第294話「事件は会議室で起こ(以下略」
第二百九十四話『事件は会議室で起こ(以下略』
九月四日、山脈ダンジョンエントランス、冒険者ギルド支部前。
過酷な九月三日を乗り越えたと思ったら勇者が出て来たの巻~。
「言葉、通じるよね大猿君、返事無いケド?」
これはまた上位者の立場で力一杯にイキてますねぇ……
果たして、君にイキる資格が有るのかな?
取り敢えず名乗れと指摘してみようかな?
礼儀知らずにイキる権利など無いんだよ?
「お前……何でクソダセェ黒マント
「ッッ!!」
しまった、一言カッコ良く『名乗れ』と言いたかっただけなのに、俺の脳ミソの大半を占めていた奴のツッコミどころに対する疑問が少し漏れてしまった……っ!!
顔を真っ赤にする中二病勇者と微妙な空気を呼び込んで居心地が悪いゴリラの図……誰も得せん絵面やなっ!!
勇者が不細工寄りのフツメンなのがまたキツいっ!!
『大丈夫です、まだ挽回出来る空気です、諦めないでっ!!』
ヴェーダ……セックス、間違えたサンクス。
じゃぁもう一回カッコ良くキメるぜ?
「まず名乗れボケ……ん? どうしたプルプル震えて、あ、ハハ~ンなるほど、安心しろ、お前のダサさ具合を聞いた奴らはどうせ全員死ぬ、
「っーーッッ!!」
あ、しまった、ダサさを指摘しない奴が大勢居た事を知ったからか、顔面の紅潮と震えが酷くなった……
だが待てよダサ勇者、その怒りは俺に向けろ。
仲間だと思っていた奴に向けるには悲しすぎる怒りだ……
「どうした勇者っ、名乗ってお前のイキ
「ビクッッッ!! っう……ぐっ……グスッ……くっ、ズビッ……グスッ……」
何だよ、泣きだしたよ……
ワケ解んねぇ……
『さすが私のサイコラージャ、勇者のトラウマを突き刺しまくる鬼畜ぶりに無自覚なイジメっ子の素質を覚えずに居られません』
失礼なっ!!
俺はイジメなんてした事ねぇよ、イジメしてる奴を衆人環視の中でシバキ上げるのが大好きだったし、そいつらのボンタンと短ランを後輩に売る優しい男として定評が有った。
むしろイジメとは対極に在った男、それが俺だっ!!
つまり、このダサ勇者はトラウマの刺激とかそう言う理由で泣いてるんじゃぁねぇ、お分かり?
『うふふ、では他に理由が在るんですね?』
その通りっ!!
俺の推測によると……恐らくコイツは――
――裏切りを体験したんだ、今、な……
『?? ごめんなさい、貴方が何を言っているのか本当に心の底から解らないの、キチンと教えて? 貴方の思考を読んで知るのが少し怖いから……』
へへへ、ったくよぉ、旦那の考えに恐れを抱くとは……可愛いじゃねぇの。
嫌いじゃないぜ、臆病なオマエ……
しょうがないから教えてあげるっ!!
つまりだなぁ、コイツは……ウフッ、コイツはな、ブフッ、コイツは期待していた『神の援護射撃』が無かったから泣いているんだっ!!
言わば『ヤンキーに喧嘩売ったけど親が助けてくれない』状態っ!!
『??……????』
解らねぇか?
コイツは甘えん坊、そう言う事だ……
『なるほど(疑問形)』
俺は甘えん坊将軍が大嫌いなんだ、将軍をイキ
コイツの瞳の奥から覗き見してるクソ野郎を殺して来いヴェーダ、今すぐに。
『ッッン……ハァハァ、御意に(ウットリ)、ゴム丸君、終焉ちゃん、マハーラージャの沙汰が下りました、征きますよ』
お前一人で十分なんじゃ……
ゴム丸君はまぁ分かる、でも冥界で監禁中の終焉ちゃんも連れて行く必要が有るのか疑問が残るな、敵の神域を吸い込まないようにオナシャス。
さて、俺はこの裏切られた男に武士の情けを掛けてあげよう。
「泣くな、お前に加護を与えながらも土壇場で裏切った神は……俺の妻と子供達が滅ぼしに行った、
「ッッ!! うぅぅっ、グスッ、グスッ……」
「フッ、感謝など要らんぞ。だが、男泣きは敵であっても美しいものだな、最期に精一杯泣くがよい……」
「あ、ッッ!! 【重力操作】っ、【重力操作】っ、使え、ない、う、うぁぁあああっ、何でっ、本当にっ、消えっ、うわぁぁぁあああん、何でっ!!」
「フッ、何故……と言われても、な。
ヤベェ……今の俺カッケー……
ヴェーダが居ないのが悔やまれるっ!!
『『我が見ておるぞ、立派になった……グスッ』』
『『汝は我が誇りぞ……何ぞ目から汗が出おった、クッ……』』
へへへ、よしてくれよお母ちゃん、俺は親を泣かせる不孝者にはなりたくないんだ(キリッ
そんじゃぁ、そろそろ潮時だダサ勇者。
「オメェのズボンずらし攻撃、中々だったぜ」
「ッッ!! ち、畜生っ、馬鹿にし――あぱぁ……」
「お前のイキ様は大魔神マハトマ・ナオキが見届け――え?」
体内に閉じ込めていた神気を開放しつつ性宇宙を萌え上がらせたらダサ勇者が消し飛んだ……アレレ~?
ウソやろ……
魔核も消えとるがな……
これから手刀でカッコ良く首を刎ねるところだったのに……
勇者は首を刎ねられる瞬間『フッ』と微笑む場面だったのに……
『ただ今戻りました……なるほど、ご自分の力量を未だに理解しておられないご様子』
あ、お帰り~、早かったな、子供達は無事かと聞くのは野暮だろうが無事かな? そもそも何人って言うか何柱連れて行った?
『戦える子は全て、大魔神に勇者を
あ、そう言やぁ世界さんルールがあったな。イズアルナーギ様が覗き見犯にキレて神界大虐殺事件を起こしたし、俺も豊穣姉妹の覗き見事件で報復したから大丈夫かと思ってたけど……
よく考えたら今回は見られただけか、それって神様が普段やってる事だな、危ない危ない、暴行
これってファールバウティの血族がやってるやつだな……
『向こうが勝手に報復対象になってくれるのですから、この方法なら広大な神域が得られますね、今後は率先してこの方法を取りましょう。そんな事より、ラージャご自身の力量把握不足が問題です』
それなっ!!
『眷属以外、ギルド内に居る者も全て死んでいます』
それは残念だなっ!!
鑑定玉が無事ならどうでも良いけどねっ!!
って、いや違うんだよ聞いてクレメンス。
俺の周りに居る君達や子供達が強すぎてね?
昔以上にイセトモから雑魚扱いされてる男としてはね?
自分の成長を感じられないっ!!
イキり散らす勇者を笑えないっ!!
桃色空間は俺より嫁を強くするっ!!
知ってるぞっ、お前が
俺の
テメェの血は何色だーっ!!
『そんな事を申されましても……これはイズアルナーギに感謝すべき事なのですが、抗議したくなりますねぇ』
「あ、それはヤメテ悲しんじゃう(俺が)」
『そもそも、あの久遠と呼べる時を過ごした神はイズアルナーギと【お友達】や【お近づき】になれた神・眷属に限ります。我らやイズアルナーギ一派以外、神界では皆無でしょう』
「なるほど、続けて」
『ラージャは兆を超える
「アーハン、続きを」
『加えて、膨大な数の信者に崇拝されています、これも神界では極一部の神以外は有り得ない。アートマンも貴方の母でなければ信者の数で抜かれていたでしょう。私共も貴方の恩恵に
「ハハハ、よせよ、お母ちゃんを超えるなんて有り得ない。だが、お前のヨイショは嫌いじゃない、むしろ好きですもっと言って」
『即ち、私共も強化されましたが、ラージャも神界で無双出来るほど強化されていると言う事です』
なるほど、(嫁に勝てるとは言ってない事を)理解した
とにかくアレだな、地上戦はほどほどにしなさいって事だな!!
いやぁ、眷属を鍛えておいて良かったぜ……
あっ、ちょっと待てよ?
ファールバウティ戦術が有効なら、魔人に加護を与えてる悪神ブッ殺せばこのダンジョンも簡単に抜けそうだな?
『無理ですね、ここのマスターも神も覗き見をしていない』
「マジで? スパイ養殖の目を使ってねぇの?」
『使っていません、かなり用心深いです。こちらの様子は養殖の口頭報告か視界を魔道具等に中継させたもので知るのか……まだ分かりませんが、糸を
ほほぉ~ん、やるじゃん。
リスク管理は大切だ、でもなぁ……
現場を
会議室で映像見ながら相手の力量を測る、それも有りだ、でも何か違うんだよなぁ……
今も
――俺の力量は、把握出来たかい?
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