第36話
夏休みが始まり、それぞれがそれぞれの思いを持って過ごすこの1ヶ月間。僕はまず全国制覇のために、大会の日まで筋トレの回数を増やし、食事の量を減らし筋量を増やして身体を作ろうとしていく中、同じく夏休みに入った義姉、義妹に邪魔される日々を送っていた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんがー!!」
「ま、また何かしたの」
「違うの龍介くん!」
まずあるのは、朝起きてからの喧嘩。どちらが僕の朝ごはんを作るかで喧嘩をして朝食が遅れること。僕が作ればいい話しなのだが、僕がキッチンに立ち包丁を持った途端、包丁を離すようにと怒られる始末。
どう解決すべきか悩みつつ、僕は当番表を作りこの日は茉莉姉さん、この日は梨々花だと決めたまでは良いものの、やはり喧嘩の種はこれだけではなく筋トレ最中もどちらが僕の筋トレを手伝うのかで喧嘩をしてしまう。
1人でやらせてくれ。そう思いながらもこの2人に逆らっては僕がやばい立場になると思って何も言えずじまいだった。
そんな日々がすぎて、1週間経った頃だった。大会まで残りわずかとなった時、携帯に1件の着信が入る。監督からだった。
「はい、龍介です」
「お、騒がしいな」
「すみません。義姉たちが喧嘩してまして。ところで御用ありました?」
「あぁ、深雪が退院してな全国大会にどうやら俺らが着いていけそうでな」
「ほ、本当ですか?!」
「おう!」
「熊谷さんからは僕から連絡入れておきます!」
「いや、もう既に入れてあってな。お前からの連絡は不要だそうだ。頑張れって応援してくれてるぞ」
深雪さんが無事退院したことで、どうやら深雪さんも僕の全国大会を応援するために着いてきてくれるようで、かなり気合いも入る。
坂上も来るのかと連絡を入れると、明日大会応援も兼ねて遊ばないかとお誘いが来る。僕は有難くその遊びの約束を取り付けて明日を待った。
☆☆☆
翌日義姉妹たちの喧嘩の声で目が覚める。いつも通りの日常生活でなんら変わりのない朝に僕はささっと、置いてあったパンを貪りながら坂上と連絡を取りながらどこ集合かを確認しながら財布を持ち出掛けようとした時だった。
「どこかいくの?」
「友達と遊びに」
「じゃ、じゃあこれ」
茉莉姉さんは1万円を渡してきたが、僕は昔からちょいちょいへそくりを貯金していたおかげで、今はお小遣いを貰わなくても、友達と遊べる分はあるため、断ると茉莉姉さんは泣き目になりながら言った。
「お姉さんケチだって思われない……?」
「お、思われませんよ!」
「ほ、ほんとに?」
「もう大丈夫ですから。行ってきますね!」
「う、うん」
僕は家を飛び出し、坂上たちのまつ場所へと足を運んだ。
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