第322話『責任者を呼べっ、まったく……』





 第三百二十二話『責任者を呼べっ、まったく……』





 十月五日、午前十時、神樹マハーカダンバ前広場。


 神樹の根元に並ぶ神像群を拝む場所として使われるその場所は、巫女衆や宮掌くじょう衆は勿論のこと誰もがゴミ一つ無い神聖な空間を保つ為に気を配っている。


 その神聖な場が……

 綺麗な花に囲まれた神聖な皆の場所が……


 ベッチョベチョでエライ事になっている。



 親王羽化を見守っていた全ての民衆が絶頂、男共が痙攣しながら白濁液を発射し続け酷使精巣コクシセイソウで一発即詰み、女性達は何かエッチな汁を大量放出しながらアヘ顔ノーピースでフィニッシュ。


 俺が感知した限りではダンジョンや別空間に居る者を除けば、大森林の生物は昆虫がイモ息子君に即堕ち眷属化、蟲系魔族と蟲系魔物も即堕ち信徒化……


 ダンジョン外で働く若い妖蜂と妖蟻もヤられて信徒化してる……俺の眷属だが、まぁイキ顔が幸せそうなので問題無し。


 獣系は魔族と魔物共に『無理やりなのにイカされちゃった……』的な心の傷を負い半堕ち。


 悪魔とハーピー、そして頭が可哀そうな翼人は普通に幸せな絶頂を楽しみ堕ちず。ゴブリンズも似たようなもんだが男共の絵面がキツイ。


 そして次が問題、イズアルナーギ様の国から来た護衛等は全員が昆虫とのコネ人間なのでアウト、余裕でアウト。


 ケツを掘る掘らないのクソドラマを繰り広げていた護衛の三バカなんて、仰向けに倒れたまま腰をビクンビクン跳ねさせて汚ぇ汁をビュービュー飛ばしながらアウアウ言ってる、もうダメだなありゃぁ……


 いやぁ~まったく、爆心地が山脈と長城で囲われた大森林で助かった、不幸中の幸いですねぇ。


 しかし誰が何の目的でこんな酷い事を……


 コレはまさしくエロスなテロル……

 略して『エロル』じゃないか……っ!!


 私は犯人の親子を知っているが、父親の方は無差別エロルに否定的な紳士、テロはやったがエロルは少ししかやっていない、まぁ過去に数回やった事はある紳士だ、今回の悲しいエロル事件も関与した割合としては低いと思われる。


 つまり、先ほど起きた無差別エロルの真犯人は……

 物事の善悪を学ぶ前の息子ではなく、紳士な親の方……


 紳士な親、即ちダンディーゴリラ、私だ。

 何故か私の頭の上で寝ている息子に罪は無い……


 そう言えば、幼蟲形態から卒業したら彼に名前を付けようと思っていたんだった……


 うむ、丁度良い機会だ、『父親の頭に乗っている状態で名付けられた世界初の子供』になってもらおう。


 君の名は今からンぐほぉぉぉ何じゃぁこりゃぁぁぁっ!?


 体が重いぃぃっ!?

 勇者が使った重力スキルの比じゃないぃぃっ!?


 あ、駄目だコレ、イズアルナーギ様の神気臭がする、ハイ無理、倒れる、倒れました~……


 顔面から行きました、痛くないけど心が痛いです。


 体が汚液まみれだぁ……

 と思ったら、汚液が見当たりません。


 顔を少しだけ上げて周囲を確認、左側に誰か居る……


 足元しか見えんが、二人居るな、アレは……


 右側の狂った存在感はイズアルナーギ様、なるほど、汚液をゴミ箱的な空間にポイしてくれたんですね、アザッス。


 待ちに待った蟲系おいっ子の羽化を知って転移して来たのかな?


 イモ息子君は甲虫系じゃなかったけど大丈夫?

 ぶちキレてコネコネない?


 で、隣に居る小さなピンクの……

 コレは日本のビニール製アニメキャラシューズか?

 それを履いた赤いドレス?の子供だな……誰だ?



「ちょっと、そこのアナタ、お義兄にい様から早く下りて来なさい、お顔がよく見えないわ」



 お義兄様?……あっ!!

 オルダーナの妹かっ!!


 つまりイズアルナーギ様の姉だ……気絶した振りしとこ。



「……ん?」


「そう貴方、蝶々のアナタ……名前は何だっけ、イザーク知ってる?」


「んっ、らいだー(キリッ」



 ッッ!!(驚愕



「そう、良い名前ねっ!! さぁ下りて来なさいライダー、もっと近くでお顔を見せて」


「……面倒臭い、叔父上、そいつは誰?」

「ッッ!! んんんっ!! おじうえ、もっかい」


「叔父上、そいつは誰?」

「んんんっ!! 僕はおじうえっ、こっちはあねうえ」



 イズアルナーギ様が興奮している?

 神気の波がバシバシ当たって痛い……



「そうよっ、私はイザークのお姉ちゃんっ!!」

「……じゃぁ叔母上か」


「オバ上じゃなくてイルーサよっ!! さぁ早く下りて来なさい」



 イルーサ……

 第七王女イルーサか、そうか彼女が……



「はぁ、面倒臭い……」



 何だか押しが強いイルーサ姫の相手に疲れたのか、ライダー君は俺の頭からフワリと舞い降りた。


 全裸の美少年が王族の叔母と初対面。



「スッポンポンねっ、私は気にしないわっ、その天をきそうな御立派様もお見事ねっ、私を見て興奮したのかしらっ、合格っ!! しかし貴方……イザークにそっくり、ふむふむ、いいわっ、お嫁さんになってあげるっ!! イザークっ、お姉ちゃん結婚したわっ!!」


「うん」



 ……ん?

 いや、イルーサ姫は……

 コア息子の誰かとの結婚させる話が有ったような……


 戦隊モノのコア息子が欲しいとか言われた気が……

 まぁ気が変わったなら別にどうでも良いかっ!!


 今回は婚約と言う事で話を進めるんですかね?



「良い結婚だったわねっ、はいライダー抱っこしてあげるっチュッ、御立派様がお腹に当たって邪魔だけど、もっと押し付けなさいっチュッ、それでっ、チュッ、新婚夫婦の新居はどこかしらっ、チュッ?」



 自己完結型結婚は新しいなぁ……

 ちょっとこの子もアレだなぁ……

 前に行き過ぎじゃないかなこの子……


 前方新妻ヅラ少女は幼稚園とかによく居るよね。

 ゴリラの前でチュッチュし過ぎも良くないよ?


 それに新居っつってもなぁ、ライダー君には世話係のコア娘とダンジョンをあげたからそこで良いのかな、目の前に在るけど?


 ライダー君も俺と同じ考えだったのか、広場の地面に開いた大きなダンジョン入り口を指差して「……あそこ」と言った。


 ライダー君は押しかけ女房と化した叔母に『相手をするのが面倒臭いので受け入れる』と言う柔軟で投げやりな考えで接すると決めたようだ。実に利口である。


 ライダー君が指差す先を見たイルーサ姫は首をコテンと傾け、隣でアリンコ観察をしているイズアルナーギ様を呼んだ。



「イザークっ、あそこに住むわっ!!」

「んゅ? わかった」



 何が分かったのだろうか、嫌な予感がする。



「入口の右にドアでつなげた、敵はドアつかえない」

「そうっ、イザークはお利口さんねっ!!」



 敵……敵?



「……叔父上、繋げた先はどこ?」

「虫のわくせい、いせかい」


「……そう、有り難う」

「んっ、ぜんぶ捕って」


「……うん、行ってくる」

「私もイクわっ!!」



 これは……なんだろうな……


 ダンジョン入り口の右側に置いたドアから異世界の惑星に行けるようにしたから、全部捕って来いと、虫の惑星やし全部イケるやろと……


 なるほど、なるほどな……


 昆虫って人の何倍居るんだ……?


 それを広範囲に即行で眷属化可能な上、ライダー君の場合はやる気次第ではあるが、進化させる昆虫の数に上限を無くす事が出来る……


 つまり延々と進化昆虫を、あのカスガ大陸の国々を滅ぼした甲蟲魔人を生み出せる、ほぼ無限に。


 その事実が発覚した当初より羽化後の方が信仰度も上がって力も増している……


 これは……



 誰だこんなヤバイ子を羽化させたアホは?







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