第352話『わーい、初パーティーだー』





 第三百五十二話『わーい、初パーティーだー』





 十月三十一日、朝、ウンコタウンの雨は止んだ。


 ウンコタウンをダンジョン化して一日、その間、ウンコハウスは解体して緑地公園にした。あそこだけは存在がゆるせなかったんだ。


 ウンコタウンの総人口は約三万人、街の規模が小さい所為せいか少ない。


 せめて5km四方程度の面積が有れば十分な人口が確保できたように思うが、普通に考えたらそんな規模の城郭都市は建設も維持も大変か。


 とは言っても、悪魔の移住が進んでいるので、ダンジョン街にける税源問題は解決している。うちのダンジョンはどこもうるおい過ぎて困るほどだ。


 このウンコタウンに居た元の住民は人畜としてゴッソリ地下へ移動、城郭内の街ごと地下へ沈めた。


 これも、潤沢なDPを持つダンジョンならではの力業ちからわざですね。


 沈めた街の建物はウンコハウス以外放置してある。行政機関や宗教施設もそのまんま、人事もイジっていない、組織解体すらしていない。


 どうぞ自由にやってくれと優しく言っておいた。


 なんなら反攻の密談や打倒ゴリラ集会なんかも開いて頂きたい、反体制活動を邪魔するヤツが居たら言いなさい、そんな頭お花畑野郎は死刑です。


 あ、教会で神頼みとか勇者召喚とか最高です、お小遣いあげちゃう。どんどんやってクレメンス。


 え、外部との連絡?

 自由に決まっているじゃないですかヤダー。


 ほれ、ここに抜け道が在るじゃろ?

 この道はみんなで自由に使うんじゃよ?


 仲間を連れて来た子にはこの『ミスロリ銀貨』をあげよう。

 何度も連れて来た子には『アゲマンタイト金貨』を贈呈だ。

 街の実力者になったら『モモイロカネ聖貨』を毎月支給っ!!


 え、お金の価値が分からない?


 そうか、ならば説明しようっ!!

 スタッフゥー、ちょっと手伝ってぇー、スタッフゥー!!


 ハイ次、商店街創造っ、せいやーっ!!

 先ずは衣類からっ!! そいやーっ!!


 服飾高級ブランド店『ココ・シャブル』―っ!!

 市民の味方『結束ファッショセンター・いたりあ』―っ!!

 いたりあだけには負けないっ、物量の覇王『ハラグロ』―っ!!


 ……と、そんな感じに店を並べつつ、サキュバスやインキュバスのエロいファッションショーを見せながら、このミスロリ銀貨一枚で『あの』や『そこの彼』を買えるんじゃよ? 的な説明をした。


 スタッフゥーが着ている服はただの飾り、これは人畜共のヤる気をうながす性的貨幣価値基準理解促進講座なのであるっ!!


 そりゃぁもう『効果はバツグンだっ!!』状態ですわ。


 俺のダンジョンはエロい事してナンボですからね、人畜が住む街とは別の階層に娼館街を創りましたとも、当然ですね。


 その娼館街と、そこで働くスタッフゥーの皆さんを人畜共に見せてみました。


 結果は言わずもがな、爆釣ばくちょうだったね。


 悪魔の誘惑に勝てる人畜など居ないのだよっ!!


 仮に性欲を捨てた聖人が居たとしても、その捨てた性欲を見つけて拾って来るのが悪魔である、舐めないで頂きたい……っ!!


 聖人気取りの生臭坊主が、早速支給されたモモイロカネ聖貨を握り締めて最高級娼館へ向かうさまときたら、絵画としてマハルシ大神殿のエントランスに飾りたいほど美しかったねっ!!


 あの生臭坊主が神から加護を剥ぎ取られたら……ベルゼブスの加護を与えてやろうそうしよう。


 ――で、そのベルゼブスはと言うと……



「おいジャキ、この辺りが良いんじゃないか? あっちに真我の子が城を建てるのだろう? じゃぁ弟分としてぇ、ここから~あそこまでは敷地を確保したいところだなっ!! それでぇ、こう、こんな感じのお城を建てるのだっ、あ、あ、ぼ、僕の部屋も造る事を許す……」



 ……と、このように、四六時中ジャキに付きまとってシャベくり倒している。


 常にジッとしていない、落ち着きが無い、さすが蠅の王。

 ジャキはジャキで何故かバアルを可愛がっている不思議。


 そんなジャキの様子と、ペニバンの不貞をヴェーダ経由で知り驚いた存在が三人、ジャキに嫁いだコア娘三姉妹だが……即行でウンコダンジョンに転移して来た。


 三姉妹は大神殿の最奥に造ったコアルームのモニターでジャキとバアルを観察。


 結果、三姉妹は有罪を主張。


 あれは心を奪われている、と。

 自分達の姿はジャキの心から消えている、と……


 しかし、大森林では強い者が正義、強者の選択には従うほか無い。


 魔王ベルゼブブはベルゼビュートと名乗ってまでジャキのドリルを放さなかった、即ち……答えは既に出て居たのだ。


 ペニバンもそこに気付いて涙した……


 そのペニバンは三姉妹に『大猿王最高よね演説』をかましてジャキとの離縁を選択、三姉妹もそれにならった。


 くして、ジャキは独り身となり、その隣にバアル・ザ・ウンコガールが立ち、ペニバンと三姉妹は他の俺や分神達と共に創造したばかりのアートマン神殿内で凄いセクロスをしている。


 急な別れを告げられたジャキは『ほ、掘られるのは、痛かったなの……』と、悲し気な笑みを浮かべて離縁を承諾し、隣に立つバアルの胸で『やっと地獄から解放されたなのー、うぇぇん』と泣いた。


 だがなジャキよ、お前は解放されてなどいない、お前が抱き着いたヤツは地獄の獄長サタナエルに比肩する【地獄】そのものだぞ……


 泣いているお前を優しく抱きしめながら、蠅王がどんなツラしていたか……お前は知らない方が良い、絶対にだ。


 今もホンワカとイチャコラするジャキとバアル見て、僕はそう思たのです。


 って言うか、早くウンコタウンのジャキハウスを何処どこに建てるか決めろ、こっちはヒマじゃねぇんだよ……


 そもそもバアルは何しゃしゃって来てんの?

 お前は早く魔界に帰れよなー……



『ここの臭気と瘴気はベルゼブブの好みに合っていそうですからねぇ……あ、やっぱりそうだ、神殿の奥に並べたトンネルからベルゼブブの眷属が押し寄せて来ました、嫌だわぁ、私の星に不浄が住むなんて、トホホ』



 えぇぇ、何コイツ、ここに住むの?

 ウンコが豊富だから?



『ルシフェルが居る魔界から離れたい一心だと思いますが、ジャキの存在が一番の理由でしょう。ジャッキー列島にもウンコハウスを造ればいいのに、本当に駄目な豚ね……』



 列島はなぁ、あそこは実質ロキさんの縄張りだしなぁ、ロッキー大陸の盲腸的な位置付けだろあそこ。


 ったく、しゃぁねぇなぁ……



「おいジャキ」


「ぶひー? 何?」


「この大陸はお前とバアル夫妻の切り取り自由って事にしてやる、はげめ」


「ぶ、ぶひぃ? お、おうっ!!(キリトリ自由って何だろう?」

「ふ、夫妻ぃっ、何を馬鹿なっ、夫妻って、夫妻……(ポッ」



 よし、この街もウンコ夫婦に任せておけば良いなっ!!


 でもコアがコマン子なのは駄目だな……

 イズアルナーギ様の強化コアに変えるか。


 でも強化コアは美味しいから勿体無い……



『イズアルナーギの強化コアは実質無限に在ります、気にせず使って下さい。心配せずとも無償で貰っているわけではありません、ちゃんと甲虫と言う対価を払っています』



 あ、あの高級食材『イズアルナーギ様の強化コア』が無限に……ゴクリ。


 と、とにかく、ここのダンジョンコアは強化版に変えよう。


 それが終わったら……俺は城壁の外で小さな家を建てて、そこで少数ハーレムを作って勇者っぽい奴が釣れるのを待つっ!!


 居るか分からんけどアホは釣れる、絶対になっ!!



『ハーレム人員の選抜は私がやっておきますね、殺し合いになりそうなので』



 お、おう……



『女神と妊娠中の者は除外……となると、移民悪魔から募集するのが手っ取り早いですが……大森林の古参眷属から不満の声が挙がっていますので……う~ん……あ、この子達なら』



 だ、誰が来るんだろう……?







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