第334話『不思議だなぁ……』
第三百三十四話『不思議だなぁ……』
十月十三日、熱い交渉が行われていた昼食に桃色空間へ転移し、ほぼゼロ秒の一瞬だけ議長席から姿を消して戻って来た俺に対し、複数の鋭い眼光が突き刺さった。痛いです刺さないで下さい。
やはり大物が
そんなモノすぐに見破られるし不興を買う。
メリットが何も無い、愚かさを認めてもらえるだけだな。
俺はアホだがバカではない、大魔王やマーラニキを騙すなんて考えないし、不興を買って信用と信頼も失うなんて事も御免だ。
だがしかし、そんな俺の気持ちはこの場に居る神々に関係無い、俺が一瞬消えたと言う事実が問題なんだ。
俺に対していつも優しい大魔王さんが冷たい視線を向けてきた。
「ナオキ君……こんな時に、私がゼウスと交渉している時に、義息の君は嫁と異空間で性交渉かね……良い交渉が出来たのか教えてくれるかな?」
ヒ、ヒィィっ、なんて
新妻をイジメる
マズい、このままでは……誤解を解く前に条件反射で土下座するようになってしまった悲しき新妻さんの如く
『大丈夫です、思い出して、【桃色牛追い祭り】の楽しかった日々を、あの幸せに包まれた七億年の年月を……』
桃色、牛追い祭り……あぁ、思い出したぜ。
七億年の凌辱、嫁さんズの派閥化……へへへ。
今回はハードだった。
特に、第十四万五千九百七十回【オマン国際女子大会】はキツかった。優勝者に与えられる副賞が『千年間桃色監禁ツアー』、勝者は『優勝は何回目か分からない女』と呼ばれるヴェーダだった。
そんな女傑に監禁された千年……フフッ(涙
大魔王がナンボのもんじゃい……っ!!(クワッ
俺は椅子から立ち上がり、『頭のオカシイ親父が飲み過ぎて幼かった兄貴の布団の上にウンコをして爆睡した時の母ちゃんが見せたゴミカスを見る目』を俺に向ける大魔王さんの許へ向かった。
俺の堂々とヒヨった歩みを見つめる神々、ゼウスは何やら気付いた様子でニヤリと笑った。
大魔王さんの前で立ち止まる。
ここで大魔王さんも気付いた。
気付くはずだ、羊陰毛糸に気付いてコレに気付かないハズがない。
「……ナオキ君、その右手に持っている【奇跡】を私に見せてくれ」
「えぇ、構わんですよ、どうぞ……陰毛育成に一年、香りの熟成に七億年、鹿児島生まれの黒毛和牛娘から先ほど刈り取った至高のホヤホヤ陰毛糸、名付けて【
俺の巨大な右手に収まっていた漆黒陰毛糸の一束が『ふぁさぁ~』と音無き音を立てて手の平で広がる。
目を見開く大魔王、隣で『ヒュ~』と口笛を吹く天空神。
俺は大魔王さんの右手を左手で掴み、掴んだ手の平の上に柔らかな漆黒をファサ~リと乗せた。
驚愕の表情から眉間にシワを寄せた真剣な表情に変わる大魔王さん。
右手を目の前に持ってきて漆黒をじっくり観察。
「……分かる、私には分かるぞナオキ君、この陰毛糸に詰まった黒毛和牛娘の想い出が私には分かる……っ!!」
「フフフ、そうですか?(困惑」
「あぁ、この陰毛には食事中に襲われた時の驚きと喜びが、こっちの陰毛にはトイレを覗かれている事を知った時の恥ずかしさとイケナイ喜びが、この
「フフッ、偶然ですよ、偶然(真剣」
大魔王さんが何か意味の分からない事を言っているが、俺が持って来た商品は好評のようだ。
ゼウスが右手を差し出して来たので、ハイハイと桃色空間に手を突っ込み、漆黒を取り出して乗せてやった。
ゼウスは手に持った漆黒に顔を埋めて深呼吸。
「スゥゥゥ~~~はぁぁ、なるほど、恐ろしく純粋な心の持ち主に世話をされたな、この牛娘。漆黒の中に純白の想い出が詰まっておる、まさに霜降り和牛、と言ったところか」
「お、おう、そんな感じ」
ゼウスも何か変な事言い出した……あの陰毛糸には頭を駄目にする物質でも付着しているのだろうか?
まぁ確かに、純真魔王エーちゃんがよく可愛がっていたが……
あ、不思議空間で生まれた妖蜂と妖蟻の子供達も世話してたな……
そう考えると、あの牛娘に接触する
何だかあれだな、世間の汚さを知らない箱入り娘が、世の中の酸いも甘いも経験したオッサンの口車に乗って写真撮影会してたら、何故かAVデビューしてました的な、神界の闇を感じざるを得んですな……
まったく、寒気がするぜ。
首に巻かれたボザ魔フラーに顔を埋める、あったけぇ……
アングルママがロキさんの隣で俺を見ながら頬を染めた。
ロキさんが居るテーブルの下から『ゴンッ』と勃起ングノックが聞こえた、ロキさんが何故勃起したのか俺には解らない。
取り敢えず、この場に居る奴らに『漆黒』を配っておこう。
ヴェーダ、と言う事で侍女を呼んでくれ。
『ルシフェルのあの真剣な顔を見て下さい、ウフフ、これは一大産業になりそうですね』
ゼウスとの争いが有耶無耶になれば何でもいいです……
って言うかぁ……
「あれだよな、産地も品種も違う陰毛糸を各々で作れば良いよな、年末に品評会とか、陰毛糸を使った衣服等のコンテストとか……ヒィッ」
「良いじゃないかナオキ君、それで行こうっ!! 私は猫娘にしようかな、黒猫、好きなんだよ」
「ならば儂は羊を極めるか……しかし七億年の熟成は……ブツブツ」
大魔王さんに両肩を掴まれて頭をガクンガクンされた。
あんた、どうやって俺の巨体の肩を掴んだの?
何だろう、普通に怖いんだけど……
まぁいいや、そんな事よりっ!!
身内で経済回すのも良いけど、どっちかっつーと俺はイズアルナーギ様の世界と商売したいんだよね。
向こうは圧倒的なトンデモ科学技術が有るし、イズアルナーギ様の神界で作られる物も頭オカシイレベルの希少なものばかり……
それを譲って貰う、購入する、その為の対価が今のところ甲蟲だけと言う悲しさ……
しかも俺とイズアルナーギ様の個人取引だ、更に、とんでもない身内割が効いてる価格設定、これは駄目です。
なぁなぁでやっていると甘えが出る、現に今のゴリラ帝国はイズアルナーギ様が片手間で振るった権能による恩恵にドップリ使って向上心が減った。
今でも頑張っているのは兵器職人のドワーフ達くらいだ。
これでは駄目です、民衆がアホになってしまいます。
もっとガッツリ上から下まで商工業に関わって欲しい。無論、他の職業も同じように思っている。
何て言うか、モノを考える事を
まず考えて行動、シンプルだからこそ大事っ!!
その辺りが『コピー商品』に打ち勝つ秘訣だっ!!
最近、無性に腹立つんだよな、コピー商品。
あぁ……コピー商品ブッ殺してぇ……
って、やべぇなこの考え。商品殺すって何だよ。
そもそも何で俺はコピー商品の事を考えてるんだ?
…………まぁいいかっ!!
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