第276話「コマッタナー」





 第二百七十六話『コマッタナー』





 八月十一日、朝、南新大陸の最南端、巨大な港湾都市の空は曇り。


 この港湾都市は九日の晩に制圧完了した。


 都市の名は『ウオリア』、人間の王が治める『ハロイン王国』に属する主要都市の一つらしい。



 九日の午後、『です☆すた』の小型戦闘機射出口から生身で宇宙に出た俺は、そのまま大気圏に突入して流れ星ゴリラを初体験。ギンモヂイィィーッ!!


 宇宙空間で特に不便は無かった、大気圏突入は面白かった。だが、俺はもう地上の生物ではないのだと言う寂しさと切なさと心強さを感じたような気がする。


 そして落下地点を間違えた。海に沈んだ。


『です☆すた』からの観測では物凄い水柱が確認出来たようだ。


 沈んだ海中で海竜をブッ殺しながらおかを目指す。

 途中で海底魔窟を発見したので攻略、コアをゴックン。

 コアは生イカの味がした。何だかジャキを殴りたくなった。


 オマンのダンジョンで母親と暮らしているコアっ子を一人召喚、魔窟をダンジョン化させて管理を任せる。


 すると、オマンが『誘拐犯めっ、親権を奪いたくば私を説き伏せてみろ野蛮人っ!!』と言って来たので、『双子を産んでくれ』と股間に訴えたら『あ、それは良い考えですね、正常位でヤってみろ貴様っ!!』と説得に成功、双子をはらみながらダブルピースしていた。



『あれは三つ子を孕んでおりましたが……』



 そう言う見方も有る、だが、双子プラスワンと言う見解も有るのだよ。


 まぁそれは置いておく、話を戻すぜっ!!


 オマンの説得を終え再び陸を目指してダンジョンを出るゴリラ。


 海の魔物を殺害しつつ、海鮮魔核を食べながら砂浜に上陸。


 周囲を見渡すと潮干狩しおひがりをしていたメス人間が数十名いた。小猿君達をファサ~してお仕置き完了。


 漁業道具が置いてあるクソボロい小屋を発見、そこをダンジョン化して空間拡張。地下五階まで創って蟲魔人と眷属を召喚。再びコアっ子を呼んで管理を任せる。ダブルピース状態のオマンから連絡は無かった。いとさびし。


 俺は妖蟻の工兵部隊と共に小屋の外に出て北を目指し、防風林的な場所に入ってとりで造りを工兵部隊にお願いした。


 部隊を率いるのはササミちゃんの妹アザミちゃんだ。寡黙な姉に似て物静か、ムッツリスケベなところも似ていて大好きです。


 ちなみに元祖厠番であるササミちゃんは妊娠中だ。メチャがとても喜んでいた。


 アザミちゃんにイタズラして目をバッテン化させつつ砦造りを見学、三十分ほどで見事な中規模砦が完成。強くなった妖蟻の建築速度が異常な件について三分ほど考えるが結論は出ない。


 結論が出ないまま砦をダンジョン化、中庭の地面を一部ダンジョン化解除、妖蟻兵を大量に召喚して地下道と地下街造りに移行。


 地下道が周辺の村や町に延びるまでアザミちゃんにイタズラしていたら妊娠。一発必中のご懐妊について三分ほど考えたが結論は出ない。たはーっ!!


 アザミちゃんが後宮送りになり、賢者タイムのゴリラは尊妻様からお小言を頂く。スマンな!!


 砦から一番近い漁村直下に地下道が延びたので蟲魔人を投入してみた。


 漁村に兵士らしき存在は居ない、だが冒険者パーティーが二組居た。住民の捕獲と冒険者の殺害を蟲魔人に命じる。


 漁村の裏手から村内に侵入したメス蟲魔人三体が十二名の冒険者をアッサリ殺害。手刀で首をねる、または貫手ぬきてで心臓を一突きの2パターンだった。死体は美味しそうに食べてた。


 オス蟲魔人の方は単純に住民を腹パンして回っていた。


 年寄りとガキの数名が瀕死になったのでオス三体を並べて叱っておいた。こ~のバカチンがーっ!!


 もう少し手加減を学んで欲しいところである。



『自分はすぐ【軽い威圧(笑)】で爆殺するくせに……』



 ……まぁ、手加減が苦手な奴も居る、俺は良き理解者で在りたい。


 そんな感じで漁村襲撃は無事完了。

 捕らえた人畜を地下道に放り込む。


 この漁村やその後の村や小さな町はダンジョン化しなかった。ここら一帯はすぐに樹海化させるからな。


 漁村襲撃後は魔族系眷属を投入して侵略開始。基本戦略は変わらない、武装した者は殺してそれ以外は捕獲。


 眷属達がハッスルしている間に豊穣姉妹を召喚、制圧済みの地域に恵みの雨を降らせた。眷属達がイケナイハッスルを始める。


 ついでに蟲魔人も三組のつがいとなってハッスル。ハッスル後にメスが産卵を開始。一体につき一千前後の卵を産む。


 産まれた卵は五分ほどで孵化ふか、割れた卵から出て来たのは手の平サイズのカブトムシ系甲蟲。


 この赤ちゃん甲蟲は瘴気で出来ているので俺の分神に近い存在だ。分神との違いは食料を得る事で成長しながら活動時間を延長出来ると言う点。


 エサは主に肉、植物も食う雑食。眷属が殺した冒険者なんかに群がってアッと言う間に骨まで食い尽くす。エサを食うと少しだけ体が大きくなり攻撃力も上がる。


 優秀な兵器としては非常にリーズナブルです。お得です。


 蟲魔人は通常の卵とこの瘴気卵を産み分ける模様。

 今回は侵略の意図を汲み取った産卵を選んだようだ。優秀っ!!


 優秀なので恵みの雨をタップリ飲んでもらった。


 豊穣姉妹は『もう赦しイッぐぅぅ』と泣いていた、マジでスマンな。


 その豊穣姉妹の献身によって誕生したのが瘴気甲蟲軍団だっ!!


 港湾都市攻略戦では大活躍してもらった。


 蟲魔人の実力を測る為には丁度良い規模の都市だったので、俺の眷属には待機を命じて蟲魔人と甲蟲軍団に都市攻略を任せた。


 海戦に備える為の水兵が二十四万ほど常駐していたが、都市を護る衛兵や陸軍の兵は合わせて六万ほど、冒険者は約二千、地上戦だけなら蟲魔人と甲蟲軍団でイケるような気がした。


 主要都市なだけあって『両段持ち』の冒険者が多い、こいつらは蟲魔人が相手をした。


 とは言っても、今更上位冒険者が出張って来てもな、ガンダーラを相手にするなら最低でも勇者レベルの強者じゃなきゃ話にならん。


 蟲魔人の硬い甲殻は上位冒険者風情にどうこう出来る物じゃない、瘴気甲蟲は神気か神聖属性を帯びた攻撃以外は通らない。


 今回の戦いで一番活躍した敵は老いた敬虔けいけんな牧師だった。このジジィ一人で生まれたて甲蟲を三匹も消しやがった。敵ながら天晴れだ。


 まぁ、頑張ったのはこのジジィだけだったけどな。


 冒険者と衛兵は全滅、陸軍は大敗して潰走かいそう、海軍は陸軍を捨て駒にして軍艦で海へ避難。しかし、翅音はおとを鳴らして追撃する蟲魔人と瘴気甲蟲の群れに襲われ大混乱。


 海へ飛び込み難をのがれようとする水兵が続出するが、海底ダンジョンから水龍人ナーガ蜥蜴人リザードマンの部隊を出撃させてジワジワ鏖殺おうさつ



 海戦は少し手間取ったが、港湾都市は六時間ほどで完全制圧できた。


 蟲魔人の性能検査にしては上々の戦果だ。


 新大陸侵略戦の初日で百万都市を得られたのも幸先さいさきが良い。



 だが……


 一番の幸運は、五帝のダンジョンを発見出来た事だな。


 いやぁ~、空飛ぶ賢い蟲を使役出来るってのは良いもんだ!!


 山脈が丸々ダンジョンだなんて、宇宙からじゃぁ見分けが付かんわクソがっ!!


 ダンジョンはコアを壊すまで基本的に不壊、今回は空爆でどうこう出来る硬さじゃない……


 いやぁ~、コマッタナー。













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