第174話「ほ、翻訳さぁぁぁぁぁん!!」





 第百七十四話『ほ、翻訳さぁぁぁぁぁん!!』





 今日は九月二十七日、晴天。

 だがしかし、ゴリラの心は曇り空。


 一昨日は酷い目に遭った。ペド野郎のせいでなっ!!


 ダメだろ~、あれは駄目だ。

 一番危険な極妻に投げキッスしたみたいな?


 ヤンキー中学生のきも試しかって話ですよ。

 試した後にド肝抜かれて東京湾に浮かぶ定期。



『あらやだ怖い、肝機能が失われますね』



 いや、世界が七回……



『長城の制圧が完了しました。妖蟻と妖蜂を撤退させますので、魔界トンネルの設置をお願いします。新婚旅行が楽しみなので迅速に願います』



 お、おう。


 新婚旅行の話は嫁会議で報告済みだろうなぁ……

 連れて歩いたら駄目なのが複数名居るんですがそれは……




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 全長約600kmか……長ぇな。


 大森林の入り口、玄関、ふた、地竜対策でメハデヒ王国が築いた長城。


 いつかは手に入れる予定だったが、魔界の支援を得られたので予定を早めて制圧した。


 長城勤務の兵士六千余名は、妖蟻工兵が造った地下空間に放り込んである。貴重な資源だ、三百人ほど制圧戦で死んだが、なるべく殺さないようにしたい。


 これから生気徴収が重要になってくる。

 って言うか、本格的にダンマス生活を始める事になった。


 クソペド野郎のせいでなっ!!




 ペドの一件で、仕方なく神木前の集会場で地下下降型ダンジョンを創造してしまった。あのボケは2~3発ド突きたい。


 新規のダンジョン創造にDP消費は無い、しかし、創造主の魔力を大量に消費して自由も奪う。俺の場合は仙気が持って行かれるだけで済む。


 まぁ、失った仙気量に応じた十分な結果は得られる。

 でも問題は何かの消費云々じゃない、違うんです。


 問題は、新規ダンジョンの創造によって、既存のダンマスに俺の事が告知されると言うクソ仕様なのです。


 俺に許可無く、無断で。

 ペドより男らしく「聞いてないんだが?」と突っ込んだ。


 各コアに“新規ダンジョンが創造されました”と、謎の連絡が入る。ご丁寧に俺の名前やメインダンジョンの位置まで知らせる。


 俺自身にも『告知しました』と脳内に謎通知が来た。

 うろせぇよボケ死ねと言ってやりましたよっ!!


 へへへ、告知内容を見てズッコケてやったぜ!!

 俺にも既存のダンマス情報が告知された事だけが救いです。




 これはもう、どうしようもない。たはーっ!!

 開き直ったゴリラをあなどるなよ?


 ちょうど良いので長城をダンジョン化して、六千の捕虜はメインダンジョンに転移させる。人畜化だぞ諸君、喜びたまえ。


 長城のオヤツが減ってしまうが、客は毎日やって来るので、生気徴収は問題無い。


 長城の王国側に在る関所や宿場町、旅の商人が寄り合って作ったバザーのようなテントの集まり、この辺の対処は悪魔に任せる。上手く利用して下さい。




 では早速、長城をダンジョン化……と行きたいところだが、この長城は世界一長大な建造物です。


 私の所有するDP残高、約二十二億。

 現時点での徴収量は……



『一日に約二千四百万の増加です。これから呼ぶ悪魔と人畜が加われば数日で三千万に届くでしょう』


「ふむふむ、で、1平米のダンジョン化で100DP消費……これ、表面積計算だったらエライ事になるな、床面積だけの消費で助かったわ」


『それでも長城全体のダンジョン化は厳しいですね。メインダンジョンの強化を優先すべきです。とりあえず、四つの城門とその周囲、工兵が地下に造った捕虜収容所をダンジョン化しましょう』


「そうだな、悪魔用の地下街階層も追加しとくか。長城は毎日コツコツダンジョン化していく方向で行きましょう~!!」



 それでは初めに第一城門付近と地下の収容所をダンジョン化。


 ホイヤーっ!! ついでに人畜を転移、グッバイ!!


 次はサブマス、サブマスは創造召喚の悪魔だ。

 検索検索、ここは人型で行きましょう……むむっ!!


 ちょ~っと毛深いけど、黒髪に褐色肌、大男で狂暴、長城の太守としては、良い感じなのではないでしょうか?


 コイツの装備をアラビアンな物にして、能力を……ふむふむ。

 あとは名前、名前、めんどくせえ、名前はデフォでヨシッ!!


 アエーシュマ・アバター、君に決めたっ!!

 あ、ちょっと悪魔召喚師的な感じで創造しよう!!



「来い、アエーシュマっ!!」


『またゾロアスターの滅んだ悪神ですか』


「そんな説明書いてないんですがそれは……」



 お決まりのグルグル召喚陣エフェクトが終わり、大男が姿を現す。


 頼む、頼むぜ翻訳さん、普通でお願いします。



「俺、護る、敵、殺す、酒、飲みたい。セックス、好きだ」



 翻訳さぁぁぁぁぁんっ!!


 彼の口はパクパク動いてたよっ!?

 すっごい流暢にしゃべってたよねっ!?

 何でカタコト? 大男に偏見持ってない? ねぇ?


 クソう、翻訳さんめぇ……



『ラージャの偏見が原因かと』



 なるほど、すまんのだアエーシュマ。

 君をサブマスターに指定するのだ。

 そしてサブコアを渡すのだ。頑張るのだ。



「俺、頑張る、セックス、好きだ」


「うむ、俺も、好きだ。太守館、造る、セックス、しろ」



 彼とは気が合いそうだ。

 サキュバスを沢山呼んであげよう。


 新階層に街……で、太守館をホイヤーっ!!

 ここにトンネルを設置して、ヨシ!!


 悪魔達が過ごし易いように、瘴気も運んでクレメンス。


 トンネルズ、あとは頼みましたよっ!!



『はいはい』



 あ、そうだっ!!



「瘴気は別に毒じゃねぇよな?」


『ええ、むしろマハトマ種の健康に役立ちますね、アートマンが瘴気まみれですので、影響を受けます』


「ならばヨシッ!!」



 大きな通気口を沢山造って……ホイヤーっ!!


 瘴気を大森林側に流しましょうね~、ウェ~ハッハ!!

 大森林を悪魔に開放するのですぞ~!! ウェ~ハッハ!!



『あら、“妹”の遊び場を造って差し上げるので?』



 ……は?

 何言ってんのお前?


 ねぇ、何の事?

 

 

 ヤメテよ、黙るの……






 

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