第199話「刮目せよ、俺が本物のアホです」
第百九十九話『刮目せよ、俺が本物のアホです』
メハデヒ王国の勇者と言えば……王都に監禁されている危険物扱いの男女が二名、虐待好きの白人種が一名、人助けと称して人類アホ化
ついでに加護無し、だったか?
ここに来たコレは日本人に見えるな、アホ化行脚と加護無しブレイク馬鹿のどっちだ?
『加護無しブレイク・ブレイブです』
何それカッコいい、壊れた勇者? ウケるw
パコレイパーに預けた聖女に会わせてあげたいですねっ!!
学友に会わせてあげねば人外帝王の名折れでありますっ!!
『あの
それは大変だっ!!
早く勇者に見せなきゃ!!(使命感)
ではその様に、ヴェーダがそう言うと、パコレイパーに後と口をパコられながら人畜出産中の淫乱聖女が勇者の眼前に出現。
うわぁ、聖女様は泣き叫んでいます。
周囲の変化にも気付いていません。
パコレイパーの神経毒が効いていますねぇ。
お前が殺した魔族はもっと痛がってただろ?
根性見せんかいボケナスが、殺すぞ。
勇者君が目ん玉をひん剥いて聖女を見ます。
「ひ、
「ぐぎぃぃあ゛あ゛痛ぁいぃぃぃ、と、取り出じでぇぇぇっ!!」
「ひ、ひぃぃ……なっ、何をっ!?」
「赤ぢゃんっ取っでぇぇぇっ!!」
「ちょ、僕、え、桧野さん、アソコが、あの……」
勇者君は狼狽している。
さすがクズですね、アソコが云々言ってる場合じゃねぇだろw
いやぁ~、笑わしよんなぁ大将っ!!
股間をガン見なのがまたシブいねっ!!
小っちゃいウインナーがモッコリしてますぞ?
ふぅ、詰まらん反応でしたね、ドラマを感じません。
有り難うヴェーダ、聖女を元に戻してクレメンス、邪魔です。
『この勇者からは、そこはかとない小物臭が漂いますね』
勇者に侮蔑の言葉を浴びせつつ、ヴェーダが聖女とパコレイパーを転移させた。
って言うか、人間には小物臭を撒き散らすアホにしか会っていないんですが。
まともなヤツ見た事ない。
辺境伯が一番マシだったわ、人間ヤバくねぇか?
どうでもいいかっ!!
勇者君の観察を再開しよう。
『アイリン達の準備が整うまで少々お待ちを』
「はいよー」
別に急いでないしね、珍しい動物の観察だと思えば楽しいです。
…………ん?
フムフム、あぁ~、アレが例のヤツか。
以前、ヴェーダが勇者の特徴について教えてくれた『大きな独り言』ってヤツを、今見てます。
すっごく『大きな独り言』です。
見た目がヤバいです。
まるで実況中継だな……
やべぇ、『桧野さんを救えば、僕のトラウマも消える、か』とか寂しげに言ってるよ、それ言わんでいいからw
お前の悲惨な過去誰も興味ねぇからww
後ろの女共が意味深な顔で頷くのがまたww
あ、女の一人が励ましに行ったっ!!
「だっ、大丈夫、わ、私達が癒してあげるから……」
「え、聞こえなかった、何だって?」
「ななな、何でも、ない……馬鹿」
「ば、馬鹿ってなんだよ……」
ブフォァァッ!!
やべぇ、面白ぇわコイツらww
これが勇者の突発性難聴かっ!!
女の小声は拾う特殊難聴スゲーww
『面白いですね。ラージャが仰ったように、あの独り言は視聴者に向けた実況でしょう』
「ほほう、視聴者はアレか、ゲームやってるクソ共か」
『加護を与えた神の眷属や派閥の神々も楽しめますから』
なるほどなぁ、ゲームキャラの心中をプレイヤーに伝える為の実況ね、良いアイデアだ。
「勇者の難聴は能力の使い過ぎだっけ?」
『如何にも、召喚勇者に課せられたリスクの一つです』
とんでもねぇリスクだな。鬼だよ世界さん。
ゲームバランスを考えれば強力な兵器に必要な処置だろうが、バランス取れてねぇんだよなぁ。
周囲はアホ化されてるから独り言に突っ込まんし、勇者が能力の使い過ぎで難聴になっても気にしない。誰も異常を察知出来ない。
危ない大量破壊兵器が益々危険度を増しているのに、何の対処も出来てねぇ。
むしろ召喚勇者による世界の終焉を願っているようですな。
『ラージャと魔皇帝が居なければ、そうなっていたかもしれませんね。アイリン達の準備が整いました、出撃させます』
「結界の中から【影沼】使って沈めた後に殺せ」
『御意に』
心配なのでチビ助を二体追加で向かわせます。
アイリンとマミア、それからアイニィの護衛だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
あぁ~、えっと、酷い戦いを見たぜ……
『当然の結果です』
俺の指示通り、アイニィの【影沼】で勇者一行を沈めた。
女三人はどうでも良いが、勇者もあっさり沈んだ。
アイリンは恐怖に震える勇者の頭をガシリと掴み、口に竹筒を突っ込み変な薬を飲ませて毒殺した。人体実験です、戦ってすらいない……
『フム、何でしょうか、あの勇者からサイコな感じがしませんでしたね。ただのエロガキのような……』
「あぁ~、ありゃぁサイコパスじゃねぇよ。地球の神々が廃棄するサイコの選考をどうやったのか知らんが、詰めが甘ぇ」
『あら、本物にはそう言える根拠でも?』
「根拠かどうか知らんけど、そうだなぁ……」
勇者君の『
聖女を見た後の姿勢から見える『良心の欠如』、勇者君の行動はお手本のようなサイコだ、でも違う、野郎は嘘を自覚してる……
本物のサイコは自分が
聖女を救わない理由を咄嗟に作ったが、嘘の理由なので表情が微妙だった。そもそも嘘を吐いて体裁を気にする必要も無い。
魔族を殺すついでに憎い聖女も殺せばいいからな。
召喚初日に盗賊殺して性奴隷買ったアホに今更倫理もクソも無ぇ。
聖女を殺した理由を聞かれたら『武士の情け』で通せばいい。
それこそ嘘だが、本物はそう思わんから気にしない。
俺の親父がそうだった、平気で噓を吐くとかそう言うレベルじゃないんだなぁアレは。嘘の概念が無いんじゃないかと疑うレベルで頭がオカシイ。
『なるほど。そう言えばラージャはお父様と正反対でしたね……』
うむ、俺は嘘を吐くのが下手なんだっ!!
全部正直に言ってしまう正直者なんだっ!!
欲望を口と拳で表現するのが私ですっ!!
しかし、大人になって自制を覚えました。キリッ!!
『えっ?』
「えっ!?」
ヴェーダが驚いている事に俺も驚く、驚き上手な嫁だぜっ!!
まぁ、比較的どうでもいいので気付いた事を一つ。
辺境伯の娘はどうなったんだ?
『離縁はしておりませんが、聖女に撃退された勇者が逆恨みして会うのを拒否したので別居中です。腹に勇者の子が居るので、それが辺境伯を継ぐと思われます』
「あぁ~、辺境伯の為に教国に行ったんだったな馬鹿勇者。逆恨みはダセェなぁ」
『辺境伯の娘はラージャに復讐を誓っております』
「えぇぇ、それこそ逆恨みじゃないですかヤダー。死んでくれませんかねぇ」
『では、辺境伯領首都ラスティンピスを
う~ん、特に欲しくないんですが……
今は大森林からここまでを開発したいんだよねぇ……
って言うかぁ、ピクシーズの【マジックミサイル】で良くね?
……と思ったけど子守で忙しいんだったなアイツら。
あ、久しぶりに【飛石】やってみっかな。
『……そうですか、では私が観測しますので、そちらに放って下さい。娘の居場所は把握しております』
よし、アイニィは【影沼】にまだ石入れてる?
あ、入れてるんですね、お利口さん、ナデナデ。
よし、準備オッケー!!
『宜しいですか、では、ラージャの頭上から正面を狙う形でお願いします。はい、少し右へ、はい、その角度でお願いします、軽くお願いします、軽くですよ』
「バッカお前、軽くってお前、20㎝の石だぞお前、舐めプが過ぎますぞ?」
『いえ、あの……』
「おっとそこまでだマイワイフ。言うなヴェーダ、俺はシタカラ達が逝った時に決めたんだ。今度人間ブッ殺す時は……後悔しないように全力で、ってなぁ!!」
『アートマンっ、観測中の蟲達を護って!!』
死ねぇぇぇぇっ!!
ファイヤーーーー!!
え、アートマン様が何だって?
頭上の石が渦巻く神気を
フハハハ死ぬが良……い?
衝撃波が大地を裂きました(混乱)
遠くからヤバめな轟音が聞こえます(震え)
南西の青い空にキノコ雲が上がりました(白目)
『あの、笑えばいいと思います』
いやぁ、それは難しいお願いだナ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます