第4話 『地獄の体験』 その1
『不思議が池』に行ったふたりのゆうれいさんは、幸子さんから、地獄ツアーの話を聞いた。
『幸子んとこの地獄は、
成績が良かったり、女王さまに気に入られたりすると、『真の都』、まあ、平たく言えば、私立の天国ですが、に、入れる可能性もあります。
『無限寮』という、地獄海に沿って、無限の長さがある寮があります。
寮は一人部屋です。
レクリエーションルームや、懺悔ルームもあります。
あなたがたは、現世でうろついてるところをみると、あまり、楽しい人生ではなかったのかもしれないけど。たしか、すぐに地獄や天国には入れないゆうれいさんのために、ゆうれい学校って、ももさんの社長さんが開いてるって、聞いたことあるけどな。じつは、幸子とこにも、寂しいゆうれいさんのために、アルバイトをあっせんするシステムがあります。』
『ももさんとは?』
『死神さん。ただし、女王さまのライバル会社の地獄専属です。そこは、女王さまの地獄に匹敵する、やはり、私立の地獄です。まあ、善きライバルでもあり、この世では業界仲間だけどね。本来は、ババヌッキ社という食品会社よ。いまも続いてるよ。元は火星の会社なんだけどね。』
『たしかに、それだ、ばばなんとか。とにかく、でかい会社がやってる学校だから、安心しろとは、言われたけど。そこまで来ると、はなしが、でかすぎだなあ。』
『まね。でも、まあ、悪くはないよ。あそこは、『前衛地獄』って呼ばれるくらいだから。たとえば、宇宙船で太陽まで行って、太陽の中で、焼かれたり、木星のガスの底にある地面まで降りてする責め苦とかね。そこは、すごい圧力らしいよ。うちも、木星に出入口はあるけどね。だいだら王が、お花畑をつくってるのよお。まあ、でも、太陽の熱は、うちの地獄と変わらないらしいよ。あと、休日のパーティーとか、旅行とかは、すごく豪快みたいなんだ。なんせ、食品会社だし、食べるものは、すっごく美味しい。また、太陽系から出る旅行もあるんですって。すごいわね〰️〰️☺️。でもね。』
『でも……… ぎえ。なんですかい、あねさん。』
『やり過ぎだろ、って、うちの女王さまは言っています。うちは、もっと、現実的で、選択肢が広いの。』
幸子さんは、お饅頭もお口も止まらない。
・・・・・・・・・・・・・・
つづく
『こどくなゆうれいさん』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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