第330話『見ろ、ヤツの出オチ感よ……』





 第三百三十話『見ろ、ヤツの出オチ感よ……』





【人物紹介】


【マーラ】仏教の悪神、ゴリラの兄貴分、マーラニキ、全身ペニスマンのモザイク処理必須兄貴。魔人『魔ドンナ』こと『ドィンラン・オメコンナ』が支配していた上級ダンジョン『パパドンプリーチ城』の新しい主。元はヒンドゥーの神。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 十月十三日、午前十時、大森林は快晴だが俺の心は曇る。


 取り敢えず、曇る原因となったお方を観察……


 緩いウェーブが付いた黒髪、七三に分けられた髪は横を手櫛で流したようなテキトー感が有るものの、そこがワイルド……


 褐色の肌、彫りの深いダンディーな顔、赤紫に光る瞳、ノーネクタイで胸のボタンを二つほど外した白いシャツ、黒い上下のお高そうなスーツ……


 ……と思ったら無数の蠅がスーツの形に偽装してて駄目だった。しかもその偽装した蠅は『御付きの者』だとヴェーダから聞いてまた駄目だった、付きすぎて草。



 と言う事で……

 会議出席者のマハルシ到着一発目は蠅の王様だった……



 僕の知ってゆ有名な魔王だった……

 現在はVIP歓待の控室で侍女にウンコの話をしてゆ……


 ヴェーダ、あの憐れな悪魔侍女とスカ専門娼婦を交代させてあげて。



『こんな事もあろうかと、既に対処済みですよラージャ』


「こんな事もあろうかとぉーーっ!?」


『あの侍女は厠番【後方突撃隊】の切り込み隊長です、ご安心を』


「そ、そうか、後方突撃隊か……後方突撃隊ぃーーっ!?」



 い、言われてみれば、顔面から突撃して来る子達も居たな……


 ならばヨシッ!!

 蠅王がヒマそうだったら便所巡りにご招待で。



『え? ジャキの所へ向かわせるのですか?』



 ヒド過ぎワロタ。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 さぁっ、気を取り直して、二番バッターは誰だ~?


 おっ、転移反応…………何、だとっ!!



『あら珍しい、引き籠りがどういった風の吹き回しでしょうか?』


「な、何で兄貴が、マーラの兄貴が……?」



 パパドンプリーチ城の最奥で、そのビッグなボディを御簾みすに隠して女犯罪者を串刺しにする事以外興味が無いマーラニキが、何本有るか分からないペニスで受刑者を串刺しにしたまま現れるなんて……っ!?


 そんなマーラニキを見たフリンがゴクリと喉を鳴らしつつ、俺の小ゴリラとマーラニキの巨マーラを見比べて悲しそうな顔をしている……っ!!


 カチンとキました。



「フリンよ」

「え、あ、ハイ、何でしょう?」


「たとえマーラニキの性宇宙セクモが極まって性なる第七感セブンセックスに目覚め、光速ピストンが可能になろうとも、なおこの人外帝王に及ばぬと知れ……【ペロサス・流星拳】っ!!」


「は? ちょっ!! イッぐぅぅぅぅっ、コレしゅごいぃぃっ……」


『性に関する勝負では容赦が無いですね、困ったもンほぉぉー……』



 まだだ、俺の怒りはまだ終わらんよっ!!

 萌え上がれ心の性宇宙っ!!



えよ男根分神っ、その身にきざめ【南都有情うじょう百裂突き】っ!!」


「キャァァッ、また陛下のスゴイのキたぁぁっイッぐぅぅぅ……」


あわれね、感情任せで強引なセックス、私を只の性道具扱い、貴方はいつもそウッホぉぉでも好きぃぃぃっ……』



 成敗っ!!


 南都の文句は俺に言え……

 小ゴリラの文句は言わないで下さい……

 マハルシ内に居る眷属達も昇天したが赦して下さい……



 って、マーラニキは控室に入ったか。

 蠅王と喧嘩にならなければ良いが……あっ。



≪クソ臭ぇなぁこの部屋はよぉ……≫

≪フッ、愛の神カーマデーヴァが何用だ?≫


≪俺をその名で呼ぶんじゃねぇ、殺すぞ≫

≪やってみな、カーマちゃん≫



 ズコーーーッ!!

 兄貴から喧嘩売ったーーっ!!


 誰かタスケテー―っ!!



≪ブッヒッヒ、俺様到着ぅ~っ!!≫



 お前じゃねぇーーーっ!!




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 とんでもないタイミングでアホが到着。


 案の定、手下を百人ぐらい連れてドヤ顔……


 しかも、戦争捕虜の女獣人共をヨツンヴァインにさせ、その上に寝転んで干し芋をむさぼる外道スタイルの豚骨バイキンマン……


 ちゃっかり悪魔副官のペニバンとコア娘三姉妹を連れて来ている辺りにマウント姿勢を感じる。


 ってか、何がムカツクって、その豚骨バイキンマンを囲む豚の手下共が肩で風切って歩く様がイキり散らし過ぎて草も生えん……


 あんなアホ共を従える豚でもそのコアな人気ゆえに一定の信仰を獲得し、存在進化して神に至ったと言う事実が、俺に世の無常を痛感させる。


 ジャキも今では『天蓬元帥てんぽうげんすい』と言う一端いっぱしの神だ。


 まぁレインも『捲簾大将けんれんたいしょう』と言う神になった。俺の兄弟分は眷属からの人気が有るからな、当然と言えば当然だが……


 しかし、神としてはまだまだヒヨッコ、あの険悪な控室で新米ゴッドのジャキがどう対処――



≪ああっ!! マーラの伯父貴オジキっ、お疲れ様でぇーっす!! 今日はこっちに来てたんスねっ!! おいテメェらっ、兄貴の兄貴でマーラ様だっ、丁重にしゃぶって差し上げろっ!!≫


≪お前は……ジャキ、兄弟の弟分か……フッ、良い面構えだ、気に入ったぜ≫



 何だろう、ジャキが有能な下っ端になってる……



≪……え~っとぉ、それで、強者の雰囲気漂うそちらの御仁は? えぇぇっ!? 魔界の魔王様っ!? こいつぁとんだ失礼をっ!! おいテメェらっ、そちらの魔王様にアスホールを嗅がせて差し上げろっ!!≫


≪ほぅ……何故俺にアスホールを?≫


≪へへへ、魔王様が相手していらっしゃるそっちの嬢ちゃんは、まぁ俺達の世界じゃぁ少しばかり有名でしてねっ、それに俺ぁ、ほらこの通り、鼻が利くんですよっ、なんつって!!≫


≪クックック、真我の息子は良い弟分を持ったな……おいヒンドゥーの、一時休戦だ≫


≪フンッ、しょうがねぇ……はぁぁ、手打ちだ、飲みな≫

≪何だこれは……ほぅ、ソーマか、頂こう≫


≪あ、俺がおぎしやす……≫



 何だろう、ジャキが有能なヤクザ幹部に見える……



『気のせいです』



 だよなっ!!


 危ねぇ危ねぇ、うっかりジャキの評価を上げるとこだったわー。


 どうせジャキの隣で宙に浮くペニバンに数分後どっかで掘られるんだ、間違いない、僕はペニバンに詳しいんだ。


 ほら、早速ドSなペニバンが動いた。



≪閣下、この場は配下に任せて陛下への謁見を先に……≫


≪え、何でだよ、兄貴はそんな事気にしねぇぞ?≫


≪三姉妹も久しぶりとなる父王陛下との対面、取り敢えず別室で謁見の準備を≫


≪えぇ~、伯父貴や魔王様の接待が――≫


≪ぁくしろよ≫

≪ッッ!!……ハイなの≫



 な?









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