第5話
ゴタゴタが起きた昨夜から一夜明けて、翌朝午前5時。僕はいつもこの時間に起きてランニングに行くのだが、ジャージに着替えているとこんな時間にも関わらず茉莉姉さんは既に起きていた。
「お、おはようございます」
「龍介くんおはよ。どこ行くの?」
「あ、ランニングに」
「そう。きをつけてね?」
「はい」
まだまだ会話に慣れず、ガチガチに緊張してしまってろくに茉莉姉さんの顔を見れなかった。
僕はそんな茉莉姉さんとの関係や梨々花ちゃんが居るということ1度ランニング中に全部忘れて走ってスッキリしようといつもよりハイペースで飛ばしていた。
するといつも同じランニングコースを走る綺麗なお姉さんが居た。
「おはようございます!」
「おはよっ。今日はハイペースだね」
「ちょっと色々ありまして」
「わかる。私も忘れたいことあったら、ハイペースで飛ばすもん〜」
「じゃ、お先に」
「うん!」
いつも会うお姉さんとの会話のおかげで少しばかり気が楽になったような感覚が襲う。
午前6時30分頃。家に帰宅すると玄関までいい匂いが届く。
「た、ただいま」
「龍介くんおかえり!」
「まーた私たち置いて出掛けたんだ」
「り、梨々花ちゃん、そんなんじゃないって」
茉莉姉さんは優しく僕を包むように「おかえり」と言ってくれるが、昨日の件のせいか梨々花ちゃんは未だに冷たくあしらう。正反対な2人にどう対応していいかわからず、ただ用意されていた朝ごはんを食べ、早めに学校へ行こうとシャワーを浴びる。
午前7時になり、僕はカバンを持って学校へ向かおうとすると梨々花ちゃんは僕のカバンのベルトを掴み言った。
「今日も帰り遅いの?」
「あ、うん。部活があるから」
「あっそ。私なんてどーでもいいんだね」
「え?」
「私がどーなったっていいんだ〜」
「な、なにを?」
梨々花ちゃんが何をしたいのか、どういう意図で僕に言ってきているのか訳分からず頭を悩ませながら、またハイペースで走りながら学校へ向かった。
学校へ着いたのは7時30分頃の事だった。
自分の教室へはいると窓際の席に、しかも僕の席に座る周りからは【クールな子で近寄りずらい】と呼ばれている子が居た。
「あ、あの」
「早いね」
「
「……」
「え?」
「ううんなんでもない」
冴香ちゃんが何かボソッと言ったように聞こえたが、空耳のようだ。
僕は冴香ちゃんに席に座りたいんだけど、と交渉したが何故か一向にどける気配などなくむしろそのまま寝ようとしていた。
「お、起きて?」
「なら後ろの席私のじゃん。座れば?」
「えっと、なんで?」
「な、なんでって」
そんな会話をしていると、続々とクラスメイトが登校し始める。すると冴香ちゃんは急に席から立ち自分の席へと移動した。
「なんなんだろ」
僕はただこの一言の感想に尽きる。
教室でも訳分からない子が居るのに、家へ帰っても梨々花ちゃんという不思議な子がいる。
どうすればいいか分からず、授業までの間寝ようと机に突っ伏した。
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