第268話「タイマンだコラァ!! 相手は……」





 第二百六十八話『タイマンだコラァ!! 相手は……』





 七月九日、午後、恐らく三帝の誰かが治めるダンジョン第一千二百階層くらいのショボい階層は草原。疑似太陽のお蔭で晴れ。


 ジュダス帝国の帝都ダンジョンに比べるとかなり遅い攻略速度だが、悪魔冒険者と悪魔傭兵が主体となった攻略なので問題は無い。人間や獣人のダンジョン攻略速度より断然速いしな。


 そもそも三皇五帝のダンジョンを二百階層以上突破出来た奴らは片手で数えるほどしか居ない。しかも突破したのは召喚勇者に限られる。


 そんなチートマンでも三百階を超えられない。一日で千階層突破なんて、チートマンからすれば『虚言だっ妄言だっチートだっ!!』って言われること必至の偉業だ。


 って言うか昨日言われたしなっ!!


 二百階層周辺でウロウロしてた獣人勇者に言われたしなっ!!


 お伴のメス共をアホ化させて性奴隷化させてた奴が何言ってんだかって話だなっ!!


 ムカついたので小猿君にお伴のメス共を寝取らセクロスさせたら憤死ふんししたけどなっ!!


 勃起しながらの憤死はちょっと無いかなぁ……



『気持ち悪かったです。ロキ親子が頭をよぎりましたが、昨日の憤死勇者よりはマシだったのかと驚きを隠せない自分が居ます』



 ロキ親子は健全だったんだと錯覚してしまうなアレは、憤死の直前に白因子をブチけたのは昆虫の最期みたいでキモかったぜ……



『思い出すだけで吐きそう……やはり、あの下郎の親族は必ず見つけ出して死滅させましょう、下衆に連なる血を後世に残すわけには参りません』



 徹底的におやりなさいっ!!

 親類縁者から友人知人に至るまで全部おやりなさいっ!!


 転生勇者だったしな、親族も多いしアホに感染した奴も多いだろう。関わった奴らは殺処分以外の選択肢が見当たりませんっ!!



『おやおやまぁまぁ……これはこれは』


「ん? どうした?」


『下衆の親兄弟をここから北へ120km地点に在る魔窟内で発見しました』


「ほぅ、そりゃオメデトさん」


『どうやら勇者が購入したオス奴隷を隷属させた状態でマスターに据え、この魔窟を秘密の別荘としていたようですね』



 へぇ、そんな事も出来るのか……

 いや、魔窟のコアが妥協したか?

 勇者との繋がりを重視したってのも有るか……



「へっ、悪知恵だけは一丁前だな」


『……魔窟の侵食を終えました……が、ふぅ、はてさて、コレはラージャにお伝えすべきか迷いますね』


「言え」


『女性狼人族リュカントロープの奴隷を四十名ほど抱えておりました、全員の保護完了』


「……そうか」



 獣人が最もねたうらやむのが魔族の狼人ろうじん虎人こじんのような『人間に変身出来る獣系魔族』だ。


 可哀そうになぁ、あぁ、可哀そうだ……


 まぁ、魔族奴隷が居るのは知っていたし、救出された奴隷も実際にこの目で見た。


 だがなぁ、自分の戦いに関わる形で発見するとなぁ、しかも性奴隷だ……あの下衆の親兄弟の為に用意された性奴隷……無理だな、こいつぁ無理だぜヴェーダ。



『魔窟へ向かわれますか?』


「俺の目の前に転送しろ」


『御意。ここはダンジョン内です、御存分に』



 ああ、そうだな、気にせず殺るさ……




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 獣人は基本的に多産だ、体がデカい種族ほど産むガキは少なくなる。しかし、憤死勇者は小型種の犬獣人、無駄に血族を増やしやがる。


 俺の前に転送されて来たゴミの数は四百を超えていた。祖父母・親兄弟・その配偶者・子孫だけでこの数だ。姻族も合わせりゃ三千を超えそうだな。


 メンドクセェので姻族はヴェーダに丸投げでいい。


 俺は眼前のクソ汚ぇゴミ共の処理を楽しむ。


 と言っても、俺が少し体を動かすだけで既に二十匹ほど死んでしまった、ただその場に腰を下ろしただけでこのザマだ、俺は動けん。



『顕現した状態の怒れる大神を前にすれば、当然の結果です』



 そうかよ。


 しかし困ったな、この手で直接甚振いたぶり殺してやるつもりだったのに、それが出来ねぇ……グヌヌ。



『分神でも同じ結果なので、他の方法を考えて下さいね?』



 グヌヌヌヌ、小猿君でも駄目か……

 何で俺が悩まなくちゃいけねぇんんだ?


 イライラするんだけど……



『老人と子供が三十名ほど絶命しました、落ち着いて私のラージャ』



 ムッキィー!!


 簡単に死ぬんじゃねぇよっクソがっ!!



『死んだ者らはヘルヘイムと地獄に送ります、ヘルとサタナエルが永遠の苦しみを約束しておりますので、ラージャは心を鎮めて下さい』



 クッ、なるほど、死んだら死んだで苦しむのか、ならばヨシっ!!


 あ、俺の冥界にも凄い牢獄創ろうかな?

 ヘルが産んだ長女に統治を任せるのも良いな……



『私の長女でも構いませんが』



 そ、それは、トラウマ発掘大好きっ子の深淵ちゃんかな?

 今のところママンにしか育児出来ない深淵ちゃんかな?


 あの子に任せるのはどうなんだろうか……?

 全部呑み込まれるんじゃなかろうか……?

 ママンに何か工夫して貰う必要があるのでは……?



『そうですねぇ、アートマンとイズアルナーギに頼めば、あの子が呑み込めない空間や施設等が出来るでしょう。ちょっと頼んで来ますね、イズアルナーギへの報酬は獣人千匹ほどで良いでしょう、欲しがってましたから』



 オカシイ……

 深淵ちゃんが俺の冥界を統治する話になっている……


 何故かイズアルナーギ様が関与する形で話が纏まっている……


 何だろう、目の前のゴミ共はイズアルナーギ様に差し上げた方が結果的に俺の処罰よりエグい生き地獄を与えられるような気がする……


 でもやっぱりケジメが必要だ。


 取り敢えず両親と兄弟姉妹は喰い殺すか……



『全員をパコレイパーに任せれば宜しいのでは? パコレイパーなら老若男女問わず妊娠出産させますし、激痛と屈辱と恐怖を与えつつ個体数を増やしたのちにイズアルナーギへ渡すと更なる絶望を与えられてお得です』



 それだっ!!

 天才かお前……


 じゃぁ俺はケジメとして両親だけを喰い殺そう。


 念力とか使うとまたバタバタ死んでしまいそうだから、俺の頭上に転移させて、俺は口を開いて落下を待つ、これで行こう。



 そんじゃぁ、お前とお前、死ね。


 肥え太った犬獣人のオスとメスを頭上に転移させる。

 驚いた様子の下衆二匹が俺の大きな口の中へ落下。



 グチョリ、グチャリ、グギョリ、ゴックン……



 う~ん、不味い、脂が乗っただけのジャンクフードだな。


 ギャラリーがギャーギャーうるせぇ、殺すぞ?


 さて、残りのカス共に悪魔のお仕置きを見せてやろうか。



「来い、パコレイパー」



 今日は奮発して三百六十八体の召喚だ。


 一対一で愛して貰いな。









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