第45話 デウス・エクス・マキナ。
「それってゲームシステムがこの世界に存在してるってこと!?」
あたしは思わずそう口走っていた。
だって、最近やっとこの世界はゲームじゃないって、現実なんだって、そう実感してきたところなのにアウラの言い方がまるで。
「主様? ゲームシステムって何ですか?」
え?
「あ。ごめん。うーんと、たとえばさ、精霊ギアたちを統率しているような存在、っていうか」
「そんなのデウスさまにきまってるじゃないですかー。もうおかしな事を言うなぁ主様は」
アウラはそうさらっと、いかにも当たり前な事だって言うように。
デウス、って。
デウス・エクス・マキナの事だよね?
この世界の神様、デウス正教会の主神、機械仕掛けの神様デウス・エクス・マキナ。
ああ。
やっぱりこの世界ではデウスはちゃんと存在してるんだ。
ギルドカードなんかのシステムも、やっぱりそんな神のネットワークで繋がってる? ってことかな。
ゲームであったマギアクエストが本当の現実の世界として存在するための、そんなゲームシステムそのものであるかのようなデウス・エクス・マキナが。
「だいたい、主様はデウス様の使徒じゃないですかー。天神族なのですから」
はい?
「この世界でデウス様の力の代行をされるのが天神族の使命だって以前お伺いしましたよー」
はう。
「そもそも、あたしたちマギアを統率するのが天神族マキナ様ですしー」
はうあう。
「こうして市井で生活するのも、この世界における異変を探すため。世界の異変を調整する為だって仰ってましたし。デウス様に代わりその力を代行し、この世界を守ることがマキナ様の使命なのですよね」
ああ。
デバッカーとして、ゲームのバグを探すのが仕事だったあたしマキナ。
そうか。
ゲームのバグ探しはこの世界でもそのまま異変を探し調整する使命という事になってるってこと? なのかな。
それとも。
もしかして、あたしは本当にその為にこの世界に呼ばれたのだろうか?
⭐︎⭐︎⭐︎
そろそろ王都が近づいてきた。
流石に王都は周囲に城壁がはりめぐらされ、出入りは城門で厳しく調べられる。
この世界では身分証としてギルドガードが有効だから、アウラにも必要かと思ったんだけど彼女はもうすでにカードを持っていた。
ああもちろん、普通の人間のよう偽装されたカードだった。
アウラ曰く、デウス様に頂いたのだ、と。
まあ確かに竜である彼女が普通にギルドで登録するのは難しいかもしれない。
それでも、カードのシステムを統率しているのがデウスなら、偽装もできるのだ、と。
うーん。やっぱりいろいろまだ謎がいっぱいだ。
城門の検問はあっさり通過できた。
おいてあった真っ黒な石にカードをかざすだけで目の前のバーが開く。
まるで駅の改札のような感じ。
うん。驚いてちゃ負けだ。
こういうものだって、そう思わなくっちゃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます