不登校だった息子たちの今 2022

第1話 長男のその後

大学生活5年が終わり、大学6年生となっている。

「長男は大学6年になった」と言うとたいていの人は「大学院?」と聞いてくるが、そんなわけがない。

「いゃ、あれ落とすとは思わんかったわ〜」

長男の言うアレとは単位である。


大学に入学して2年くらいは楽しそうに学生生活を謳歌していた。

そしてコロナ禍。

「なーんか、web授業てやる気にならんわ」

なんやかんやで言い訳。

対面での講義が再会されても行ったり行かなかったり…大学がどういう状況なのか一緒に生活していながらも、私には把握できないうちに4年生で単位が取れてない事を知った。

「頼むて…」

「すいません」からの「あれ落とすとは…」発言である。


「大学って何年まで在籍できるんでした?」

5年生の秋、担当教官に聞いた。8年らしい。

なんと彼は5年生の前期に卒論を含む、ほとんど単位をとっていなかったのだ。そこで担当教官との話し合い。「とにかく卒論だけは仕上げなさい」

にハハっと笑って誤魔化していた。しかし次の担当教官の言葉「僕は来年度はいないからね」に長男の表情が変わった。「え!?」

入学時から面倒を見てくれていた先生の事は結構気に入っていた様子の長男。ゼミの教官が代わり、卒論をいちからやり直す事になるのはゾッとしたらしい。


5年生の後半でなんとか卒論を合格させ、今は他の不足している単位をとるべく低空飛行で大学に通う6年生である。一応6年の前期で卒業できる予定…


ホントかなぁ…

今年順調に大学4年生になった二男よりは先に卒業してほしいし、本人もそう思っているらしい。



ここまで書いて放置してあるほど平和だったんだよなぁ。


令和6年6月某日午後7時 長男は永眠しました。

自分の部屋のクローゼットの戸、その取っ手にタオルかけて座った状態で首吊ってました。


アホやなぁ…


夕飯は好きな唐揚げ。

死亡推定時刻に母は唐揚げ揚げてたよ。



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不登校だった息子たちの今 2022 @yadatamared8304

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