閑話其の八「僕はバトラー、ヨツンバイン」後編





 閑話其の八『僕はバトラー、ヨツンバイン』後編





【スーレイヤ王国・中部国境の平原にて】




「ん、あれは猪人、か?」

「黒い猪人、新種でしょうか?」

「おいリュート、鑑定結果は?」


「……弾かれた、今度の獲物は手強てごわそうだ」



 勇者一行を見つけたけど、全員生意気なのっ!!


 特に目が気に入らないのっ!!


 早速ブッ殺すなのっ!!


 え~っと、最後に鑑定した黒髪のヤツが勇者なのっ!!


 勇者の名前は『○○ト』って、最後に『ト』が付く率が高いってナオキお兄ちゃんが言ってたなの!!


 あ、僧侶っぽい女が補助魔術を使ったなの!!

 プークスクス、でって言うww



『そろそろ正気に戻りなさい、まったく』



 はっ!? 俺は何を……


 眼前に小せぇ人間が四人……?


 こいつら、俺の縄張りに貧乳、違う、侵入しやがったな!!


 赦せねぇ……


 あ、まままままさかっ!!

 俺の大正義ペニバンを奪いに……っ!!


 キレちまったよ、十七分ぶりに、な。


 俺様が激おこプンプン大将軍になると、全身鎧で身を固めた弱虫人間が前に出てきた。何だぁテメェ殺すぞ。



「下がれリュート、一番槍はこの聖騎士ヴァギナスキが務める、そうだろ?」


「油断するなよヴァギナスキ、豚の能力は不明なんだ」


「なぁに、所詮はただの豚だ、何匹も狩ってる、問題無い」



 何匹も狩ってる?


 スーレイヤには猪人集落が在るのか……?

 大陸中央の猪人は大森林にのがれたはずだが……?



『ダンジョンの養殖でしょう、猪人族を創造出来るマスターが居るのかもしれませんね』



 なるほどなー。


 ところで、あの変なデバフ撒き散らしている黒髪が勇者かい、姐さん?



『如何にも、大剣を背負った黒いコートの男が勇者です』



 よっしゃ、じゃぁこの聖騎士?

 とりあえず邪魔なんで殺すぜ。


 アチョー!!



「南都無情豪掌波ごうしょうは


「ぐぺぽっ」



 デケぇ盾に隠れた白い全身鎧のアホを爆殺。


 俺の拳から放たれた瘴気入りの衝撃波がアホを吹き飛ばした。


 う~む、両脚が残ったな。全身消し飛ばす予定だったのに、少しズレてしまったぜ!!



「「「ヴァ、ヴァギナスキィーーーッ!!!!」」」



 驚く人間共、爆散した仲間の肉を目で追う。

 馬鹿やってんじゃぁねぇぜ、オイ。


 このジャキ様を視界から外すのは下策だ。


 斥候っぽいガリ男の足元から『土槍どそう』を生やす。



「ギャッ!! あぁあああ゛あ゛あ゛脚がっ俺の脚がっ!!」



 むむ、動きが良いな、仕留め損なったぜ。



「なっ!! ガリクソンさーんっ!! 今治療をっ!!」

「あの豚っ、魔術まで使えるのかっ!!」



 水と木と聖属性以外は使えるぜぇ?

 俺様は魔神あにきの眷属だからなっ!!


 ここでそれを言わないけどな!! へへへっ。


 でも勇者は神々の実況中継があるから、ベラベラ言うらしい。


 さて、次はどいつにしようかな……


 僧侶は苗床にしてぇなぁ、セルフ回復出来る苗床はポイント高いよ?


 となると、勇者か斥候を始末するべきだが、あの回復は邪魔くせぇなぁ。


 ふむふむ……ピコーン!!


 僧侶は腹パンすっか!!


 トコトコ歩いて僧侶に近付くぜ!!

 勇者が剣を向けて立ちはだかった!!


 クッソう、俺は斬撃が苦手なんだぁ~……


 なぁ~んつってな!!


 斬りかかって来る勇者を無視して僧侶に腹パン。

 僧侶はゲロと小便とウンコを漏らして落ちました。


 え、勇者?


 勇者なら斬撃が無効化されてボケっとしてるぜ?


 俺は兄貴の眷属になったからな、物理耐性付いたんだ。


 ついでに、兄貴が魔神になったから、その物理耐性が【物理無効】に格上げされた。


 元々あった打撃無効は、【打撃吸収】に格上げされたぜ!!


 物理無効とは別扱いなのが俺様の俺様たる所以ゆえんだな!!


 はい、僧侶を遠くに投げ飛ばして、脚が痛い痛いしてるアホを指先一つでボンッ。


 うむっ、俺が考えた【南都聖拳】のキレも良くなってるな。


 俺はもう北都真拳は封印したんだっ!!


 ちなみに、これは兄貴が創った【南都性拳】とは別だぜ?


 兄貴の南都性拳は、死ぬ間際に絶頂をきたす慈悲深い殺人拳だからな!!



 さて……



「よぅ大将、今度の狩りはエキサイト出来たかい?」


「なっ、オークが、喋っ……た」



 ねねね、姐さん、オークって何だっけ?



『地球人は猪人族をそう呼ぶ事が少なくありません。まぁ、蔑称とでも思いなさい。ジャキのファッキュー、です』



 ぬ、ぬわにぃ!!

 ファッキューだとぉ!!


 兄貴が言ってたぜ、最大の侮辱だってな!!

 相手のケツを掘ってやる的な意味もあるとかなんとか!!


 ゆゆゆ、赦さんぞ虫けらめぇぇっ!!


 生まれたばかりの小鹿みてぇにプルプルしやがってぇ!!


 そのプルプルは笑いをこらえるプルプルなのか貴様ぁっ!!


 進撃の猪人を舐めんなよっ!!



「アフィフィはっふんウィンそひイェーガーッ!!」


「な、何言って……」


「巨神よっ、我に駆逐エーレンの力を与え給えーっ!!」


「うっ、何だこの光っ!?」



 むほぉぉーっ!!

 天から注がれる黒き光っ!!

 来た来たキターーっ!!


 喰らえ、プルプル人間っ!!



「南都聖拳奥義……【夢精転送】っ!!」


「?? ッッ!! うっぎゃぁぁあああっ!!」



 説明しよう。


 奥義【夢精転送】とは、俺が夢精で出した白因子(土器に保存済み)を、標的の睾丸に転送する暗殺拳なのだっ!!


 無論、その白因子は既に腐っている!!



『うぷっ、最悪……』



 クッ、一部の淑女には不評だが、その効果は絶大だ。

 悪魔猪人の出す白因子は、俺から見てもヤベェ量だからな!!



 フフフ、勇者の股間が真っ赤に染まった……キリッ。

 少しピンク色も混じってるな、そこにリアルが在るっ!!


 勇者は股間を抑えて両膝を突いた。


 あ、隙ありっ!!


 思いっきり頭を踏み潰すんだぜっ!!


 ほぁちゃーっ!!



「ぶべらっ……」



 ボギャリと音を立てて勇者の頭が割れた。

 フッ、『かるしうむ』が足りねぇぜ?



「ふぅ、高度な頭脳戦だった……」



『……はぁ、撤収しなさい。後は私が処理しておきます』



 アザーッス!!


 よっしゃぁー!!

 待ってろよペニバン、今行くかんなーっ!!


 おっと、その前に、JLG48の奴らに挨拶を……


 しようと思ったら木陰こかげでセクってた……


 俺が熱いファイトをしている時にセクってたなの……



『貴方の強さを信じているからこそ、でしょう。さぁ、早く戻りなさい、ペニバンが待っていますよ』



 うん……

 分かったなの……



 僕は涙をこらえて制圧した街に帰ったなの。


 一番大きな建物に入れって、姐さんが言うから、そこに入ったら、あわわわわ、全裸開脚のペニバンお姉さんが……



 股間に作り物のポコティンを付けて僕を待ってたなの。


 お姉さん、それはなぁに?



「さぁ、閣下、ヨツンバインになって」


「え」




 アッーーーーーーーー!!




 僕はジャキ、南都四兄弟の三男……


 ミギカラが『今日から三女じゃなw』って言ったなの……


 マジでキレたなの、血管がブチって言ったなの。

 あのクソ爺ィ絶対泣かすなの……






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