第252話「何かゴメンなさいっ!!」





 第二百五十二話『何かゴメンなさいっ!!』





 六月四日、早朝、ジュダス帝国南部は雨。


 俺は相変わらず巨大戦艦の指令室で偉そうにしています。



 ガンダーラ空軍による帝国への絨毯爆撃は続いている。


 帝国はゴーレム部隊を投入してきた、ダンジョンの養殖だ。


 養殖ゴーレムではあるが、勇者の入れ知恵か技術革新でも起こったか、搭乗操縦式の金属製ゴーレムだ。


 無論、ダンジョンの支援効果は得られないが、操縦者の魔力で馬力は上がっている模様。費用と性能向上の比率は知らん。


 搭乗者には二種類あって、純粋な操縦者兼魔力タンクと、ただの魔力タンクが居る。後者は奴隷だ、魔族も居る、主にエルフだが。


 そりゃぁもう大森林眷属はブチ切れますよ、俺もな。ラヴなんて真っ先に飛び出して行った。


 俺と大森林眷属はダンジョン攻略後回しで救出に動いた。


 ファールバウティの血族と悪魔眷属は引き続き帝国西部を侵略中。


 今回の救出作戦で一番活躍したのはワイバーン達だ。


 シムラやリュウちゃん達は中級飛竜よりデカくて強い翼竜に進化していたし、生気注入で強化も完了。戦闘機よりも小回りが利く上に超低空飛行も余裕、破壊と救出を同時にこなせて人間や獣人に恐怖を植え付ける事が出来た。


 そのワイバーン空挺団と、俺のミニ筋斗雲部隊で救出は迅速に進められた。無人戦闘機と爆撃機を救出作戦にく必要が無かったのも良かった。


 久しぶりの奴隷魔族を見て頭にキた俺が、四万の無人戦闘機に対地ミサイルを積ませて戦争にブッ込んだので、救出を邪魔する敵部隊が激減したようだ。それもワイバーン達が暴れ回り易くなった要因だなっ!!



『一番暴れ回ったのはダークエルフ達でしょう、特にラヴの【影沼】は二十万人都市を一呑みしましたからね、奴隷の選別なども一瞬で終わらせていましたし』



 ですなぁ、あれはもう吸血鬼が使う【闇の湖】より広範囲だよなぁ。魔皇帝とその母親を除外すれば、その辺の吸血鬼が使う【闇の湖】より強力だろ。



『ラージャ、たった今レインより報告が上がりました。女性吸血鬼を救出したようです、マハルシに転送して治療しますが、治療後は魔皇帝の許へ送りましょうか?』



 そうだな、解放後は同族が沢山居た方が良い……とは本人にしか分からんが、そう言う希望が出たら送ってやろう。俺も今から挨拶に行くよ。


 え~っと、マハルシの治療院に居るのか、ホンマーニが院長だったな。ついでにセクハラしてこよう。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 う~ん、これは……美しいですねぇ。


 魔力で作られた黒いロングドレス、水色のボーイッシュヘア、ルビーのように光る灼眼、身長は170cm、主張しすぎない胸と引き締まったヒップ。


 真っ赤な唇、たまにのぞく鋭い犬歯が俺を狂わせる。


 って言うか、俺の右手人差し指をガジガジ噛んでいる女性吸血鬼に、萌え上がった股間のイライラが止まらない。物理吸収ですみません、バステ無効でごめんなさい。


 彼女の名前は『フオウ・ムラマサ=シマズ』さん、二千二百歳。


 魔皇帝の御母堂『オマーン・ハーン=キュベレイ』様の遠縁だそうです。



 フオウさんは俺が彼女の治療室に入った瞬間に噛み付いてきた。


 最初は首を狙われたが、牙が通らなかったので体毛の無い場所を狙われて、最終的に右手の人差し指を吸血箇所として決めたようだ。その右手はさっき直で『チンポリ』したんですが……


 今後、股間をポリポリくのはめようと思います。



『吸血鬼は魔族の中でも屈指の嗅覚を持つ種族です、ラージャのフェチモンが一番濃い場所を触れた右手に頭をヤられるのは仕方がありません。最後に残った理性で股間への噛み付きは我慢したようですが』



 な、なるほどなー。


 でもさ、かれこれ三十分は指をしゃぶってんだよね、少し前からかじるのをめてジュポジュポくわえ始めたんだよね、上目遣いで俺の目を見ながらやってんだよね……


 そろそろ俺のイライラも現界なんだよね、俺も男の子なんだよね。



『う~ん、イセかトモエに傷を付けてもらって血を飲ませるか、ラージャが自傷して血を飲ませれば落ち着くのでは?』



 自傷の方向で行きますね、イセトモに連絡しないでね?


 無駄に物理無効で生まれた所為せいで、痛みへの耐性無いんです。


 あの二人の攻撃がどんだけ恐ろしいか、そろそろ理解して頂きたい。


 え~っと、左手親指の爪で左手人差し指の先を切り付けます、痛いです、あぁ、傷のふさがりが早い……でも血は残った。


 フオウさんが首をグルンと右に振って俺の左手をガン見します。とても怖いです。


 左手に飛び付かれました、人差し指をしゃぶられました、フオウさんが白目を剥いてぶっ倒れました、黄金水を漏らしておられます。



『大魔神の血ですから……えっと、まぁ、大丈夫でしょう』



 いやぁ、大丈夫には見えませんが……


 おかに上げられた魚のようにビクンビクンて跳ねてますが……



『あ、眷属になっています、おめでとうございます。初の吸血鬼眷属ですね、このまま生気注入も済ませてしまいましょう。奴隷時代が長かったようなので、彼女の肉体はかなり弱っています。大魔神による生気注入は正しい処置です』



 そ、そう?


 まぁDPはほぼ無限湧き状態だしな、ダンジョンに回す生気は十分か。よっしゃ。


 それでは遠慮無く、ソイヤァーッ!!

 おぉぉ、フオウさんの体が跳ねた、エビりだ!!



「グギギギィ、オゴォォォ、ンほぉぉっ、待っイッぐぅぅぅぅっ!!」



 さすが吸血鬼、生気許容量が多い……気がするっ!!


 もっとだ、もっとイける、頑張れ、本気出せよっ、まだやれる!!



『ちょっと、ラージャ……』


「アバババ、ウギィィィ、無理ぃぃぃ、ゆるじでぇぇ、もうイぎだぐないぃぃ、じぬぅぅ、じんじゃうぅぅ、だずげでぇぇ……ぁ(ビクン)」



 ふぅ……


 見ろヴェーダ、彼女のあの青白かった肌がっ、夏休みに海や川で遊びまくったワンパク小学生のような小麦色の肌にっ!!


 水色の髪は何か光り輝く水色にっ!!

 燃えるような灼眼は白目を剥いても萌えているっ!!

 股間から広がる黄金水は何かトロみが付いた感じへっ!!


 一目で『あ、やり過ぎたな』と見て取れるダブルピース状態っ!!


 どうすればいいか分からないっ!!



『あなた疲れているのよ、少し休みましょう?』



 それが良いかもしれないっ!!









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