第240話「震度九の愛」





 第二百四十話『震度九の愛』





 四月七日、午前、愛情溢れる豊穣神の慈雨に打たれた北方は、大地を覆う淡い緑に春の日差しが照り返し、幻想的な景色をゴリラの網膜に焼き付ける。


 北方長城第一要塞の城壁に立ち、野原を駆けるチビッ子眷属達を眺めながら、俺はお姉様にシャブられていた。


 転移した直後に襲われた。

 真神マカミお姉様は巨狼形態だった。


 俺が慌てて『ちょ待っ』と言うと、お姉様は『黙れ小僧っ!!』と言って俺を犯した。


 体長が30mを超えた大猩々の俺を組み伏せる真神お姉様デカすぎワロタ。強すぎクソワロタ。


 お姉様はその大きなアギトをクワッと開き、無駄に硬い俺の黒塗りナイフを喉の奥まで咥え込んだっっ!!


 知らないっ、こんなの知らないっ!!


 こんな、何か、その、すごく凄い吸引、知らないっ!!


 強烈なバキュームに語彙ごいとぼしくなる俺。


 だがしかしっ!!

 俺のナイフはマーラニキに強化されふぁぁー!!


 しゅごいぃぃぃ、白因子が止まらないぃぃぃっ!!

 沢山出てるのにぃぃ、こんなの初めてぇぇぇっ!!


 朦朧とする意識、定まらぬ視界。

 揺れる視線が物陰に潜む変態を捉えた。


 兄やんだった。兄やんがハァハァしていた。

 兄やんのイライラ棒をお世話する健気なメス狼達も居る。


 兄やんはその献身的なメス狼達を放置している。

 銀狼の鋭い眼光はお姉様を射抜いて逃さない。


 マジか……

 メス狼が哀れだ。

 控えめに言ってドクズ。


 あんた、本当に最低だぜ……


 俺はお姉様に首根っこを咥えられ、寝室に引きり込まれながら、クズな兄やんを軽蔑した。


 その直後、『あ、俺も兄やんと大して変わらねぇなっ!! たはーっ』と思った。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 お姉様はおっしゃった『この姉を壊してたもれ』と。


 任せてクレメンス。

 破壊者クラッシャーナオキとは俺の事。


 桃色空間で三千年ほど暴れて差し上げた。


 狼形態のお姉様が尻尾を左側にフサッとズラして、その妖艶なケツを俺に見せつけるものだから、野獣になるしかないじゃないか……


 情事の後は、二人で毛繕けづくろいした。

 何だかホッコリした。お姉様のお腹で寝た。


 すると、お姉様が『ナオキは良い子、良い子』って寝てる俺を舐めるんだ。


 そんな事したら、ヤるっきゃ騎士ナイトになってしまうだろー。


 千年分オカワリした。


 二回目の情事が終わり、俺はお姉様に兄やんの事を尋ねた。結婚は何時いつなのか気になったんだ。


 お姉様は寂しそうに目を伏せ、『わらわは、嫌い?』と、呟いた。


 俺はヤるっきゃ騎士に変身した。


 お姉様が、お姉様が、お姉様が悪いんやでぇぇっ!!


 五千年分オカワリした。


 三度目の情事が終わると、お姉様がお嫁さんになっていた。


 何を言ってるか分からねぇと思うが、俺も何を言っているか分からねぇ……


 お姉様は俺の顔をペロペロ舐めつつ、とても悪い顔をしていた。


 何が起こったのか解らない。


 しかし、ハッキリと夫婦の契約がされている。

 神々の契約だ、簡単には結べないし、容易に破れない。


 兄やんに何て言えば……



「喜ぶのでは?」



 だなっ!! って、え?


 背後からヴェーダの声……?


 俺は恐る恐る振り返った。



 全裸の嫁さんズが勢揃せいぞろいしていた。



 何故か条件反射的に転移しようとする俺、ママンの不思議パワーで無効化される(絶望)


 不思議空間に衣食住を満足させる為の物資が送られてきた(眩暈めまい


 お世話係の侍女軍団や厠番も転移して来た。ママンの不思議パワーで神域での活動を可能にしたんですね分かります。


 でも、その全員が全裸なのはちょっとオカシイと思う。真面目な顔で勃起をきたす俺は間違っているだろうか?


 背後に強烈な気配を感じて振り返ると、返り血にまみれたサタナエルが居た。リリスとプルピーも血だらけだ。


 彼女達は急いで地球圏から戻って来た模様。

 あ、神界大戦の休憩で?

 なるほどなー、そうなんだ(白目)


 オルダーナ姫が使隷しれいのペルゥさんと全裸ではしゃいでいる。


 ペルゥさんは何で全裸なんだろう……

 何で俺の股間をチラ見するんだろう……


 侍女軍団や厠番の娘達も【神木樹液ローション】を秘密の花園に塗って準備開始、何の準備かな?


 え、厠番は交代制? でって言う……


 当然のように全裸で俺の横に座る義母。アングルママはもう離婚しなよ、結婚してる意味無いよ……


 イセトモが蟲腹から『シャキン、シャキン』と毒針を出し入れしながら近付いて来る。


 あぁ、彼女達も発情期だったな……願わくは、あの二人だけマジで別の機会を設けて欲しいです。


 へへっ、なんつってな!!

 いいぜ、殺れよ、殺ればいいだろぉぉぉっ!!


 女神組が転移して来る。無論、全裸だ。

 俺は様子をうかがう、うむ、女神の慈悲を感じないっ!!


 冥府の女王ヘルと戦神ムンジャジが体位の種類を話し合っていた。『正常位が有るなら負常位も有るはずだっ!!』と声を荒げる戦神、『腐上位ならしたことある、ポッ』と照れる冥府の女王。


 それは真剣に話し合う必要が有るのか?

 女神としてもっと大切な事が有るんじゃないか?


 豊穣神オッパイエが申し訳なさそうにして俺に頭を下げた。小さな声で『ゴメンね?』と言ったが……


 嘘だっ!!


 お前がド淫乱なのは僕が一番知っているんだっ!!


 嘆き悲しむ俺や準備中の女性陣を余所よそに、いそいそと衣服を脱ぎ捨てるメチャとラヴに絶望。


 お前らに優しさは無いのか……っっ!!


 その時、柔らかい四本の腕が俺を包んだ。

 震えるゴリラを力強く抱きしめるヴェーダ。

 ちょっと抱きしめ方がキツすぎるが、愛を感じる。


 やっぱりお前は優しいな、そこが好――



「では王妃達、これよりオマン国際女子大戦を開催します。決勝はオマンとの一騎打ちです、気合を入れなさい」



 大戦の名称ヒドすぎワロタ。



“うおぉぉぉぉ!!”



 桃色空間に嫁さんズの雄叫びが響き渡る。


 そして、酷い名称の女子大戦が勃発した。





 一兆二千億、俺が犯された年数。

 気付けば俺は『大魔神』になっていた。


 嫁さんズは大魔神を片手でシバキ上げるほど強くなった。


 大戦の優勝者は……



 いや、これを言っちゃぁ野暮ヤボってもんだ(震え・震度九)








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