第263話「ならば侵略だ」
第二百六十三話『ならば侵略だ』
七月一日、朝、大森林の神木前広場、良い天気です。
俺は今、ゴブリンの女性眷属達に詰められています。
なお、メチャやホンマーニのように勃起案件進化を果たした女性は、今回のゴリラ詰めに参加しておりません。
双子熊カストルに猛アタック(古い)をしていた女の子も、パイズリンに至ったので参加していない。
ちなみに、この女の子は氏族から籍を抜いてカストルに嫁ぎ、名を『アカヘル・ベニカブトゥ』に改めた。
アカヘルちゃんの親友もジュダス帝国侵略戦で最終進化を果たし、同様に籍を抜いて双子熊ポルックスへ嫁ぎ『アカメッツ・ベニカブトゥ』に改名した。この子も今回の詰めに不参加。
カストルとポルックスも『ベニカブトゥ氏』を名乗るそうだ。
この二組の新婚さんはとても仲良しである。
おっと、話が逸れたぜっ!!
かつて後方支援に徹していた多くの女性眷属達にとって、生気注入後に侵略を開始したジュダス帝国戦は、その
ダンマスにトドメを刺した二名の女性ゴブリンがパイズリンに成ったし、他種族の女性達も最低一回は進化を果たしている。
無論、男性眷属も進化したが、男共は国を興して以来ずっと前線で戦って来たので、ポンポン進化していくのは日常風景、珍しい事でもない。
しかし女性は違う、前線に出るのは白・黒の両エルフくらいのものだったからな、しかも後衛で大物にトドメを刺す事も無い。
そんな女性達が生気注入後は前に出た。
俺的には下がって欲しいところだが、ヤメロとは言えん。
進化済みの男共に必ず護り通せと支援を頼んで見守った。
するとどうでしょう、彼女達は敵をブッ殺しまくって猛然とレベルを上げたのでした。
さて、現在のガンダーラ総人口は移住悪魔が九割以上を占める、大森林眷属は少ない、そして悪魔は経験値を必要としない。
つまり、大森林眷属・旧魔族眷属はエサの掴み取りが出来た。
そんな状況で旧魔族系女性眷属が敵をブッ殺しまくる、当然のように進化する、必然的に肉体が上位種のモノとなりフェチモン放出量は増える、かつてないモテ期の到来だ。
今までは進化を果たした男共に女性達が群がっていたが、ジュダス帝国戦後は以前と逆の状況が多く発生している。
なので、私は詰められています。
もっと美味しい狩場を下さいよ、と詰められています。
もっとレベルを上げさせて下さいよ、と詰められています。
もっと進化させて下さいよ、と詰められているのです。
もっとセクシーな体をちょうだいっ!!
もっと魅惑のフェチモンを出せる体を私にっ!!
そう言って来るのです……
主に女性ゴブリン達が言って来るのです……
まぁね、言わんとすることは理解出来る。
美を追求する為の進化、それを望むのは当然の権利だ。
殺伐としたかつての大森林では男が少なかった、縄張り争いや冒険者との戦いでポンポン死んで行ったからな。人口の男女比は圧倒的に女が多くなる。
少しの力量差で男の価値が決まり、囲える女性の数も集まる数も変わる。クソみてぇな男でも女性を囲えてしまえる状況だった。
だがしかしっ、そこに悪魔がやって来ましたっ!!
男性悪魔は未婚女性やDV被害を受けている既婚女性の寂しさを色欲で埋めましたっ!!
そりゃもぅ
男娼悪魔などは大車輪の活躍で埋めまくりましたっ!!
悪魔と旧魔族女性との結婚は少なくありませんっ!!
そう、少なくない、だが多いとは言えないっ!!
って言うか女性ゴブリンの貰い手は皆無っ!!
男性悪魔的には結婚相手として少しパンチが足りないっ!!
性欲は満たしてあげられるが、情愛となると……
そんな状況が一変したのはジュダス戦後、四回ほど進化した大森林女性眷属……いやもう伏せるのが面倒だ、女性ゴブリン達にイケメン悪魔達がプロポーズ。
かつてのハゲ散らかしていた姿は無い、目を覆うような乱杭歯は見えない、何か臭そうな皮膚も貧相な体も存在しない。彼女達は特殊進化を果たしたメチャ並みにセクシー化していたっ!!
そりゃぁもう大騒ぎですよ。
ゴブリンの男共も悪魔に負けじと愛を囁きます。
この様子を見ていた進化回数の少ない女性眷属がやる気を見せたわけですな。主にゴブリン女性ですが。
ゴブリン以外の大森林女性眷属は同族や悪魔達と普通に幸せを掴んでいます。
コボルト女性はエッケンウルフの雄と
ただ……
ゴブリン女性だけが、その、モテないんだ。
最低でも四回以上進化しないとモテないんだ……
『他種族の女性眷属と比べると、そうですね』
同族の男ゴブリン共が悪魔のネーチャン達に夢中だからなぁ……
でも、それを注意するのも何か違うしなぁ……
『男性ゴブリンとカップルになった女性悪魔の不倫率は八割を超えています』
草。
何それクッソおもしれーww
因果応報って在るんですねーww
ってか不倫相手は誰だよww
『ミギカラが人気ですね、妻のウエカラは別居しました』
馬鹿じゃねぇのアイツ……
『そのウエカラは今ラージャの足元で【優先進化要求】の直訴文を読み上げています』
あ、ホントだ……
何だろう、涙が出て来た……
古参眷属の悲痛な心の叫びは
『今回はどのような
うむむっ……
そうだなぁ、『
指南役は戦神ムンジャジ、総大将は……
『軍を陸空の二軍に分けて、アカギとカスガに任せれば宜しいかと。女性部隊を率いる事に慣れた将を多く抱えていますし』
そうだなぁ、イセトモも居るから姉貴達の護りは完璧か……
二軍に分けるなら指南役にもう一柱アングルママもお願いしよう。
よっしゃ、それで行ってみよう!!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「フッ、良い
「フン……まぁまぁだなっ!! ぁりがと……」
筋斗雲に乗った妖蜂姉妹が眼前の巨大戦艦を見てニコニコしてます。
「あらあら、大きいわねぇ~」
「かっこいい」
筋斗雲に乗った妖蟻姉妹が宇宙の『です☆すた』から降下して来る巨大戦艦を見て微笑んでいます。
妖蜂旗艦ナナヨ・イゴ級戦略戦艦【タクハタ・チヂ】
妖蟻旗艦ナナヨ・イゴ級二番艦【オシホ・ミミ】
全長2,400m 最大幅700m 全高120m
ダンジョン化しているので乗員収容限界は実質的に無し。
イズアルナーギ様が伊勢型航空戦艦からビビッときて造った艦のようです。あの神様はどこへ向かっているのでしょうか、私は少し心配です。
サイズは超巨大戦艦ヴェーダの十分の一だが、普通にデカい。
主砲の360cm連装神気砲は十六門、100cm瘴気高角砲は状況に応じて増える仕様。ちょっと意味が解らないかな……
空間拡張が施された格納庫には戦闘機がズラリと並んでいる。
撃墜されても瞬時に『です☆すた』から転送補充されるようだ。
って言うか、人員も物資も全部転送出来るんですけどね!!
『安心して東の島へ送り出せますね』
「そうだな……」
妖蟻と妖蜂はレイン達が攻略中の大きな島へ向かう。
面積は日本列島を超える島だ、
まぁ、乗組員は転移で日帰り可能なんだけどね。
何なら休憩ごとに帰って来る感じなんだけどねっ!!
取り敢えず、しっかりと『行ってらっしゃい』しましょうか。
心配なので分神を百体ずつ付けましょう。
彼女達を護るのです小猿達よっ!!
ファサ~ッ、ファサ~ッ、ファサ~……
大森林の優しい風が、俺の鼻毛を温かく包んだ。
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