第245話「か、革命やでコレ……」





 第二百四十五話『か、革命やでコレ……』





 テクテク、トコトコ。

 ダンジョンの改造をしながらゴリラは進む。


 そう言えば、このダンジョンにも名前が必要だな。


 女子高生コアのアオカンとウェクサーが出会った場所か……


 あ、第三階層への階段は品川駅の……

 そう、あのエスカレーターみたいに……っ!?


 シナガワエキ、良い名前だ。

 もうこれシナガワエキしかねぇなっ!!


 この孤島ダンジョンは『シナガワエキ』だっ!!



≪畏まりました……登録完了。お父様、魔界トンネルの追加をンッ、放してっ、今は大事な話をっ、待っ、やめてっ、大声出しますよっ、や、やめて下さいっ、お父様に知られたらっ、アッ、クッ、指を、抜いてっ≫



 ……青春やなぁ。


 何だろう、軽く嫉妬を覚えますねぇ……

 スッゲェ股間がイライラすんだけど……

 娘の痴態は見たくねぇのに、何かモヤるわぁ~……


 ミニ筋斗雲に乗せたアヘ娘達は起きる様子が無い。

 困った、イライラ棒をどうにかしたい……


 あ、オルダーナに貰った【スケベ紙】が有るじゃん!!


 寝室に有るスケベ紙の束を右手に転送。

 誰の花園に繋がっているのか解らないスケベ紙……


 でも、役職とかでふちの色が違うんだよな、立場がバラバラだから相対的に忙しい嫁も居る、迷惑は掛けられん。


 金色が女神、銀が王皇族、黒が武官、白が文官、赤が侍女、黄が厠番、虹色がアーベ。アーベは役職なの?


 少し前は嫁とそれ以外の二色しか無かったのに、いつの間にか細分化されている。黒と黄の縞々シマシマは武官の厠番って事かな?


 何これ、リアルタイムで色が変わるの? すごくね?

 あ、右上の桃色ハートマークから色が消えたりしてる……


 これは色付きが準備オッケーって事ですかね?


 そんな、これじゃぁまるで……

 俺のイタズラ心を刺激するようなもんじゃないかっ!!


 色無しにブチ込んでと言っているようなもんじゃないかっ!!


 とりあえず、赤、侍女の一枚を抜き取ります。

 色無しです、お昼前なのでお仕事中でしょうか、スマンな


 あ、そうだ、侍女ならダンジョン化した場所の勤務だろう、皇城とか。


 って事は……うふふ、検索出来ましたーっ!!

 はい、脳内に侍女達を覗き見する画面を展開させます。


 ふむふむ、ヴェーダモニターの方が見やすいが、問題無い。さすが大魔神だな、よく分からんが数百万の侍女を確認出来るぜっ!!


 ハァハァ、スマンな。お仕事中にスマンなっ!!

 さ、さ、最初は指だけだから、先っちょだけだからっ!!


 それでは失礼して……ヌポッっとな。



≪ッッ!! ンンンッ!!≫

≪どうしたの?≫


≪な、何でも、ない、です≫

≪そう、早くシーツを換えましょう≫



 こ、これはっ!!

 ってか、あの子がこの紙の……


 あんなに大人しそうな妖蜂の子がこの紙を提出……


 ししししかもコレ、むむむ蟲腹直通だ……っっ!!

 本気、彼女は本気だっ、全てをくわえ込む覚悟だっ!!


 こ、こ、こいつぁ革命だ、エロレボリューションだっ!!


 ちょ待てよ、ヤベェ、興奮してきた。


 第三階層に入る前に、ベッド付き公衆トイレ創んなきゃじゃん!!


 俺って横になって足ピン絶頂派なんだよね。


 とりあえず、午前のお仕事は終了っ!!



 俺は【帝王専用昭和後期公衆便所】を創造し、夏休み前夜の小学四年生のようにソワソワしながら便所に駆け込んだ。


 とてもじゃぁないが、スケベ紙一枚程度じゃ今の俺からこのドキドキを奪う事は出来ないぜっ!!




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




【妖蟻皇帝の執務室にて】




 妖蟻皇帝アカギは寂しい。


 最近、夫があの野性的な瞳で自分を視姦する回数が減っている。胸の谷間はもっと大胆にした方が良いのか?


 もっと構ってもらうにはどうすれば……


 多くの妃を持つ英雄の妻として、そんな贅沢を言ってはいけない、それは分かっている、しかし、やはり寂しい。


 桃色空間での長久なる情事は素晴らしい、夫の深い愛も十分に感じる、それでも、それでもやはり、逢ったばかりの頃のように、毎日自分をむさぼって欲しい。


 アカギは『フゥ』と切なげな溜息を吐いた。

 妹のイセは目を半開きにして立ったまま寝ている。


 そんな妹の様子を見てクスリと笑うアカギ。

 可愛い妹、その飄々ひょうひょうとした生き方を見習いたい。



「ひゃっ」



 見習いたいと思っていた妹が変な声を上げた。


 室内の左右に控える皇帝専属護衛部隊『中狼令ちゅうろうれい』と侍女達に緊張が走る。


 眉根を寄せいぶかしむ姉のアカギ。


 イセはキョロキョロと周囲を見渡し、何かに気が付いたのか『何でもない』と皆に告げ、ほんの少し微笑んで目を閉じた。心なしか頬が赤い。


 アカギの眉間にシワが増える。


 妹をそんな顔に出来る人物はこの世に一人しか居ない。


 少しムッとして妹の様子を窺う。

 蟲腹の先が不自然に開いている、オカシイ……



「ふぁぁー」



 今度は姉の口から変な声が出た。


 慌てて両手を口に当てるアカギ。


 妹以外が皇帝を心配する、『何でもないわ~』と夫から贈られた【諸葛亮の扇っぽいヤツ(三万DP)】で口元を隠し、オホホと誤魔化す。


 なるほど、あの紙を使ったのねぇ~、と心が温かくなる妖蟻皇帝。


 アカギもまた妹と同じように目を閉じ、幸せそうに微笑んで夫のイタズラを楽しんだ。


 今日の夫は自分達姉妹をジックリ料理するつもりのようだ。

 先ほどから本番が無い、恐らく中指でらしている。


 さすがのアカギもこれにはこたえた。

 今すぐ夫の許に転移してしまいそうになる。


 我慢と自制心を母の子宮に忘れて生まれたあの夫が、『始まりの一発』を抜かずに責めてくるのは初めてだ。


 右目を薄く開いて妹を確認。

 イセの頬は益々上気し、下唇を噛んで何かに耐えている。


 あの妹が、そこまで耐えるものとは……?



「ふぁぁー」



 妖蟻皇帝、本日二度目の変な声。


 あの悪ガキゴリラにヤられた、後ろの穴を指でズボッと。

 どうやらスケベ紙を複製して接続穴を変更したようだ。


 中狼令も侍女達もそろそろ気付き始めた。


 これは帝王様のおたわむれだな、と。

 って言う事は、自分達にもワンチャン有るな、と。



 皆の予想は的中。


 ガンダーラでは最もお堅いイメージを持たれている存在の一つ、妖蜂の近衛と並ぶ妖蟻の中狼令から徐々に変な声が漏れ始めた。しかし、我慢、直立不動は中狼令の矜持っ!!


 次いで、侍女達からもポツポツと変な声が上がり始めた。


 声を出さない女達に焦りが見える。

 まさか、自分はお手付きされないのかっ!!

 自分も『な、何でも、ありま、せ、ンッ』と言いたいっ!!



 皆の焦りは杞憂だった、全員が変な声を出した。


 皇帝の執務室はイケナイ香りが充満し、至る所から嬌声が聞こえたが、なんとも幸せな空間となった。



 妖蟻皇帝アカギはその光景を見て可笑しくなった。


 私は決して寂しくない。


 突き上げられる夫の愛を蟲腹で受け止めながら、妖蟻皇帝アカギはつややかに微笑んだ。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る