第223話「難易度超級を選んでコントローラーぶん投げる子かな?」





 第二百二十三話『難易度超級を選んでコントローラーぶん投げる子かな?』





 ウッ……頭痛が……




 あれ、俺は何してたんだっけ?


 え~っと……

 本日は三月三日……三日、そう、三日だ。


 昨日が二日だったから今日は三日、間違いない。


 二に一を足すと三になる、俺はお利口だから解るんだ。


 大森林は晴れ、昨日も晴れだった。空気は澄んでいるし、神木の若葉が美しい、何も変わらない。


 でもオカシインダヨ……


 俺の周りを幼児達が走り回るんだ……

 俺の事を『ちちうえー』と呼ぶ幼児が走り回るんだ……


 こんな子達知らない、昨日まで居なかった……

 高貴そうな乳幼児を抱っこする侍女達が居る、凄く居る……


 しかも、しかもだ、その子らが全員……神か亜神だ。

 何故か俺の神気を体に宿している、オカシイ……


 いや、一番オカシイのは……

 何だかクッソ強くなっている嫁さんズだ……っ!!


 肉体が強化されたとか、そんな話じゃない、神気の練り具合やスキルの練度が異常なんだ……


 レベルは上がっていない、しかしスキルの熟練度だけカンスト状態だっ!!


 メチャなんて容姿は若々しいままなのに、何故か『ママみ』のある貫録を備えつつ、歴戦の勇者の如き威厳を漂わせている……


 ラヴは……何だろう、メチャと似た凄みを出しつつ、沢山の幼児(鬼神)を筋斗雲に乗せて幸せそうにしているが、その子らはラヴを『ははうえー』と呼んでいるんだ、義母的な意味だろうか……


 しかし、メチャの事は『めちゃさまー』と呼んでいる、同じ魔神妃なのにラヴとメチャで呼び方が違うのは何でだ?


 さり気なく周囲を観察する……


 皆は当然のようにチビッ子達を受け入れているな。

 呼び方にツッコミを入れる者も居ない……


 俺の体によじ登るチビッ子達を叱る者も居ない……

 頭や股間にパンチを打ち込む幼児も居るのに……

 むしろ微笑まし気に見つめている……


 いや、確かに微笑ましいんですが……

 こんな日常は知らないんですよ僕……


 これじゃぁ、僕だけ違う時間を生きたような……

 まるで浦島太郎のような……ウッ、頭痛がっ!!


 や、やめてクレメンス……


 ぼ、僕はハードボイルドな男なのです……


 もう、バブバブしたくな……い……





『気絶したようですね、フム、五億年を九回連続は少しばかりヤリすぎましたか……』


「そ、尊妻様ぁ、あの、一日で四十五億年セックス祭りは少し賢者様が可哀そうなので、一日一回五億年セックス祭りにしては、あの、どうでしょうか……」


『ッッ!! それです。さすが私のメチャ、採用しましょう』


「え、えへへ、け、賢者様と長く一緒に居られるのは、う、嬉しいですけど、わ、私も早くセックスしたい、のでっ、日が経過してくれた方が、嬉しいかなっ、て、えへへ」


『なるほど……時間が止まるのも良い事ばかりではありませんね。しかし、帰還ごとに子が産める仕組みを創ったアートマンとイズアルナーギには感謝しかありません』


「ですですっ、アンマンサーン」


『さて、ラージャを神域に移しましょう、今日の五億年が待っています』


「そ、それは素敵ですっ!!」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 バ、バブバブぅ~……

 もうオッパイ飲めないよぉ……



『ラージャ、起きて下さい、お昼寝の時間は終わりです、王妃達も帰りましたよ』


「ばぶぅ?……ハッ、ここは……?」


『貴方の神域です』


「何で……いや、そうか、そうだった、思い出したぞ、恐怖のビーチクボタンと五十億年のゴリラ虐待伝説……っ!!」


『何度も言いますが、こういった情事では常に貴方が一番ノリノリです。あのアングルボザを泣かせたのは恐らくラージャが初めてです』



 ……ウッ、頭がっ!!



『人妻に対してあんな事を言わせつつあんな体勢であんな変態的な……彼女は便器ではないのですよ?』



 ……ウッ、股間がっ!!



『アングルボザの女としての尊厳を踏みにじり、母としての威厳を嘲笑する鬼畜、クレイジーゴリラが何か言いましたか?』



 いや、スマンかった。

 ちょっと謝って来るわ!!



『謝罪は不要です。それに、現在アングルボザはヘルと殴り合いの喧嘩をしておりますので』


「え、何で?」


『ラージャに凌辱し尽くされたアングルボザが、デレッデレの顔で『かぁーっ、困るわ~、愛され過ぎて困るわ~、かぁーっ、アタシばっかり求めて来て困るわ~、かぁーっ、体がもたんわ~、かぁーっ』と、ヘルを煽ったからですね』


「な、なるほど……」



 それはアレだな、避難すべきだな。

 取り敢えずマハルシに転移しようそうしよう。



『お待ちを……フム、北方魔族の大軍が出現しました。第二要塞前に集団転移したようです』


「ほぉ、転移か。ダンジョン間の転移じゃねぇんだよな?」


『違いますね。魔術か、スキルか、それとも神のわざか、詳細は掴めませんでしたが、長城に張ってある神気結界は抜けなかったようです』


「ふぅ~ん……結界は無理だろうが……ふむふむ、転移、転移、うん、これはあれだな、瘴気が満ちたんで向こうの悪神も顕現けんげんしたかな?」


『瘴気をダンジョンに取り込みましたか……。しかし、悪神がダンジョン外に出れば我々が気付きますので、ダンジョンからは出ていませんね』


「用心深いねぇ」



 まぁ、手駒として一番強力なダンマスがダンジョンに縛られてるしな、世界に冠たる五帝ダンジョンとセットで手元に置いとけば安心だ。


 ん?


 いやいやいや、世界に冠たる?


 人間や獣人が居ない北方のダンジョンなのに?

 どうやって冒険者ギルドに最上級認定貰ったんだ……?



『ラージャが大嫌いな【告知さん】では? ラージャのマハルシも冒険者ギルドの不思議魔導具に登録されましたし』


「あ、あぁぁっ、全方向に俺の情報を投げ売りする【告知さん】かぁ!! なるほど、間違い無い、それだ」


『謎が解けて何よりです。あら、おやおやこれは……』


「ん、どうした?」


『教国とスーレイヤの北方に魔族の大軍が出現しました、北方魔族です。出撃は地下下降型ダンジョンからでしたが……入口が消えましたね』


「うわぁ、何じゃそりゃ」



 それこそ悪神の権能かダンマスの能力か分からんな……



『なかなか厄介な能力ですが、乱発は出来ないでしょう。こんな能力を幾度も使えば必ず周知されます、しかし、史書にも書かれておらず、ギルドも掴んでいない情報です。今回も三か所のみ、何らかの制限が有るかと』


「フムフム、まぁ、幾らでも大軍送ってくれて構わんがね。スーレイヤに現れた大軍はスーレイヤ王国軍と勇者が頑張ってくれるだろ」



 ガンダーラに向かってくるならそれでもいいしな。


 結界を抜けるなら歓迎してやる。


 ガンダーラの民は『お母ちゃんのお膝元マハルシ』に転移で総避難だ。


 避難が済んだら北方のゴミと同時に消し飛ばす。


 そもそも……プ~クスクス、バカめ!!


 敵は一つに絞るべきだぜ、アンポンタン。



 教国に攻め込むのは無いわ~、無い無い。

 今のあそこ魔界トンネルだらけだよ?


 大魔王と獄長が居る国ですぞ?(真顔)

 南エイフルニア並みに攻めちゃ駄目な国です。



 末娘を狙撃された家族は、かなり怒ってるぜぇ~?







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