第255話「正妻の務め」





 第二百五十五話『正妻の務め』





 六月六日、朝、俺がジュダス帝国南部に在るダンジョンに入る時の空は曇っていた。二時間ほど経った今の天気は知らん。


 今回、俺は一人でダンジョン攻略に来ている。


 体は3mサイズまで縮めた、30mを越える通常サイズでの攻略は無理ですわ。


 帝国は魔窟とダンジョンの数が多いので俺だけソロ攻略になった。


 生気注入のお蔭で経験値が勿体無い云々と考えずに済むからな、俺一人で攻略出来る場所に兵隊をく必要も無い。


 洗脳がネックだったメインコアの奪取も、ダンジョン攻略組に従軍するコアっ子達が目標コアを吸収してくれるので、最後の場面でも俺は必要無くなった。


 俺は深く考えずに単純な攻略を目指し、ダンマスをブッ殺して最奥のコアをデザート代わりに喰うだけ、楽なもんです。


 って言うか、コアっ子が居なくても敵コアの洗脳問題は解決出来るんだよね。俺の眷属がイズアルナーギ様の加護で授かった能力には『不思議空間』が有る。


 あの『不思議空間』と言う反則能力は、加護をくれた神様の神域倉庫に繋がっている収納スキルではなく、イズアルナーギ様が新たに創造した亜空間だ。味方の誰にも迷惑を掛けずに敵対勢力の干渉を完全遮断できる。


 コア如きの特殊能力でどうこう出来る空間ではない。


 コアっ子が敵コアを吸収する前に『不思議空間』へ収納すれば何の問題も無いわけです。


 突撃が大好きな肉弾系のジャキやレインなんかは、コアっ子が来るよりも先にコアを収納してダンマス戦を楽しむだろうから、他の奴らより『不思議空間』が重宝されていると思う。



『ラージャ、騎獣スライムの大軍が次階層の大草原に転移して来ました、鞍上あんじょうは騎士スライムです』


「三匹の小猿君でイケる?」


『一匹で無双出来ますが……』


「まだ五階層だしなぁ、早めに攻略したいので十匹いっちゃう」



 僕はおもむろに鼻毛を抜きます。

 ダンジョン五階層の微かな風に乗せます、ファサ~。


 先行するのです小猿達よ、鏖殺おうさつしなさい。


 あ、魔石は残しておくのです、おやつにします。

 あ、騎士スライムを一匹だけ犯してみてクレメンス。

 あ、十匹が良いの? じゃぁ十匹犯すのですっ!!



“ウッキッキー、ボッキッキーッ!!”



 小猿達がミニ筋斗雲を召喚し飛び乗って行きました。見た目だけなら西遊記の孫悟空です。


 やれやれ、勃起をきたしながら戦場へ向かうとは……

 まったく、はたから見れば頭がアレな集団だぞ?



『貴方にそっくり』



 悲しい事言うなよ、インポになってしま……ッッ!!

 コイツ……脳内に嫁さんズとのセクロス映像を直接っ!?

 しかも自分のM字開脚映像を多めにチョイス、だとっ!?


 脱帽、脱帽だよ。


 早速ですが、アルケニーのお針子さんに仕事が回りそうだ。



『ほら、そっくり』


「ヴェーダ、てめぇ……」


『何でしょう?』


「やらないか?」


『……バカ』



 なぁに、攻略は小猿君達が頑張ってくれる、桃色空間で百年くらいイチャイチャしても構わんさっ!!




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「ここから先は、通さん」


「ん? あんた誰?」



 十階層に来たら変な奴が居た。

 小猿君達は九階層で数種類のスライムと乱交しています。


 なので、一人で来たらアホが居た。


 戦士型の人間か、装備は黒い軽鎧と長剣。

 わりとイケメンな金髪碧眼白人種のオッサン。



『召喚体ではないヒト種のダンジョン眷属ですね。こちらへの鑑定は全て弾いていますし、十階層の侵食も完了していますが、あまり気にしていないようです。自信家なのでしょうか、ラージャが『イラッ』っとするだけで爆散しそうなのに……』



 なるほどなー。



「俺の名はアナルガ・ベトー、【恐怖の男娼組テラーズ・ブリーフ】の一人だ」


「ふぅ~ん、もう殺して良いかな?」


「強がるなよ魔族、この【薔薇バラその】ダンジョンに来たと言う事は……お前もソレが目的なのだろう?」


「ん??」


「良いだろう、俺を倒す事が出来たら……貴様の御立派なソイツで俺の『薔薇バラ』を好きにするがいい、抵抗はせんよ」


「……(イラッ)」


「さぁっ、バッチ来ぉ~ぶべっ」



『汚い花火ですね』


「まったくだ」



 このダンジョンは早急に潰す必要があるっ(決意)




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 はい、第四十階層に来ました、最下層ですね。



「ほぉ、君がダンジョンランキング一位の【マハルシ】から来た刺客、か。おっと、失敬、私はこの【薔薇の園】を運営するマスター、『エロスギユ・テラーズ』だ、ヨロシク」



「ん~、コアはどこだ?」

『寝室で寝ているようです』



「へぇ、コアが欲しいのかい? それとも破壊が目的かな? コアを壊せばここは崩壊する、君も巻き込まれるわけだが……そうなると、奪取が目的か、君はマスターから教えて貰わなかったのかな? コアに触れる事の意味、を」



「コア寝てんの? この状況でよく寝れるなぁ」

『……事後のようです、マスターとの』



 ッッ!!


 そ、そのコアは、女性型、か?



『残念ですが、太った男性型です』



 クッ……そう、か。


 喰らうのは無しだ、コアっ子に任せよう。



「フフフ、どうしたんだね、深刻そうな顔をして、あぁ~、そう言う事か、君は捨て駒にされた、違うかい?」



 さっきから全裸のハゲ親父がうるせぇ……

 何で半勃起してんのコイツ?



「それにねぇ、私のコア『スタァダスト』は私にゾッコンなんだ、つまり、初めから君の敗北は決まっていた、スマンな。さぁ、しゃぶりたまえ。ハァハァ」



『ラージャ、殺しても宜しいでしょうか?』


「う、うん」


『では、御免あそばせ』



 俺の素敵すぎるたくましい胸から姿を現す破壊の女神。


 バーコドハゲ親父が驚愕しペニスがしおれた。


 ドス黒い神気を纏わせ憤怒の表情を見せるヴェーダが念力でハゲを縛り上げ、その醜い油ギッシュな裸体を宙に固定した。


 ヴェーダがハゲに怒りの神罰を告げる。



「私のマハーラージャに『しゃぶれ』とは……赦さん、赦さんぞ下郎ぉ……」


「ぐっ、ぐぎぎっ、げぼっ」


「九族皆殺しにしてくれるっ、貴様につらなる血は一滴も残さんっ!!」


「アガッ……ぺぇ」



 体の骨をバキバキに砕かれながら、最期は太陽のプロミネンス的な何かで燃え尽きてハゲは死んだ。


 燃えカスすら残っていない……



「聞きなさい眷属達よ、私が今から伝える人間共を見つけ出し焼き殺すのです、完全に燃やし尽くしなさい、宜しいですね?」



 眷属達のシャキッとした了解の念が伝わってくる。

 しかし、半数が恐怖で気絶してしまった……


 あ、ジャキがダンジョン攻略を切り上げて涙目で捜索を始めましたねぇ。こんなに一生懸命な豚骨バイキン男を見たのは初めてだ。


 何故か分神達も必死な形相で捜索に参加している……

 アイツらがセックスを中断するほど怖いのか……



「さぁラージャ、コアっ子を召喚して下さい」


「あ、ハイ」


「ここは全階層を消毒するか造り直しましょう」


「う、うん」


「ラージャ、私ね、ココが熱くなってきちゃった……」


「な、何で」


「うふふ、イきましょうか」


「……はい」



 怒りによる破壊衝動かな?


 それじゃぁみんな、逝ってきまーっす!!











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