第43話「それでも僕は我慢する」




 第四十三話『それでも僕は我慢する』




「け、賢者様ぁ、そろそろ、あの、参りま、しょうかぁ?」

「ん~、そうか、時間か。『メチャ枕』から頭を離したくないんだがね」


「ぁん!! け、賢者様ぁ、ササミちゃんが、待っています、のでぇ、いゃん!!」


「そうだったな、よし。よっこいショウイチっと」



 駐屯地の第一砦内で昼食を摂り、一時間休憩して午後の作業開始。

 俺の休憩は、メチャの膝枕を楽しむ事だった。


 途中から、メチャのケツ枕や胸枕に変化したが、最後は股間枕で落ち着いた。


 股間枕の時は無論、うつ伏せで寝る。うつ伏せ以外の選択肢がある奴は脳検査を受けた方がいい。


 ツバキやオキク達の蟲腹枕も最高だが、蟲腹枕では体を横にして寝る事が出来ない。乗っかると魔王が疼くので寝るヒマが無い、そこでメチャ枕登場だ、愛用せずにはいられない。


 今度ラヴにもやってもらおうと思います。



 さて、俺が最近毎日行っている午後の作業だが、それは妖蜂と妖蟻の眷属化だ。


 妖蜂族を眷属化する日には、俺とメチャが八本の丈夫な蔓で吊るされた木製の駕籠に乗り込み、八人の妖蜂族が蔓を持って東へ運んでくれる。


 山脈の洞窟を利用して造られた妖蜂の城へ到着すると、俺の精気が尽きる寸前まで妖蜂族の眷属化が行われ、その後はカスガとトモエに愛を注ぐ流れだ。


 妖蟻族を眷属化する日は、第一砦の地下へ向かう。

 皇帝アカギは既にガンダーラと帝国を繋ぐ地下道を完成させている。


 その地下道には大きなトロッコが用意され、それに俺とメチャが乗り込み、ササミや士官がスキルを使ってトロッコを時速約40kmで帝国まで移動させる。


 その後は妖蜂族に行った眷属化と同じ、精気が尽きる寸前まで頑張る。


 今日のお迎えはササミ、彼女とメチャはバッテン仲間で非常に仲が良い。


 今もお互いに軽く抱擁して笑い合っている。

 俺も混ざって二人を抱き締め、ダブルバッテン化完了。


 とてもホッコリするので、やめられない。



「ぁう、あ、へ、陛下、で、では、参りまひょう。うっ」

「んぁ、け、賢者様ぁ、いゃん、あっ、ササミちゃん、鼻血」


「ハッハッハ…… はぁぁぁ」



 こんなに、こんなにムラムラするのにっ!!

 純心とは何と残酷なものか……


 純心を穢してはならない、それは好い男の条件。


 キスから先は進めないこの甘酸っぱさよ!!

 憎い、その甘酸っぱさが今は憎いっ!!


 俺は午前中にボコボコにした息子を握り締め、帝国への我慢ドライブを耐え続けた。


 待っていろアカギ、イセ、今宵の“コテツ”は血に飢えている。



『むしろ血が出ていますが』



 ウルサイ黙れ。

 お前の所為だろうがアホが。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「さぁ、今日は君で最後だ。他の皆はスマンが、また明日」

「よ、宜しくお願い致します……」


「大丈夫、リラックスして、俺を受け入れてくれ」

「あっ…… ハイ……んっ、んぁ……ぁ、ぁ、ぁぁあ」



 本日最後の一人に、眷属化の精気を流す。

 今回眷属化を逃した者達が唇を噛みしめながら、頬を染めて悶える最後の一人を見つめる。ビクンビクンし過ぎだな、この子。


 今日も精気はカツカツだ。


 俺は今、メチャとササミを伴い、帝都ドームの中央広場に居る。


 大森林の地下には約三十二万人の妖蟻族が居る。多い。

 皇城のあるこのドーム内に住む妖蟻族は、一般市民が約十二万人、皇城勤めの兵や侍女が八万、合計約二十万人。


 帝都ドームから三方に繋がる大地下道の先に、三内親王が居を構える内親王ドームが在り、それぞれ約四万人ずつ妖蟻族が生活している。


 三内親王とは、先代の女帝候補一名と当代の女帝候補だった二名が、皇帝が変わる毎に入れ代わりで三領を統治する内親王の事だ。


 現在は先帝カガと同期の女帝候補一名、つまりアカギやイセの妹『タイホウ』さんの事だが、そのタイホウと先々代の女帝候補二名が変則的に三内親王領を治めている。


 本来はアカギとタイホウ、そして先々代女帝候補の一人が三内親王となるはずだったが、先帝カガの夭折ようせつにより、アカギへの帝位継承が決定した為、三内親王領には、先々代の女帝候補二名が代替わりせずそのまま統治する事となり、一番歳を重ねていた三代前の女帝候補が隠居し、そこをタイホウが治める事となった。


 妖蟻帝国は皇帝を頂点として、次に東宮様こと皇太女、その下に親王と女帝候補控えの内親王二名、そして三内親王、その三内親王が産んだ九女王、この皇族ピラミッドによる支配体制が敷かれている。


 このピラミッド構造に於けるイセなどの護衛は、護衛対象の位階に準じて立場が変動する。イセの場合は皇帝の下で東宮の上だ。



 ――と、ヴェーダ知識で長々と蘊蓄うんちくを垂れたが、この妖蟻帝国の支配体制は、そのまま妖蜂族にも当て嵌まるので、覚えるのが楽なのだ!!


 全ての位階を1ランク落とした状態が妖蜂族のピラミッド。

 女帝が女王、皇太女が王太女、親王が王子、内親王が王女、女王が公女となる。


 三内親王にあたる妖蜂の三王女のみ、大公位を得て三大公と呼ばれている。その支配地も大公領だ。


 妖蟻も妖蜂も先代は隠居後に分封転居するが、妖蟻の場合はこの帝都ドーム内に在る先帝専用の城を使う。妖蜂は東浅部の好きな場所に居を構えて老後を過ごす。


 妖蟻の先帝は居ないが、妖蜂の先王には挨拶に行った。

 なかなか上品なマダムだった、と言っておこう。



「あ、あのっ、有り難う御座いました!!」

「ん? あぁ、無事に眷属化出来たね、コンゴトモヨロシク」


「はいっ、宜しくお願い致します!! チュッ」

「おっと、高価なお礼を頂いてしまったな、サンクス」


「キャ~、恥ずかしいっ!! 失礼しますぅ~!!」


「「「キャ~、チュッてした~!!」」」


「ハッハッハ、では皆さん、また明日。アディオス!!」

「「「あでぃお~す!!!」」」



 若い妖蟻族の女性は積極的でコマルナー。

 これで、あと三十一万人か…… 多いな。


 妖蟻の支配体制を復習しながら現実逃避してみたが、無駄だったようだ。


 俺の右側に立っているササミが、ご機嫌斜め45度の表情を見せながら、俺に一礼して皇城行きを勧める。ヤキモチ焼きは、嫌いじゃない。



「た、民草との触れ合いはっ、慎重にお願い致しますっ…… それでは陛下、皇城に参りましょう」


「あぁ、今日は疲れた(うそ)、ゆっくり休もう(うそ)」

「け、賢者様ぁ、わ、私がっ、肩をっ、お揉み致しましゅ!!」


「いや、お前も今日は疲れただろう、ササミとゆっくり過ごせ」


「うぐぅ…… か、畏まりましたぁ……」

「今度また、別の日に肩揉みをお願いするよ」

「は、はいっ!! おま、お任せ下さいっ!!」


「わ、私も、手伝ぅ、よ?」

「おお、それは有り難い、頼むぜ、ササミ」

「ぅん、わかった…… 揉む」



 軽くバッテン化して両手を握り締め『頑張るぞポーズ』をとるバッテン娘達。


 愛らしいが、今は憎い、その押し倒せない愛らしさが憎くて堪らない!!


 早く皇城行こうぜ!!

 赤城と伊勢を撃沈しに行こうぜ!!

 46cm八連装精気魚雷お見舞いしてやんぜっ!!




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