第2話 ロマンス


山奥の村に、ある夫婦が住んでおりました。

夫婦は大層仲良く暮らしておりましたが、いつまでたっても子供が出来ませんでした。

子供が大好きな二人にとっては、それだけが悩みでした。


 この山奥の村には、一生に一度だけ願いが叶うという、不思議な泉がありました。その泉に体を浸し、その水を飲むと願いが叶うと言うのです。そこで、夫は妻に知られないように、不思議な泉にこっそりと出かけて行きました。


 同じ頃、妻もまた、夫に知られずに願いを叶えようと、泉に向かいました。結婚してから月日が経ち美しい妻も歳をとってしまったので、泉につかり水を飲むときに、若い娘時代に戻り、我が子が授かりますようにと願いました。すっかり若返った妻が、帰ろうとした時、泉の向こう側から赤ん坊の泣き声が聞こえてきて、妻は慌てて泣き声のする方へ駆け寄り、赤ん坊を抱きあげました。


 願いが叶ったと思った妻は、喜んで家に連れて帰り「不思議な泉の言い伝えは本当だった。こんなに早く赤ん坊が授かるとは。ありがたい。ありがたい。」早速、夫に知らせようと思いましたが、どこを探しても夫はいませんでした。 

泣きじゃくる赤ん坊の泣き声に、不思議なことに妻のお乳が張ってきたので、妻は早速お乳を与え、満足そうな赤ん坊の顔を眺めながら、何とも幸せな気持ちになりました。


 めでたし、めでたし・・・ と言うにわけにはいきません。最初に泉に行った夫は一体どうなったのでしょう。 

夫も一生に一度だけの願いを叶えてもらおうと、泉を飲みながら「どうか、若い娘のおっぱいを思う存分堪能出来ますように」と、助兵衛心丸出しの破廉恥極まりない腐れ外道のクソ虫のような、お願いをしていました。 ただ、願いは叶ったようです。 


 美しく若返った妻は、IT関連の起業家であった夫が残してくれた、有り余るほどの財産を手に入れ、優しくて若々しいスマートなイケメンの男と再婚し、念願の子供を沢山産んで、更に幸せに暮らしましたとさ。

                    

 今度こそ、めでたし、めでたし



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