第154話「可愛さで俺が騙されるとおも採用っ!!」





 第百五十四話『可愛さで俺が騙されるとおも採用っ!!』





『アートマンも存じておりませんでした。ロキの妻が来訪しておりましたので、彼女にも聞きましたが、知らぬと』



 アートマン様が知らない事?

 そんで知識神であるヴェーダにも分かんない……


 ついでに魔王の嫁さんでも知らんとなると、神界と魔界の大御所が知らないって事ですよね?



『そうなりますね』



 う~ん、知らないって言う神様の共通点は地球の女神だって事だが……


 電波悪魔の戯言って線もあるしなぁ。

 あ、コイツは何処出身の悪魔なんだ?



「ところでお前さんはドコの悪魔? 地球?」


「申し遅れましたっ、私は浅部第74宇宙域に在る惑星『ユゥ・カンマダ・ムゥ』で現地信仰発生した『コンゲ・ツァレ・ガコナィノ』と申します」


「あ、あ~74のね、地球からはアレだね、アレだね?」


「御意、御子様の母神ヤナトゥの御座おわした惑星は辺境、人の身ではとてもとても、あと数千年は航行出来ぬでしょう。大宇宙連盟も見放し、大宇宙条約機構に加盟もしておりません」


「なるほどな……」



 もう帰って貰いますね?



『…………少しお待ち下さい…………アートマンが愛神から知識の根源を奪いました、その者の申す事は事実です』



 ふむ、なるほど。

 じゃぁ帰って貰いますね?



『留め置いて下さい、聞きたい事が出来ました。私とアートマンにも関わる事ですので、お願いします』



 クッ、残念だ……

 お前が面倒見ろよっ!!



『ええ、お任せを。その者はアートマンの神域に連れて行きますので、代わりの悪魔を召喚して下さい』



 ふぅ、地雷臭漂う電波さんは丸投げでヨシ!!

 大森林に宇宙は要らぬっ!!


 一応、採用は告げなきゃな。大社長っぽくキメねばっ!!



「宜しい、合格、だっ!!」

「あぁっ、感謝の申し上げようも御座いません!!」


「で、早速勤務地が変わった。異動、だっ」

「はっ、何処へなりとも」


「アートマン様の神域に行き給えっ!!」

「ッッ!! 何と……そんな大役をっ!!」



 大役ってお前……無職無役が何言ってんだ?


 感涙する電波さんを光が包む。

 おぅ、お迎えが来ましたな。アバヨ!!



「あっちで何するか知らんが、頑張んな」

「はっ!! それでは御子様、行って参りますっ!!」



 そして、光と共に電波さんは消えました。


 スコルはずっと黙って見てたけど、悲しい顔をしている。

 分かるぞスコル、『アレじゃない感』がハンパねぇよな!!


 悪魔はあんなんじゃないよね?

 もっと悪魔悪魔してなきゃなっ!!

 正確に言うとサキュバスしてなきゃなっ!!


 勃起を誘発しない悪魔は、ただの悪魔、だっ(真実)!!


 って事で二度目の勧誘いってみよう。

 性別と出身地と種族と容姿を指定していってみよう!!




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 今度は何故か二人来た……

 サキュバってるのが二人、俺の息子が「いつでもイケる」と主張する。


 まぁ待て、スコルも満足気だし、確かに可愛いが、ここは慎重に……



「――それでぇ、ダンジョン内にぃ、娼館を建てたらどうかなって、あ、男娼も居るしぃ、お客さんは性別問わない的なぁ? あ、もちろん大王様はいつでもタダでオッケー!!」


「なるほど、採用っ!!」

『ラージャ……』



 透き通る白い肌、背中に生える蝙蝠の羽、金髪赤眼のゆるふわセミロング、防御力ガン無視の黒いレザーハイレグ・ボンテージコルセット・ビスチェ……っ!!


 お付きの子は小麦色の肌で活発な印象、よきっ!!

 二人とも小柄だ、身長は165㎝ほどか、俺の息子は入るのか!?



『悪魔にサイズの心配など無用です、自在ですから』



 ッッ!!

 いったい何が自在だと言うのかっ!?

 僕はそれを知る必要があるっ!!


 ダンジョンマスターの名に懸けてっ!!



『その役はゴブリン眷属かジャキを任命すれば宜しい。王妹に知られれば大惨事ですよ?』



 息子が「おやすみ」と言って引っ込んだ。俺も冷静になった。


 ダンジョンマスターの名に懸けてとは何だったのか?アホくさ!!

 今度は五イク円どころの話ではない、二十イクは要求される。



『カンダハル郊外にも娼館を建てましょう、必ず必要になりますから』



 それ、拙者は行けぬので御座ろう?



『どうしても行きたいのなら止めませんが?』



 ……行きませんよ?


 まぁ何だ、ボスと部下の付き合い的な?

 そんなのがあるかもしれませんが、行きませんよ?



『報告はしておきますね』



 誰に?

 ねぇ誰に?



『さて、もう一方のコアも頂いて帰りましょうか』

「そ、そうだな、コアは必要だ」


『それも食べて下さい』

「もちろん喰います」



 何やらテキトーに誤魔化されたが、とりあえず悪魔っ娘をここの管理者に指定して、サブコアを渡しておこう。


 人に化けて精気を吸いつつ、ダンジョンで生気を奪うようだが……



『最奥に到達した冒険者を騙すダミーコアも必要ですよ。偽りの希望も与えておきませんと』



 おっとイケネェ!!

 底辺冒険者に希望をってな!!


 魔人に憧れ最奥へ、しかしコアは反応せずに落ち込んで帰る……

 いつもの事だが、コアが偽物になるわけだから、希望が叶う事は無くなる。真面目に働いて下さいね~。

 

 ところで、娼館は魔窟入り口付近をダンジョン化して建てた方が良いか?



『そうすると国や領主が介入しますので、魔窟内に隠し部屋を造ってやれば、あとは彼女達が上手くやるでしょう。口八丁手八丁、悪魔の魅了も追加されますので、口止めも問題無いと思われます』



 んじゃそれで。

 ついでに領主を魅了して操ってくれると助かるな。

 この国の中にも悪魔娼館建てちゃうかぁ? ウッヒッヒ。


 さてと、色白の子が先輩的な感じか、じゃあ君がサブマスで。

 あとは宜しくな~。


 蟲の見張りが有るから、心配は無いと思うが……



『ガンダーラのどこかで【ダンジョン創造】をすれば、貴方がこちらへ転移出来ますね』



 まぁそうなんだけどねぇ。

 ダンマスとしての本格的な始動か。しかし――

 そうなるとダンジョン同士の争いが可能になるらしいぞ、コアから得た知識だが。



『はい、本来なら魔竜討伐後に【ダンジョン創造】が望ましいのですが、今のアートマンと真人化した貴方が居るなら、どうとでもなります』



 ほほう、なるほど。

 アートマン様はお力を取り戻しあそばすか!!

 俺の力は検証が必要だが、ダンジョン造りに何の問題も無いなっ!!



『悪魔もウヨウヨ来ますでしょうし』



 お、おう、そうだな……


 よっしゃぁ、それじゃもっと強くなる為に、二個目を奪取と行きますかね。






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