第195話「本気出してきて芝3200」
第百九十五話『本気出してきて芝3200』
十一月十四日、お昼の時間、本日は晴天なり。
北伐から一週間、魔ドンナや人類の攻撃も無く、ガンダーラはとても平和です。
平和だったが、俺はフェンリル兄やんの催促で忙しかった。ドラゴンの狩場を早く造れってヤツです。
ササミちゃん率いる妖蟻工兵五万人を俺の筋斗雲に乗せ、山脈の北側にスパーキン。って言うか、妖蟻は全員工兵なんだけどねっ!!
先ずは『ちょっとした長城造り』に適した土地を確認する為、妖蟻達が上空から北の大地を見極める。
ササミちゃんが「おっけ」と見極め完了を告げたので、彼女が指差す山脈の麓に向かう。
麓に着くと、ササミちゃんが北を指差し「ゆっくり進んで下さい」と言った。言われた通りにゆっくり進む。すると、工兵達が次々に飛び降りて行く。
おやおや、これは何だと首を傾げるダンディーな俺。
ズボンの『第二ボタン』が外れたササミちゃんを膝の上に乗せ、うっかり者の小魔王が彼女のズボンに入り込んでしまっているが、不可抗力なので仕方が無い。
少し多めに鼻血を垂らすササミちゃんに止血し、工兵達が何をしているのか聞く。小魔王もウンウンと頷き、ササミちゃんのズボンの中で上下に揺れた。
「んぁ……長城、造る、からっ、並んで、ますっ、ァン!!」
フムフムなるほど。
相変わらずのバッテン顔が俺を狂わせる。
ササミちゃんの頭を撫でつつ、後方に目を遣る。
ブッホォぉっ!!
思わず吹いてしまった。
俺は三回ほど目を擦った。
信じられない光景だった。
何も無かった場所に、ニョキニョキと壁が生えていた。
高さは約50m、幅と厚みが約10m、狂ってますねぇ!!
三人一組になって土木工事をする妖蟻工兵。
一人が地面に手を当て、先天スキルで大地を盛り上げる。
盛り上がった大地を残りの二人が左右から壁の形に成形。
最後は唾液とスキルで強度などを補強し、隣の壁と繋げて完成。
チートすぎて草生える。しかし、皇城アリノスコ=ロリの事を思い出して納得した。ガンダーラの外壁も一日で出来てたしな。
これらの先天スキルは魔力を消費しない。
能力を使うとお腹が減る程度だそうだ。
燃費良すぎワロタ。岩仙涙目ワロタ(白目)
岩の神仙? 岩の真人? 知らない子ですね……
壁造りを終えた工兵達は次の行動に移った。
お得意の地下イジリです。ガンガン潜ります。
ホホォと感心していると、何故か賢者タイム気味のシュッとしたササミちゃんがキリッと俺に告げる。
「陛下、時の流れと陛下の覇道は止められません、お急ぎを」
「お、おう(バッテン娘が何か言ってる……)」
キリッとしたササミちゃん、でも第二ボタンは開けっ放しなので締まらない。そんな彼女にカツを入れる為、ズボンに入り込んだ小魔王がヤる気を見せてビクンビクンと跳ね上がる。
こらこら小魔王ヤメないか、ササミちゃんに失礼だろ?
僕はササミちゃんの腰を掴むと、彼女をそっと浮かせて小魔王の攻撃から守るように動かした。
動かし方が上下だったのが悪かったようだ。
ササミちゃんはアヘアヘになっていた。
二時間の上下運動はキツかったかもしれない。
ササミちゃんが上下運動でアヘアヘしている間に、工兵達は約60kmの長城を築いていた。
二時間のゆったり飛行は、残りの30分が俺とササミちゃんのイチャイチャに要した時間だったと言っても過言ではないだろう。
何だか工兵達に悪い気がしたので、素早く長城の地下をダンジョン化し、大浴場を造って『キャッキャウフフ!! 白因子大放出お風呂祭り・ズボリもあるよ!?』を開催、風呂の後はDP創造料理で慰労会も忘れない。
皆がお腹いっぱい(意味深)になった後、俺はクッソ長い長城の地下ダンジョンに魔界トンネルをアホかと言うほど設置した。
こんな感じの長城造りを三日続けて、最終的には6620kmの長城が出来ました。長すぎワロタ……
まぁ俺が北の長城をダンジョン化した時点で、こうなる事は予想していましたがね。
初日の午後からガンダーラの妖蟻達が旅行気分で大量に転移を開始、軍隊も護衛として参加してました。
そんな彼女達を筋斗雲に乗せて一晩中進み続けると、山脈の北側を海岸線まで縦断した挙句に左折して海と陸を隔てる長城が出来るんです。数の暴力って怖いですねぇ……
と言っても、人間と獣人の居ない北の大地だから出来る無茶だな。あまり褒められたもんじゃぁない、ですが、彼女達のお蔭でこれ以上無い完璧な『囲い』が出来ました。
悪魔達が何の問題も無く行動出来る場所作り、それが今回山脈を越えた俺達の役目だった。
山脈から北へ伸びる長城は瘴気を溜める為の壁だ。
当初は北東の高原か北の溶岩台地に届けば儲けものと思っていた、だが終わってみれば海岸沿いから西へ進み南下してクララ山脈まで到達した。完璧な瘴気プールの出来上がりだ。
とりあえず妖蟻達には50Kmおきに地下街を造って貰い、そこをダンジョン化してトンネルを大量設置、あとはトンネルズに任せて悪魔を移住させる。その繰り返し。
まぁ、なんだ、ちょっとやり過ぎたかな、と思わんでもない。
だって悪魔の移住が一千万を超えてDPが減らなねぇんだ……
宵越しのDPは残すなって死んだ婆ちゃん(妄想)が言ってたんだ……
DPの使いっぷりが爺さんに惚れた理由やで(幻聴)って言ってた……
フェンリル兄やんなんて『ここまで本気だったとは……なるほど、全力、か……』とか言ってサイコパスを見るような目で俺を見てたもんな。生粋のサイコですが何か?
そんな感じで忙しかったのです。
それ以外は何もありませんでした……
何もなかったので、平和なのです……
ただ……
ただ一日だけ、教国に行ってダンジョン創ったりトンネル設置したり、俺の巨大立像を大教会の正面に置いたり、その立像に天から光が注ぎ、天女達が舞い降りて来て立像の周りで踊ったり……
その直後、アートマン様とイズアルナーギ様に周囲の空間と根源をイジられた感のある裸の女神オッパイエが現れたり、そのオッパイさんと空中聖行為する事になったり、俺のフェチモンが神通力を得てオッパイさんのハートを射抜きビショ濡れになったり……
身も心も射抜かれたオッパイさんが一発で身籠って『嗚呼、愛しい貴方と貴方が歩む大地に豊穣を(戦神ムンジャジもお助け下さい……)』とか耳打ちしてきたり、そんな彼女が天に帰ると俺の周囲が初夏の如く緑溢れる場所になったり……
その様子を見ていた人間や獣人共が敵対心を持ちつつも俺を神の一柱だと認めたりして現人神(悪神)になっただけなんで……
ガンダーラは、とっても平和なんです!!
『ラージャ、第三十三階層を掌握しました』
「お、おう」
『魔ドンナのコアから停戦交渉が打診されました、舐めてますね、拒否します』
「え、あ、おう」
『第五ファールバウティ旅団がパパドンプリーチ城周辺を制圧、瘴気トンネルの追加要請が出されました。七本追加します』
「んっふ、お、おう」
『魔ドンナの上級眷属が直接停戦交渉に現れました、プルピエルが『うるさいなぁ』と言って地獄の門を開きました、あ、第三十四階層を制圧しました』
「ふぁっ、お、おう」
何故だろう、大森林はあんなに平和なのに……
俺は今、パパドンプリーチ城の最前線で白目を剥いている……
大魔王一家とファールバウティの血族が本気出してきて草生える……
いや待て、あれはまだ本気じゃないな……
あの人達が本気出したらそれこそ……っ!?
あぁ、瘴気が足りないかぁっ!!
活動限界だな、プルピーも出たり消えたりしてるしな。
フムフム、これは全力でバックアップせねばっ!!
おいヴェーダ、トンネル足りないよ何やってんのっ!!
もっと増やして、最上級創造悪魔も追加で行きますよ!!
まったく、俺の全力(サポート)を解っていないねぇ。
そこんとこヨロシクぅ~?
『ッッ!!!!……か、畏まりました(絶句・二度目)』
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