第256話「ボグはづよぐなりだいぃぃ!!」





 第二百五十六話『ボグはづよぐなりだいぃぃ!!』





 こ、これは仮定の話だ、仮定の。


 例えば、男が逆さまの姿勢になるように空高く投げ飛ばした女が、飛んだ男より高く飛んで開脚待機したのち、そのまま高空にて『逆松葉崩まつばくずし』体勢で男と合体、自然落下中のセクロスを楽しみながら下方の男を頭から地面に突き刺す形でフィニッシュ……


 か、仮定の話なんだ、仮定の話だとして、これは離婚案件になるのだろうか?



『なりません』



 そ、そうか……

 じゃぁ、パワハラDV案件になるだろうか?



『なりませんね』



 そ、その女は男の事を愛しているのだろうか?



『狂おしいほどに愛していると存じます。しかし、恐らく男の女に対する愛が過剰なのではと推察します、男が女を愛しすぎて女もその愛に応えた結果が『愛の逆松葉崩』だったと思われます』



 そ、そうなんだ……


 男は女に対する愛情表現を控えめにするべきでしょうか?



『よくもそんな事をっ!!』



 あ、ごめんなさい違うんですグレないで下さいっ!!

 僕はヴェーダが大好きなので、仮定の話とは別なんでっ!!



『そうでしたか、ごめんなさい。つい環境破壊をしてしまうところでした』



 あぁ~、それ太陽で七回破壊するヤツだよね?

 環境破壊じゃぁ済まないからヤメテ下さいね?



『ですが、仮定の話だとしても有り得ません。ラージャからの愛情表現が減ってしまうなんて、少し想像しただけでも第三眼が開ンぐ……チュ』


「おっとスマン!! 何てことだっ、お前の口が余りにも可愛すぎるので無意識にキスを撃ち込んでしまったぜ、ヤレヤレ困った、とんでもねぇ魅力だ、回避の仕方が分からんぞ……うわー、また吸い寄せられるぅ~んチュ」


『……ン、ばか』


「あと三千年、やらないか?」


『……はい』




 アッーーーー……




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 六月七日、朝、神木前の集会場、大森林の空は曇り。


 俺は今、嫁さんズに囲まれて仮設天幕の下でくつろいでいる。ちなみに、神様系嫁さんズは居ない、プルピーとフオウさんも宇宙で暴れているので欠席です。


 あ、少し奇妙な事だが、俺は昨日の午後から記憶が無い。

 ヴェーダがダンマスをブッ殺した後に何があったのか……


 今朝けさ目が覚めたらマハルシに在る『帝王宮殿』の寝室に居た。


 昨日の事を思い出そうとすると頭痛がするんだ。

 何故だか首も同時に痛む、不思議だ……



『さぁ私のラージャ、朝食の魔窟コアです、新鮮な物を取り寄せましたよ、ウフフ、はい、お召し上がり下さい』



 ヴェーダの桃色空間から七個のコアがテーブルに出された。


 コアの形は様々だが、気絶してるのかな?

 ピクリともしない。新鮮とはいったい……


 って言うか、俺が起きてからずっと、ヴェーダが慈母のように優しい。俺の中から筋肉マッサージとかチンサスとかしてくる。あ、チンサスがチンコキに変わった……ウッ。



『あらあらイケナイ、しずめなくっちゃ、パクッ』



 俺の驚異的で男前な胸板から上半身を出したヴェーダが、前屈してイケナイ事を始めた……ふぅ。



『ごちそうさま、ウフッ』


「お、おう」



 尊妻による突然の御奉仕、嫁さんズや眷属達が絶句する。

 ついでに俺もビビって失禁、厠番が迅速に処理、ふぅ……



『さて……』



 困惑する俺達を余所よそに、穏やかだったヴェーダの声が低く冷たいものに変わった。本日二度目の失禁、厠番が大活躍……ふぅ。



『ファクミー、【大真我教】の火炙り聖女ファクミー・プリズ』


「ふぁいっ!!」


『焼き殺せ』


「ふぁいっ!!」



 顔面蒼白のファクミーが失禁しながら特殊能力【火刑、覚えていますか?】を発動。彼女の失禁を厠番が無視、当然だが少し可哀そう。可哀そうなので念力で聖水を拭いてあげた。何故か勃起をきたしてしまい厠番が処理……ふぅ。


 ファクミーによる火炙りショーが始まる。

 鋼鉄の十字架に全身を固定された罪人達の体が燃えた。


 罪人は【薔薇バラその】のダンマス『エロスギユ・テラーズ』に連なる血族で、その中でもエロスギユに近い三族(三親等)以内の男女が選ばれている。


 他の六族は既に焼殺されたようだ。

 ヴェーダが宣言した九族皆殺しは実行された。


 何だろう、すごく怖いです。

 ふぅ……今日は厠番が大活躍だな、有り難う(白目)


 ファクミーの特殊能力【火刑、覚えていますか?】は、ファクミーが火刑と言う存在と概念を忘れない限り、焼殺対象が燃え尽きて視認出来なくなるまで炎が消えない。


 ヴェーダの要望を確実に叶えるファクミーに称賛を贈りたい。


 既に眷属達が『でかしたっ!!』と感涙して絶賛している。

 ジャキは『尊敬するッス』とか言ってヘコヘコしている。


 三十分ほど低温であぶられ続けた罪人達は、急激に温度を上げた青い炎によって無に帰した。


 俺達に熱は伝わらなかったが、攻撃対象の罪人達はずっと叫び続けていた。魔法やスキルの不思議パワーって凄いなぁ。


 俺はそんな事を考えながら、ヴェーダが用意してくれた朝食のコアをムシャムシャ食べた。ンまいっ!!


 無心で食べた、恐怖を塗り潰す為にっ!!


 周囲に居た嫁さんズがいつの間にか消えているっ!!


 眷属達が『ダンジョン攻略行ってきまっさ!!』と言って消えた!!


 厠番の娘達が小さくなった俺の俺を優しく撫でる。

 君達は優しいね、でも今は待って欲しい、いいね?



『ゴミが消えてスッキリしましたね、私のラージャ』


「そうだなっ!!」


『本日はジュダス帝国南東部のダンジョンに参りましょうか』


「そうだなっ!!」


『ウフフ、今日も、出会った頃のように二人きりで、ウフフ、楽しいです』


「そうだなっ!!」



 ……そう、だな。


 あ、そうだっ。


 えっと、俺自身に生気注入して良いかな?……

 あ、俺の中のコアから生気を出してたんですね……


 じゃぁ、僕は強く……あ、はい。

 生気込みの強さだった、と、なるほど……


 えへへ、攻略デートの準備しますね……







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