過ぎていった。
カラオケに入れる時刻21時を回り、皆が母親や父親から連絡が入り帰ってこいとの命令が下され皆がそれぞれ帰って行った。坂上もるんるんとスキップをしながらよほど楽しかったのか目に見てわかるほどの姿で帰っていった。
僕はちらっとスマホを確認すると茉莉姉さんから数百件、梨々花から200件にもおよぶ連絡が入っており焦って家に帰ろうと地下鉄に乗り込む。
家に着いたのは22時半を回った頃だった。恐る恐る玄関を開けると、茉莉姉さんと梨々花は正座をしながら僕の帰りをじっと待っていた。
「た、ただいま」
「お帰りなさい。遅かったですね。龍介くん」
「ご、ごめんなさい茉莉姉さん」
茉莉姉さんはかなり怒っているようでこんな遅くまで遊んでいたことに対して心配してくれていたようだった。
梨々花の方をちらっと見ると、梨々花は怒っているような感じではなかったが寂しそうな顔をしながら言った。
「お兄ちゃんは私たちより友達選んだんだね」
「え?!」
「うん。わかるよ。お兄ちゃんも友達大事だもん」
「あ、うん」
「でもさ……」
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