第44話「マッサージです。それ以外に何か?」
第四十四話『マッサージです。それ以外に何か?』
撃ち切った、全ての魚雷を命中させた。
マハトミンCを二本飲んでブッ放した。
椅子に座ったまま俺を見て微笑むアカギ。
アカギの眼前に用意されたベッドに寝そべるイセ。
二人はスッポンポンだが、皇族の気品に溢れている。
しっかし、今日の戦いは想像以上に苦戦した。
空母アカギは早々に沈めたが、航空戦艦イセがなかなか沈まない。可愛い口と柔軟な蟲腹で魚雷を叩き折り、艦底に隠された空洞で俺の主砲を覆い、砲弾を全て抜き取った。
さすが妖蟻族最強、トモエに並ぶ戦上手。
さらに、眷属化によって七倍に跳ね上がった総合力から繰り出される強引な戦術は、俺の精力をガリガリと削っていく。
だが、甘い。ゴリラを舐めないで頂きたい。
俺は彼女達との夜戦で初めて大猩々化、驚愕する戦艦イセに最後の一発をお見舞いした。
俺自体は弱くとも、ゴリライズされた主砲は小竜をも悶絶させる。と、ヴェーダが言っていた。
起死回生の一撃を喰らったイセは俺の頬に右手を添え――
――静かに、ベッドの底へ、沈んだ。
厳しい戦いだったが、ベッドに寝そべる彼女は幸せそうだ。
可愛いので蟲腹をそっと撫でる。さりげなく先端も撫でる。
「ナオキは、えっち」
「おいおい、それは君達の所為だぜ?」
「トモエに、また怒られる、ね」
「おいおい、ヤメロヨ……」
「ナオキさん、そんな事より、お茶にしましょう?」
「ん? あぁ、そうだな、俺が用意しよう」
FPで何か飲み物を探す。
急激なアートマン信者増加により、俺は助祭から司祭を飛び越え【大司祭】となった。
その影響で、未だにFPで購入出来る下賜品を把握していない。
今はとにかく飲料を探す。ヴェーダに聞こう。
『ダージリンティーが有りますね。竹筒入り250mlで2FPです』
高いな、まぁいいか。
何となくだが、俺は1FPを500円くらいだと考えている。
FPの無駄遣いはしないので貯まる一方だが、生来の貧乏性故か、嗜好品にFPを使用する事に否定的である。
だが、二人に紅茶を飲ませる為に消費する事については、何も思うところは無い。
マハトミンCも二人の為に二本飲んだしな!! 決して、自分の為ではない。
おっと、裸の美女を待たせては、好い男失格だ。
紅茶を二本購入。
FP残高=1,279万3,376
二本の竹筒を二人に渡す。
アカギが不思議そうに受け取り、イセはすぐに蓋を取って一気飲みし、そのまま眠った。あとで歯磨きに起こしてやらんとな。
イセが眠った後は、恒例の政治タイムだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
眷属化により、妖蟻族はその白髪に仄かな金色の輝きが見られるようになった。
何とも表現し難いその金白色の細い髪の毛が、アカギの汗ばんだ左頬に貼り付き、少女のように若返った彼女の裸体と美貌を一層際立たせる。
左手の中指で頬に付いた髪を掬い、形の良い耳にその金白糸を掛ける。
紅茶を少し飲んだ彼女は、小さな舌を口から出すと、その先端から透明な液を一滴垂らした。
妖蟻族の『妖蟻蜜』である。
さわやかな酸味を含んだシロップ、それが妖蟻蜜だ。
妖蜂蜜と並ぶ栄養価満点の貴重な妖蟻蜜は、人間界では当たり前のように高級品として扱われるが、妖蟻蜜を生成出来る妖蟻族が地上に現れない為、貴重価値としては妖蜂密を遥かに上回る。
妖蟻蜜は蟲腹の先端にある蟻尻から大量に出す事が出来る。
しかし、口噛み酒などを作る際は、妖蟻蜜を蟲腹から舌へ繋がる細い
彼女達とのキスは、正に“甘い口付け”だ。
紅茶を飲むアカギの顔を眺めていると、こちらを見た彼女と目が合った。
手招きしている、彼女の椅子と俺が座っているベッドは1mも離れていないんだがね。
ヤレヤレ、甘えんぼタイムの始まりだ。
俺は巨大化を解除しつつの端から下りて彼女の前へ立ち、眷属化でかなり小さくなった豊満な蟲腹に気を使いながら、彼女の両脇に手を入れて持ち上げ、そのまま俺が椅子へ座り、股を少し広げた彼女を俺の両太ももへ座らせた。
彼女はその細くしなやかな四肢を俺の首と腰へ回す。
対面座位からの大しゅきホールド。有り難う御座います。
女帝である彼女には妖蜂と似た形の羽がある。
その羽を撫でつつ、甘酸っぱい紅茶を口移しされながら、彼女の御喋りに付き合う。
「今日もまた、天女様の“メーガナーダ”が活躍したみたいねぇ」
「へぇ、そうだったのか。アイツらはヴェーダ直属だからな、ヴェーダが報告を上げない限り、俺は完全にノータッチだ。で? どんな活躍だ?」
「冒険者の四人組を始末したわねぇ、魔核と装備品を剥ぎ取って、ゴミは燃やしたらしいわぁ」
「何だよ、火魔法まで覚えてたのか、そう言えば“ハイ”が三人居たな、アイツらは魔法剣士路線で進化させるのか?」
『そうですね』
「ああ天女様、ご機嫌麗しゅう」
『元気な子を産め、蟻の娘』
「御意、必ずや」
んあぁぁ、耳元で会話するんじゃない、魔王が起きるだろ!!
よせよハニー、と思わず口に出しそうだったが止めた。
妖蟻族を『ハニー』と呼ぶと機嫌が悪くなるのだ。
そこで俺は『アニー』と呼ぶ事にした。気に入って貰えた。
「アニー、他に、浅部で異常はなかったかい?」
「西の三族がガンダーラに遣いを立てたわぁ」
「三族、ラミアとナーガ、リザードマンか?」
「そっ。ラミアとナーガは貴方の庇護下に入る為ねぇ、リザードマンは…… 勝負する為かしらぁ、小エリアボスの族長が向かっているからぁ」
「あぁ、ジャキが言ってた奴か。
「あらぁ、最後は難易度高めねぇ」
「そうでもないさ」
「ん? どうしてぇ?」
「アニー達の誰かが一人でも人質にされたら、その時点で俺は野郎のケツを舐めるぜ」
「ヤダぁ、汚い。でも、有り難う、チュッ…… あんっ、んもぅ、えっち」
「ハッハッハ、スマンスマン、バカ息子でスマン」
そんなバカ息子を、彼女は温かく迎え入れた。
はぅぁぁあああ!!!!
「んっ、それで、ナオキさん、天女様が、夕刻に、お告げを下さった、のだけれど、“北のバカ娘”でしたかしら? どうんぁぁ……」
「ス、ストップだアニー、イセが起きる」
「じゃぁ、ゆっくり、ね?」
「お手柔らかに頼む。北のお転婆娘は…… “纏めて”潰す」
「んっ、んっ、あらぁ、可哀そうな子ねぇ」
「領主の娘だ、森で殺すと面倒になるからな。害虫駆除は巣ごと潰すに限る」
「あらあらぁ、んっ、楽しそうねぇ、んっ」
「楽しくはないな、君と要る時間を奪われる」
「んもぅ、そうやって…… チュッ」
甘えん坊さんを抱え直し、明日の予定変更をヴェーダに伝え、再び空母赤城とランデブー…… しようと思ったら――
「まだ、やる?」
イセが俺の肩をガシッと掴み、可愛らしく小首を傾げていた。
姉の体を思い遣っての事だろうか、イセは僕を持ち上げ、ベッドに放り、「お仕置き」と言って、僕にイケナイ事をしたのです。
お陰様で、翌日はスッキリ爽快!!
とても素晴らしいマッサージだった!!
ふぅ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます