第162話「養殖メスゴブリンを超える女性? 怪物?」





 第百六十二話『養殖メスゴブリンを超える女性? 怪物?』





 ヴェーダから聞いてはいたが、どこからどう見ても天使だなコレは。


 空を飛び回る悪魔を見た俺は、そう思った。




 こちらを欺く必要が無い堕天使は、トンネルから出た時点では黒い翼だ。瞳の色も赤や紫が多く、碧眼は居ない。


 しかし、通常道りに人間を欺く為の偽装能力を使うと、白い翼を生やした金髪碧眼の天使に早変わり。嘘臭い天使の輪を頭上に浮かべるった奴も居る。


 優し気な笑みを浮かべてはいるが、中身は男女共にド淫乱である。よく観察してみると、仕草や物腰が妖艶であざとい。


 しかも人間を屁とも思っていないので、相手の外見や内面を度外視して密接状況を作り上げ、甘い言葉と過度なボディタッチで距離を詰める。


 女性の事は分からんが、恋愛下手の童貞諸君は一発抜かれたら、その相手を『相思相愛・俺の嫁』認定間違いなしだ。だって『セックスした』んだからな!! 結婚しなきゃ(使命感)


 童貞じゃなくても非モテ系はクリティカルヒットだろ。


 そんな非モテキラー達が大空を舞う。

 事実を知らなければ神秘的な光景だ。


 事実を見抜ける奴らは顔面蒼白の光景だが。


 まぁ見抜くのは無理だ、フィールド型ダンジョンの上空もダンジョンの影響を受ける。鑑定阻害は普通に掛かるし、神像を据えたこの丘陵はアートマン様の加護が有る、上位勇者等の強力な神気を宿す存在でも鑑定が通せない。


 神々は信徒に真実を神託チンコロ出来ない。他勢力の内情報告はタブーだ。人類が真実を知る奇跡が起こるまで、この丘陵ダンジョンは好き放題に拡大し続ける。



「丘陵より街がメインになったけどなっ!!」

「これは城郭都市と呼ぶのですよラージャ」



 ヴェーダが的確で無粋な指摘を入れてくる。


 だが待って欲しい、これやったの半分お前な件。

 総クリスタル製の神殿とか意味わかんねぇよ。



「生気量豊富な六十六万の悪魔民ですから、二十二万人を三回に分けて一時的に生気徴収率を50%にするだけで効率的な都市開発が望めます。減った生気も一日寝れば戻りますよ」


「まぁなぁ、それも人畜が確保出来れば不要な徴税になる、客集めを頑張りましょうかねぇ」



 おっと、その前に『真の愛神像』を造りましょう。

 人類を騙すなら徹底的にやりましょう。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 クリスタル大神殿は『スモーキー丘墓きゅうぼ』の頂上に在る。スモーキーの墓石も神殿内に収まった。


 神殿を統括する大神官は黒縁眼鏡をかけた堕天使の男、中級堕天使なので強い。


 名前は『タスロ・マスシ』、名前を聞いた俺は何故か一抹の不安を覚えた。心配になったので彼を手招きして呼ぶ。



「お前……盗撮とか、する?」

「……しませんが」


「ターゲットは人間か獣人の女だけにしとけ」

「……しませんが、心に留めておきます」



 何故、彼の名に不安を覚えたのか分からない、とりあえず釘を刺して解放する。うちにはヴェーダ先生が居るので、滅びたくなければ変態行為を控えるようにっ!!


 ヴェーダがピクシーズを抱きながらタスロを見ている。

 無表情で見ている。目元しか見えんが、アレは無表情だ。怖い。


 怖いので、僕は仕事をすることにした。

 DPでクリスタル神像を量産するのです。


 創った神像は指定の台座まで悪魔達が運んで行く。楽ちん。


 俺が彫像したヤツではないので、そこまで御利益は無いが、モデルとなった神々の神格は少し上がるとの事。拝めばなお良し。


 神々と言っても、ほぼ魔王です。

 ロキの一族とか、俺が知ってる悪神とかですな。

 スコルは一族の神像をじっくり見ている。また中継か?


 神々を見た事がないので、初めは想像でやっちゃおうかなと思ったら、大変なモノが生まれるかもしれないのでとヴェーダに却下された。


 なので、ヴェーダからインプットされた容姿にちょいちょい手を加えて完成。


 そして最後は『真の愛神』様だぜっ!!



「うわぁ、賢者様ぁ、これは以前の尊妻様ですかぁ?」

「どうだメチャ、綺麗だろう?」


「とっても綺麗ですぅ!!」



 全長24mのイエロークリスタル・ヴェーダ像だぁ!!


 構図は、ひざまずく愛神エオルカイと、それを無視してゴリラの背に座り天地を指差すヴェーダ姐さんだぁ!! 天上天下唯我独尊だぁ!!


 凄い凄いと盛り上がるメチャ。

 神像を見上げるヴェーダを指差し爆笑するラヴ。お前怖くねぇの?


 呆れた顔をしつつも、まんざらでもないご様子のヴェーダ。


 今日からヴェーダは『愛と知識の女神』として、崇め奉られる大神となるのだっ!!


 天使も居る巨大な街を一夜で創ったのがヴェーダ、ついでに二十五のダンジョンも出現させ、それらを全てまとめて高さ10mのブ厚い城壁と深さ5m幅20mの堀で囲った。


 そんな奇跡を起こした女神が加護を与えた丘陵地、と言うことにするので、王国も教国も召し上げは出来んだろう。


 王国は資源や徴税でしつこく粘るだろうが、まぁ何をやっても無駄だ。


 勇者や聖女様が『視察』に来るかもなぁ。

 いやぁ~、楽しみですっ!!


 あ、そうだっ……



「ヴェーダ、傭兵ギルドでも作っとくか」

「あぁ~、マッチポンプですか」


「あのイケメン悪魔をスターに仕立てようぜ!!」

「……はぁ、また可笑しな事を考えて貴方は」



 いやいや、すっごく面白いぞコレはっ!!

 勇者の心をし折る悪魔に成って欲しいね、彼にはっ!!



「それで、客寄せのエサは考えましたか?」

「一応な、安いところからいくと、巫女衆や宮掌くじょう衆がジャキ用に作った精力剤だな」


「ふむ、この街では需要が高くなりそうですね、しかし、人間の男がアレを使えば棒と玉は破裂しますし、女は養殖メスゴブリンを超える狂った淫売になりますが」


「え、マジで? じゃぁ薄めて量産だなっ!!」


「貴金属や武器などは?」

「とりあえずダンジョン産としてイケメンに持たせとく」



 武具や貴金属類は追々考えればいいさ、ここのメインは娼館だ。

 丘のダンジョン内でも悪魔に精を吸われ、外でも娼館で吸われる。


 精力剤や体力回復剤が必須なのは分かってるしなっ!!


 先ずはそこから攻めて行こう。









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