第119話「ファーー!! 死んでしまうなのw」
第百十九話『ファーー!! 死んでしまうなのw』
ミギカラが昔から取得していた【棍術】スキルの熟練度は、たったの17だ。
彼がキングとなって取得した【怪力】【土魔法】【金魔法】に至っては熟練度1。基礎能力は俺が鍛えた期間しか上げていない。
『貴方もですよね?』
……そうですね、そういう考え方もありますね、頑張ります!!
厳しいヴェーダを通し、ステータスの詳細を告げる許可をミギカラに貰って皆に教えた。ミギカラは照れていたようだ。
その
「ほぅ、南浅王にはまだ伸びシロが有るな……」
「お姉様、お尋ねしても宜しいでしょうかぁ?」
『構いません、何ですか?』
「有り難う御座います。あのぉ、熟練度8の火魔法ですけれども、レベルが54になるマハトマ・ハイゴブリンの能力値で算出された魔法攻撃力は、チョーとやらの何倍の威力があるのでしょうかぁ?」
フムフム。
それは気になりますな。
でもアカギさん、僕の息子は気にしなくてイインだヨ?
つんつんニギニギしなくてもイインだヨ?
『現時点ではメーガナーダの一人が出した約七倍が最高値ですね、総合力に2万5千ほど加算されます。マハトマ・ハイゴブリンが出す平均値は約四倍。マハトマ・ハイエルフが火魔法を修得したと仮定した場合は、平均すると約二十一倍ほどでしょうか』
「うっひょう、マジかよ」
「ハッハッハ、凄まじいな」
「お姉様、イセとトモエちゃんの場合は……」
ファーー!!
アカギが聞かんでいい事をっ!!ファーー!!
カスガも興味を示したご様子っ!!ファーー!!
『彼女達がレベル54に達し、進化を一度経た場合ですと……素の状態、つまり基礎能力を訓練等で上げなかった場合の威力は、推定四ま――』
「あっちゃー、イッケネー、水こぼしたー」
「まったく、世話の焼ける」
「お子様ねぇナオキさんは」
『…………』
何だよ『四ま』って、四万か? 四万以上なのか?
フッザケんなよ~、ぼく死んでしまうなの~。
あの二人はレベル54になって熟練度8の火魔法を所持するだけで、なんと総合力1億4千4百万以上アップなの~。
みんな焼死必至なの~。『それは地獄の業火ではない、ただの火花だ』って言われちゃうなの~。火より下の火花なの~っっ!!
『ちなみに、イセとトモエ両名の毒に至っては……小さじ一杯の毒液を霧化して空中散布するだけで、ユースアネイジア中部に生きる猛毒完全無効化の手段を持たない生命体は死滅します』
聞きたくないなの~。
耳が腐るなの~。
アカギお姉さんが興奮して僕のポコチンを強く握るなの~!!
『ですが、ナオキさんを残してガンダーラも滅んでしまいますので、イセとトモエ両名の猛毒散布は現実的ではありません』
「だよなっ!!」
素晴らしい考察だヴェーダ君っ!!
私は君を誇りに思うっ!!
『十億の死体から漏れる死毒に覆われた大地など、神の御子たる人外帝王が統べる土地に非ず。穢れた大地は蝿の王が統べるもの。ですので、致死性の高い毒の霧化散布は厳禁、違反者はアートマンによる本気の【天罰】が下ります。宜しいですね?』
「そうだぞ、天罰が下るぞ!!」
見よっ!! バックを頼るこのゴリラの小物感を!!
お母さんに言うからなっ!! お母さんはスゴイんだぞっ!!
ママは究極なんだぞっ!! そこんとこヨロシク。
『…………(喜ぶのはやめなさいアートマン、波動でシタカラ達が滅びそうです)』
『『……ん』』
『『……む』』
「
「諾。人類が採りそうな戦略ですねぇ。誓って、自ら外道の道を切り開く事は御座いませぬ。わざわざ餌を腐らせる必要も御座いますまい」
『トモエとイセも宜しいですね?』
「御意。茶を飲みながら敵を葬る趣味は御座らん」
「……うん。恐らく、大神様も、ナオキの意思が及ばない死は、望んでいない。背負うべきものを、自覚出来ない」
なるほど、背負うべきもの……
イセは視点が良いな、毎度の事だが。
化学兵器や生物兵器は最初の一手でドミノ倒しのように人を殺しながら広がっていく。
それを指示するのは俺や眷属の殺意が込められた一言。最初の一手ではあるが、同じ殺意が込められた【飛石】の雨や大魔法で直接的に命を奪う行為とでは、虐殺しているという自覚に違いが出る、かもな。
戦場から遠く離れた地でコーヒーを飲みながら核ミサイルのスイッチを押すサイコと、戦場で機関銃や肩撃ち式ロケットランチャーを撃ちまくる兵士、その違いか……
どちらも多くを殺すが、似て非なるモノだな。
大量の死人を生む結果は同じだが、俺が抱くこの毒散布に対する拒否感は何だ?……
単純に気に入らない、ってのもあるが…… あぁぁ、そうか。
無意識のうちに
アートマン様が半分背負う業の量も抑えねぇとな!!
ふぅ、危ない。
とは言っても、狂信者の俺もサイコとやる事は変わらんが。
『サイコパスは命を奪う行為の善悪を論じず、求めません。大魔法で直接的に生物を虐殺しても、行為に対する背徳や嘆きと言う意味での罪を感じる事はない、出来ないのです』
だけど、後悔しているとか言うヤツも居るよな?
ちなみに僕は好きか嫌いかで行動します!!
善悪は二の次ですな!!
『たとえ後悔の言葉を口に出したとしても、それは謝罪ではなく、それを口に出す事が現状での最適解であると意識・無意識に拘わらず判断したに過ぎません。彼らは冷静に狂っています』
なるほどなー。
でもやっぱ俺も同じだ。狂ってる。
『虐殺手段について
遠回しな励ましどうも。
正直言えば、人間や獣人がバタバタ死んだところで何とも思わん。それは相手も同じだ。
しかし、犬や猫が足を引きずって歩く姿を見れば、とても悲しく思う、それもまた人類も同じだろう。
魔族と獣人、そして人間は互いを嫌悪し合っている。
敵対する二つの陣営に対して大量破壊兵器や最上級大魔法をブチ込む事など、ほとんどの者は何の罪悪感も抱かんだろう。
だがやはり、気に入らない殺し方は有る。
例えば、眷属のゴブリンやオークが人間の女を『子を作る』という理由以外で性交し、凌辱した上で殺した場合は……俺は恐らくソイツらを殺す。弱虫のイキりみたいで嫌なんだよな。
気に入らないモノは気に入らない。
それは死ぬまで変わらない感情かも知れないし、いつか変わるのかも知れない。
毒の散布で虐殺する事も、結局は『気に入らない』から拒否感を覚えた。
それは俺の考えだが、人類には関係無いな。
「ちぃと危ねぇな……今は魔族が家畜として扱われている事や絶滅寸前の数である事で、取るに足らん存在だと
「如何にも、ガンダーラには抑止力となるモノが何も無い」
「イセとトモエちゃんは、まだレベルが低いからぁ……」
「クッ、無念っ」
「仕方が無い」
「ハハッ、そこで、俺達の価値観や戦術・戦略論で『気に入らない』と思う攻撃手段を使用しない為、そして敵にも使わせないようにする為には、それを実現出来る『力』が必要だ」
俺は再びミギカラの事を話した。
ミギカラの強さは前述したが、アイツは未完成だ。
進化の段階を経なかった事は残念だが、この際それは置いておく。問題はミギカラのスキル熟練度と基礎能力。
「それらを上げれば、人間狩りでレベルを上げなくても『マハトマ・センズリン』として上昇した能力に最上位種のプラス補正が加わって総合力が跳ね上がる。他の眷属達も同じだ、今のうちに熟練度と基礎能力を上げておこう」
「しかし、訓練だけではなかなか上がらんぞ?」
「そうだな、カスガが良い事言った。そこで……魔窟を二つ攻略したいと思います」
「……コアか」
「あらぁ~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます