第161話「面白いなぁトンネルズ!!(白目)」
第百六十一話『面白いなぁトンネルズ!!(白目)』
スモーキーの墓石が置かれた丘、この丘も内部をダンジョン化し、俺と眷属のみが入れる仕様にした。最前線の司令部だな。
その最奥に俺専用のクソ広い執務室を造り、そこに主要人物を集めて会議をしている。ここでは時々セクースもしたいと思う。
それはさて置き、俺は大猩々状態のまま深刻な表情で巨大な椅子に座り、巨大なテーブルに両肘を突き、巨大な両手を口元で組んで熟考している……振りをしている。
信じていたトンネル君がやりやがった……
六十六万六千、彼が通した悪魔の数だ……多すぎワロタ。
ガンダーラの国民数を超えた、二倍も。ウケるw(白目)
トンネル君の仕事は見事だったが、張り切り過ぎた感が否めない。
俺の相棒ヴェーダが優秀なのも重なってダブルでやっちゃった感。
トンネル君に人員募集を、ヴェーダに丘陵ダンジョンの管理を任せた、いや、丸投げしたクソゴリラが居ると聞く、そいつを呼んでシバキ上げたい気分です。
恐ろしい速さで兵員輸送を
一緒に仕事させたら駄目だった、効率が良すぎて駄目だった。
危険なトンネルズは解散して頂く方向でお願いした。
参謀長とゴリラ元帥がイチャイチャしていた為に起こった悲劇、そう言う見方もある。現に参謀長は片手間で業務を
ゴリラが勃起をきたしている間に、ダンジョンの階層より多い隠し階層が在るダンジョンの誕生です。
既に隠し階層内で街が建設されており、施設も充実。
山河・森林・平原・海洋。足りない物が無いっ!!
地上に侵攻する意味も薄いっ!! 人類拉致部隊が有れば済むしな!!
こいつは参ったなぁ~、などと数分前は考えていた俺だが、今は特に困っていない。って言うか、困る必要も無いなと気付いた。
人が増えると衣食住に関するものが真っ先に必要になるが、その辺はダンジョンマスターの権能を扱えるヴェーダが解決済み。
人が集まる事によって生じる争いなんかも無い。眷属だしな、契約も有る。ダンジョンのトップは強化された元悪神のドゥルジ、実力主義の悪魔達も認める強者だ、『認めないぞっ、勝負しろ!!』的な事件も無い。
そもそもヴェーダの威光が強烈過ぎて反骨精神が湧かない模様。
この時点で『人の多さ』に関する諸問題は片付いている。
あとは実力者に役職を与えるくらいしか悩みが無い。
しかしそれも『やりたい奴だけ』に関わる事で、六十万余の中から急ぎ選んで決めなきゃならない、って問題じゃない。
なので、俺的には悪魔の大増加に何の問題も無いと判断したわけだが、ヴェーダが主要人物達を執務室に集めて真面目な顔をしているので、俺も熟考している感を出して対応してみたのです。
ヴェーダも悪魔数に関しては既に問題視していないだろう、俺が百を超えるトンネルを造った時点で対処の動きを見せていたからな。アザーッス!!
では何が問題なのか、何を気にしているのか、知能低めのゴリラにはそこが解らないっ!! 低めであって低能ではないっ、断じてっ!!
チラリと隣に座るヴェーダさんを見る。ヒィッ。
ピクシーズを抱いて黒いインドサリーを着たヴェーダは、目元以外をこれまた黒い神気ヴェールで隠しているが、瞳が黄金に輝いているので怖い。
平気そうなのは俺の後ろに立つメチャとラヴだけだろう。スコルも尻尾を丸めて俺の足元に居る。ピクシーズは寝ているので分からん。
ドゥルジはヴェーダの背後で忠犬のように直立している。どうやらガンダーラの序列を正しく認識したようです。とんでもないビッチだよ君はっ!!
ここに呼ばれた悪魔達も震えながら席に着いたあと頭を上げない。ヴェーダが居る正面を見ずに大理石製大テーブルの面を見ている。生徒指導室に呼ばれたヘタレヤンキーの様だ……
そんなヘタレ君達を見つめるヴェーダさんが、輝く目を閉じて一言。
「なるほど、確かに、愛神の知識にも無い悪魔達ですね」
アレレ~、各部族長的な、主要人物を集めたんじゃないの?
むしろ容疑者を集めた的な? 何の容疑か知りませんが。
あ、悪魔達がもの凄く縮こまった。分かるぜ、その気持ちっ!!
怒られていないのに不安を覚える。それを生徒指導室マジックと呼ぶ!!
「ラージャ、彼らをアートマンの許へ連れて行っても?」
「構わんよっ!!」
ッッッ!!!!!!
おやおや、『そんなっ!?』みたいな顔をする奴と、『やったー!!』って顔になる奴とに分かれたな。
あ、一人だけ『即答っっ!?』って顔をしてる男が居る、お前はデキる奴だ!!
「この反応はあれか、ヤナトゥを知ってる奴と知らん奴の違いか」
「恐らく。その辺りも聞いて調べたいですね。一名だけよく分からない反応でしたが」
「いや、彼が一番面白いかもしれんぞ」
「面白さは求めておりませんので」
残念だ……彼は光るものを持っているのに、残念だっ!!
リュウちゃんとコンビを組ませたい。お笑い竜騎士の誕生ですっ!!
俺の悲しみを余所に、ヴェーダが悪魔達を見渡して微笑む。
「神界へ行くのは一時的なものですから、安心なさい。親族や知人等には私から伝えておきます。神域からも念話出来ますよ。では……」
悪魔達を優しい光が包み、電波さんと同じく光と共に消えた。
俺が期待する彼は『聞いてないよー!!』と言って消えた。
うむ、最後のは駄目だな、タイミングが遅い、要らない一言だ。
状況把握直後に『ちょちょちょ待って待って』とヴェーダに詰め寄ってから、それを無視された状態で言って欲しかった……っ!!
「ヤツには指導が必要だ、厳しく、なっ」
「?? そうですか、承知致しました」
俺とヴェーダの認識に齟齬が生じているが、気にしてはいけない。これも彼にオイシイ場面を与える試練なのだ……イキ残れっ!!
「雑事は終わりました、悪魔達の今後について話しましょうか」
ピクシーズを優しく揺らしながらヴェーダが俺を見る。
う~ん、悪魔達にこれから何をさせるかって事かな?
そんなの決まってるジャナイカー。
「堕天使も居たよな、格の高い奴を呼んでくれ」
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