第254話「あばよっ!!」





 第二百五十四話『あばよっ!!』





 六月五日、朝、大森林は雲一つ無い快晴。


 神木前に座って朝の礼拝を済ませ、先ほど朝稽古も終わらせた。


 先日、女性眷属が分神を下さいとデモしていたので、それじゃぁ今日は好きなだけ持って行けと礼拝時に分神を大量に放ってみた。


 誘拐犯が沢山居た。何だか悲しくなった。


 軽い暴動になった。

 嫁さんズが加わったらエライ事になる。


 なので、嫁さんズには分神を個別に与えた。

 最近はオマンに構い過ぎていたので詫びのつもりだった。


 結果、ラヴとメチャはイケナイ朝稽古を続けている。


 ホンマーニは分神の手を引きイケナイ薬草採取に出かけた。少し気になる。


 火炙り聖女ファクミーは分神とイケナイ懺悔ざんげ室に籠った。その懺悔はママンに届かんぞ。


 妖蜂と妖蟻の姉妹は侍女や兵士が可愛がっていた分神を容赦無く召し上げている。あんなに集めてナニをさせる気なのか……恐ろしい。ササミちゃんにはコッソリ一体あげた、トイレに走って行った、ほっこりした。


 フオウさんはオマンのところでアヘ顔ダブルピースしている。昨夜のうちに本物の白因子ぶんしんを大量に与えたので起床は昼前だと思われる。



『フオウの弱点がイキ易く復活し難い事だと分かって良かったですね、Gスポット百連打は今後も活用して下さい』



 ですねっ!!


 今日から少し『わからセックス』をしようと思いますっ!!


 ちなみに、GスポットのGは【ゴリラの嫁が好きな】の頭文字Gです。東狂大学医学部では常識です。


 さて、朝の騒動も落ち着いたところで本日のお仕事に参りましょう。


 標準装備の両肩嫁さんズが居ないのは久しぶりだが、新鮮ですねぇ。


 厠番の子達は意地でも俺のそばから離れません、凄まじいプロ意識に脱帽です。


 おっと、俺の股間も脱帽したようです、コマッタナー。



『突き破ったズボンを直す専属のお針子を雇いましょう。数分に一度の間隔で大きなズボンを破られると侍女達も仕事がとどこおります』



 ふむふむ、ヒマなお針子さんの当ては?



『億単位で居ると思いますが、ここは下層民に落ちた大森林中部魔族の妖蜘蛛族アルケニーから抜擢しましょうか。親は下層民として罪を償わせますが、子は針子の任を以って赦免とし、マハルシへの転居を命じます』



 ふむふむ、それでオナシャス。



『妖蜘蛛は元々優秀な種族ですから、必ずお役に立つかと。マハルシに移った後で眷属化をお願いしますね』



 任せてクレメンス。


 他種族にもガキが居たら転居させてやれ、望むならな。


 深部魔族はフェンリル兄やんがブッ殺したが、中部はまだ残ってるだろ。



『畏まりました』



 下半身が蜘蛛と言う半人半妖な姿のアルケニーは大森林に於ける『三大全裸女性魔族』の一角、カンダハル郊外に建てられた下層民用の娼館では人気ナンバーワン、その巨大な蟲腹がスケベな男達を狂わせる。


 実はジャキもその娼館へ秘かに通っていた。

 悪魔紳士達は普通に通っていた。


 だがしかしっ、俺は行けなかったっ!!


 三大全裸女性魔族のハーピーとラミアまで頂いた大森林の帝王がっ、最後のワンピースを頂けなかったっ!!


 そんなのあんまりだ、ヒドいじゃないか。

 俺は常々そう考えていた……っ!!


 その苦悩が、やっと晴れるんですねっ!!



『ごめんなさいラージャ、若いアルケニーは、その、全員が貴方とオルダーナとの間に出来たイモ息子に純潔を捧げると誓っているので……むしろ十代の蟲系魔族女性はほぼ全員がイモ息子に身も心も捧げる覚悟なので……』



 ちょ待てよ……


 マジちょ待てよ……


 ど、どうにか出来ませんか?



『はぁ……困りました、う~ん、大人のアルケニーを前線に送って戦功による赦免が手っ取り早いのですが、それはラージャが嫌いますし……』



 何か功績が有れば良いのか……

 大森林眷属全体へのつぐないになる形が望ましいな……



『ところで、ラージャは本日何を?』



 俺? 占領したジュダス帝国の土地にオッパイエと行って慈雨を降らそうかと……



『慈雨……ではアルケニーも連れて行って下さい。彼女達は現在避妊しておりますが、本来なら一度の産卵で卵嚢らんのうに三百個前後の卵を産み付けます、慈雨を浴びた後につがいを迎えて産卵すれば卵の数も増えるでしょう』



 え~っと、身を以って豊穣にくみせよ、って事?



『そうですね、多産を見守り安産を確約させる真神マカミの加護も得られればなお良し、です』



 ふむふむ、それじゃぁお姉様にも頼んでみっかな。

 三億年くらい監禁される事を覚悟してお願いしよう。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 やっちゃった……


 あのパンパンに張った蟲腹を目の前にしたらね、無理。


 真神お姉様に加護を貰った時は大丈夫だった。

 オッパイエの慈雨を浴びた時もまだ耐えられた。


 眷属化して悪魔化した後が駄目だった。


 あの大きな蟲腹にピンクのハートとゴリラの紋章が浮かんだのを見たら襲っていた……



“あぁ陛下っ、いけませんっ、おやめになって”とか。

“駄目ですっ、この卑しい身のそんな所を嗅いではっ”とか。

“違うんですぅ、ヤだぁ~、このお汁は違うんですぅ!!”とか。



 全裸の美女達にそんな事を言われたら、涙目で頬を染める薄幸そうな全裸の美女達にそんな事を言われたら、襲うしかないじゃぁないかっ!!


 桃色空間で罰を与えるしかないじゃぁないかっ!!



『約十七万二千個の卵を確認しました、豊穣祭ですね、おめでとう御座います。イセとトモエがキレました、頑張って下さい』



 ちょ待てよ……



『下層民に落ちたのは彼女達が採った選択の結果、それは大森林の掟による裁き、その全てをないがしろにしたのは貴方です。まったく……』



 違う違う違うっ、そうじゃ……そうじゃないのぉぉっ!!


 下層に落ちた存在が一生懸命に国へ貢献して贖罪し、皆の赦しを得て這い上がるサクセスストーリーの先駆け的なアレを模索した結果、アルケニーと言う名の『ビ・アンカ』に一本の蜘蛛の糸を垂らした釈尊としてのゴリラを演じた僕の最愛の妻はヴェーダと言う神界の宝石、愛してる。



『……ンもう、バカ』



 ヴェーダの事が好きすぎて勃起が治まらないゴリラは本当に愚かと言えるが魅力的過ぎる宝石を毎日体内に囲う嫉妬心剝き出しのダサいゴリラで悪いと思っているがヴェーダの魅力にはあらがえない僕はその有り余るパッションをヴェーダ似の女性にぶつけるしか……っ、愛してる。



『イセとトモエには私から言っておきましょう、ンもう、本当に困った人、私以外にも興味を持って下さいね? まったく、そんな所は母親そっくりです、私への偏愛はほどほどにして下さい、まったく、愛される側の気持ちも考えて下さい、はぁ、まったく、神域の寝室でお待ち下さいすぐに向かいます大好き』



 おうっ!!

 待ってるっ!!



 さぁ、アルケニーの諸君、マハルシに新居を用意した、そこへ転移してくれ。卵はこのまま桃色空間でこの帝王が護ろう、安心したまえ。


 こらこら、蟲腹の先をこっちに向けるんじゃぁない。


 続きは明日、いいね?


 え、俺?


 俺は今から地獄に行くのさ……あばよっ!!








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