第281話「誤解はいけない、いいね?」
第二百八十一話『誤解はいけない、いいね?』
エーちゃんと大空のデートを楽しんだ。
日暮れの少し前にマハルシに戻って新婚風呂に入り空中遊泳の汗を流す。だが新婚風呂なので違う汗を掻きヴェーダに怒られる。
そして大魔王兄妹を帝王宮に招いての晩餐会。
当然のようにお呼ばれするロキ夫妻にペコリとご挨拶。
今日は嫁さんズが勢揃い。『今在る地』をヘルヘイムに変えてしまうヘルも神域と同じようにママンに根源改変されて顕現出来た。
空間拡張された後宮にも御馳走が届けられ、後宮の複数在る晩餐会場に空中巨大マルチディスプレイが浮かび、本会場の様子が解るようになっていた。
今回の晩餐会は新婦エーちゃんのお披露目も兼ねた大魔王兄妹の強い要望、その事はヴェーダを通して全員が理解している。
そうなると当然主役のエーちゃんに注目が集まる。他の嫁さんズは言動を控えて大人しくする模様。ゴリラには勿体無い良く出来た嫁さんズだ。
FP産の高級食材をメインに、DP産の貴重な食材を使った料理が並べ終わった。コース料理なのでまだまだ目で楽しめる。
ガンダーラでは基本的に低い丸テーブを車座に囲み、床に置いたソファーやクッションに座って食事を摂る。
ちなみに、野外では妖蟻と妖蜂の王皇族以外が地べたに座っていたが、イズアルナーギ様が不思議空間をプレゼントしてくれたおかげで、大きな蟲腹を持つ先代女王さん達も気にせず地べたに座れるようになった(座るとは言ってない)
まぁ、ハイソな彼女達は野外用のフカフカソファーに寝そべって食事するけどねっ!!
って言うか、アカギやカスガより上の世代の王皇族は基本的に寝そべって食事を摂る事がマナーみたいになってる。
女王と皇帝経験者は蟲腹がデカいので椅子に座って食べていたが、今はその制限が解除されたので意地でも寝そべって食べる意気込みを感じます。
水は上から下に流れ云々……とはよく言ったもの、上のマナーは下が
今では魔族系嫁さんズの基本的な食事スタイルになりました。無論、一般の妖蟻・妖蜂女性は親族以外の前で寝そべらない。逆に、皇子と王子は寝て食うのが基本、座って食べる事などしない生粋のプロニートっ!!
とまぁ、絶対寝そべりませんマンのイセトモは除くとして、足も崩さず正座して食べるのはメチャだけです。
これはヴェーダの躾が厳しいからなのか……
『失礼な、素直なメチャが日本武道の精神や大和撫子の立ち居振る舞いを身に付けた結果です』
なるほどなー。尊妻様の
本当に真面目だよメチャは。
ところで、ヴェーダは顕現しないんですか?
『帝王の両隣は交代で魔神妃達が座れば宜しい。私は常にラージャの中と言う特等席が御座いますので、うふふ』
ヒュ~、言うじゃねぇのヴェーダちゅわ~ん。
恐妻家で有名なゴリラもついつい惚れ直してまうわ~!!
『うふふ、はいはい。さぁラージャ、始まりのご挨拶を』
応っ!!
任せてクレメンス。
ではワタクシ人外帝王ことマハトマ・ナオキが――
……厠番の君、ちょっと咥えているモノを口から出して?
立って挨拶したいんだ、スマンね。
いやいや、もう
違う違う、今じゃない、萎えさせるのは今じゃ……ウッ。
ふぅ……
『お見事……その娘、やりますね』
ふむ、このロリフェイスな悪魔っ娘を後宮へ。
『御意に。あらあら、厠番の娘達がヤる気を見せましたよ? 後宮の晩餐会場にもう少し席を追加しておきましょう、うふふ』
そいつぁ困った、今夜は
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「やはり……うん、間違いないねぇ、魔界の魔王だ。どうだねサタナエル」
「うむ……魔王だな、進化の終着点である魔王種ではない、神界の位階としての魔王だ。ゴミのような弱さだがな、
「そうかっ!!」
食事が終わり、会話を楽しむ時間に移った。
俺は位置を変えず、
フェンリル兄やんはフラれた
他の嫁さんズは普段の接触が少ないヘルの所に集まっている、ヘルも楽しそうだ。
ただ、アングルママが侍女服を着て厠番に紛れ込んでいる事を誰も注意しない。
そうか、これが
汚ぇ大人の世界を
『常識化したプレイとして周知されているだけでは?』
……なるほど、そうかもしれん。
しかしコレは……ヒュ~。
爆乳美熟女の侍女姿が俺を狂わせる。
ってか、さっきからロキさんがチラ見してくるのがウゼェ……
そんなに嫁の不倫現場が見たいのかアンタ……もう病気だぜ。
寝取らせクズは放っておこう、大魔王さんに失礼だ。
「ナオキ君、君は彼女に何か特殊な事をしたのかい?」
「え、いや~、特殊っすか、う~ん、眷属化の前に弱い
「ナオちゃん、あれ気持ち良かったっ!!」
「そっかそっか」
「性宇宙……ふむ……」
大魔王さんが何やら考え込んでしまった。
サタナエルが侍女服に着替えて厠番に加わった。
何やってんだお前……
「性宇宙、性宇宙か……いや、浴びたタイミングは関係無いだろう、やはりその娘の素質か……だがしかし……ブツブツ」
『ルシフェル、考えるより先に実行しなさい、今回は害を心配するものではないでしょう?』
「ん? はははっ、それもそうだねぇ、有り難うヴェーダ、悩みが一気に解消されたよ」
え~なになに、何の話してんの?
俺の『好い男度数』が高すぎて公害なの?
「ナオキ君、それからエーちゃん――」
「あああっ、エーちゃんってゆったー、ねぇナオちゃーん、アイツがエーちゃんってゆったー、お婿さんじゃないのにゆったー!!」
「エーちゃん、大魔王さんは俺達の
「わかったっ!!」
「ははっ、ありがとよ。あぁ大魔王さん、話の途中でスンマセン!! お話の続きをどうぞ」
「アハハ、これはまた
「いいぞっ!!」
「ちゃんと聞こうぜエーちゃん」
「わかったっ!!」
駄目だ、起爆スイッチオン状態の爆弾を抱えたまま大魔王と対峙する勇者の気分だ……
大魔王さんが楽しそうに笑っているのが救いか。
頼むぜエーちゃん、爆発する時は火薬少な目でっ!!
「素直な娘だ、また良い嫁を貰ったねナオキ君」
「えへへ、アザーッス!! あ、続きをどうぞ~」
「どうぞーっ!!」
「フフッ、さて、頼みと言うのは翼人についてだ。数名の男女をウチで雇いたい、私のお手伝いさんとしてね」
「エーちゃんと翼人の同意が有れば――」
「良いぞっ!! エーちゃんが今聞いたっ!!」
即答かぁ、何気に上位眷属の念話も使い
「ハハハハ、そうかね、助かるよエーちゃん。何人ぐらい
「う~ん、バァバが二十人ってゆったー!! 男が十、女も十、合わせて十十っ!!」
「おぅふ、エーちゃん、合わせたら二十だ」
「わかったっ!!」
パチパチパチパチ……
何故か手を叩いて喜ぶ大魔王さん。
エーちゃんの無垢な言動が琴線に触れた模様。
「フフッ、いやぁ参った、見たまえサタナエル、穢れが無い、まさに無垢だ、復活したエデンの住民には彼女の様な存在こそ相応しい」
「ングッ、ングッ、うむっ、私は厠番の『サッちゃん』だ、サタナエルではないっ、しかし、その娘の笑顔はエデンを想い出す、兄者の好きにするがいい。あ、大魔王様の御意になされますよう。私は任務に戻ります、パクッ」
え、バレバレなのに何で、何で誤魔化すの?
役に
『マナーです』
そっか、ならばヨシっ、ウッ、ふぅ……
しかしサタナエル、『サッちゃん』は
その愛称は大魔神を滅ぼした魔女の愛称なんだぜっ!!
せめて『サッチー』にして欲しいな。
『鉄の女、ですね』
それはマーガレット・サッチャー、第七十一代英国首相だ。
英国首相は侍女姿で厠番なんてしない、いいね?
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